会社員の給与は、支給金額から諸々のお金を差し引かれて支払われます。このため、細かい内訳を知らない人も少なくありません。そこで本稿では、給与の額面と手取りの違いについて説明します。

「額面」と「手取り」

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(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

会社員は、業務に従事する対価として賃金を得ます。この賃金が、いわゆる「給料」です。そしてこの給料には「額面」と「手取り」があります。会社員の中には、給料の内訳について細かく見ない人も少なくありません。

では、額面と手取りはどう違うのでしょうか。額面とは、最初に定められた基本給に残業代や資格などの各種手当、交通費など、勤め先の企業から支給されるすべてのものを合計した金額のことです。

手取りとは、額面から所得税・住民税などの税金、厚生年金や健康保険などの各種社会保険料を控除したものを指します。簡単にいえば、額面からさまざまなものを差し引いて、実際に支払われる金額が手取りなのです。

手取り額はいくらになる?

このように、額面と手取りの違いを知っておくことは大切です。例えば、就職・転職時に提示される金額は額面であり、実際はそこからさまざまなものが差し引かれて支払われるので、この違いが分かっていないと、生活費や保険料の支払い、貯蓄などの家計の計画を正確に立てることができません。長期的に考えると、ライフプランの変更を強いられる可能性さえあります。

では、手取り額はどのように計算すればいいのでしょうか。一般的に、手取り額の目安は額面の8割と言われています。例えば、転職時に提示された給与の額面金額が500万円だった場合、手取りはその8割である400万円前後と考えれば、毎月の収支計画やライフプランも立てやすくなるでしょう。

手取り額に違いが生じることも

AさんとBさんが同時に入社し、提示された額面が同じであっても、手取り額には違いが生じることがあります。これは、扶養家族の有無や前年の所得額などによって、差し引かれる金額が変わってくるためです。Aさんの前年の年収が400万円、Bさんが2,000万円だったとしたら、Bさんの所得税率のほうが高いため差し引かれる金額も多くなるでしょう。このように、手取り金額には別の変動要素もあることを覚えておきましょう。

実際に何を取られているの?

では、額面金額から差し引かれているものは何でしょうか。

①健康保険料

あまり知られていませんが、健康保険料率は各都道府県および年度によって異なります。例えば、全国健康保険協会の2019年度の東京都における健康保険料率は、給与を等級分けした標準報酬月額の9.90%ですが、鹿児島県では10.16%です。健康保険料は労使折半と言って、その半分を会社が負担し、残り半分を本人が負担します。

②介護保険料(40歳以上)

40歳になると、介護保険に必ず加入することになります。会社員の場合、介護保険料は健康保険料と一緒に天引きされるため、その分負担が増えます。なお、全国健康保険協会の2019年度の介護保険料は1.73%です。

③厚生年金保険料

厚生年金保険料も、健康保険料と同じく労使折半です。2019年度の料率は、標準報酬月額報酬の9.150%です。

④雇用保険料

雇用保険は、失業した時に失業給付などを給付する保険です。2019年度の雇用保険料は、給与額の0.003%です。

⑤所得税および住民税

所得税は前年度の所得に課される税金で、最高税率が45%の累進課税です。例えば、前年に株式で大儲けした場合、所得税も多額になります。住民税も前年度の所得に課される税金ですが、こちらは一律10%です。

内訳の把握は豊かな将来への第一歩

「手取」の給料は「額面」から諸々の税金や社会保険料が差し引かれています。2019年10月の消費税増税(10%)などを考慮すると、今まで以上にお金のやりくりには慎重になる必要が出てくるでしょう。自分の給料における控除の内訳を把握しておくことは、何をすれば節税対策となるかの入口に立つことでもあります。これまで給与の手取だけを見て過ごしていた人は、まず一度、何が控除されているかの確認をしてみてはいかがでしょうか。(提供:Dear Reicious Online

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