給料が高いイメージがある証券会社。実力主義の世界であり、成果をあげれば報われるが、長く続けるには精神的・肉体的にハードな仕事でもある。転職者が多いと言われる証券会社の転職事情はどうなっているのだろうか。

証券会社から転職する人は多い?給与水準は高めだが……

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(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

証券会社の仕事内容は職種によって大きく異なる。給与水準は総じて高いが、人数の多い営業職を中心に激務でストレスが多いと言われる仕事だ。

証券会社の仕事内容は職種によって大きく異なる

証券会社の仕事内容は職種により大きく異なる。また対面営業中心の証券会社と、営業員を抱えないインターネット専業の証券会社でも違う。

・営業(個人・法人)……新規開拓や提案業務などを行う
・トレーダー・ディーラー……金融商品の売買により利益をあげる
・アナリスト……さまざまなデータを調査・分析し将来予測を行う
・バックオフィス……事務・総務・人事・監査・経理財務といった支援業務
・システムエンジニア……システムの開発・保守・運用などを行う
・投資銀行業務……企業に対して資金調達やM&Aの仲介などを行う

証券会社の給与水準は平均よりも高め

証券会社の給与水準は、給与所得者の平均給与である432万円(国税庁・2017年度民間給与実態統計調査)よりも高い。平均給与は大手の大和証券で約917万円、中堅のいちよし証券で約759万円、ネット証券大手のSBI証券で約832万円となっている(2019年3月31日現在、いずれも有価証券報告書より)。

証券会社の業績は景気に左右され、相場環境がよければボーナスの大幅なアップが期待できる。営業職には営業成績に応じて支給される歩合給もあり、成果をあげれば給与に反映されるのは魅力といえる。

証券会社で最も人数が多いのは営業職

対面型証券会社で最も人数が多いのは営業職だ。実力主義で成績が評価に直結し、高収入が期待できる。自ら提案した商品で顧客に利益をあげてもらえたときの喜びは大きい。数千万、数億という大きなお金を扱い、経営者などさまざまな顧客との関わりから学ぶことも多く貴重な経験となる。

一方で、毎日のようにノルマが課せられる傾向にあり、ストレスは大きい。スルガ銀行やかんぽ生命など厳しいノルマが原因とみられる不適切営業の問題が度々ニュースとなっているが、証券会社でも大きなストレスとプレッシャーの中で営業が行われているケースもある。また、総合職であれば頻繁に転勤もあるなど、従業員の負担となる要素も多々みられる。

証券会社からの転職で多い業種・職種とは

証券会社では営業経験を生かしてキャリアアップを図ったり、ストレスの多い営業に違和感を覚えて非営業職へ転職したりする人が多い。40代以降の転職ではマネジメント能力や即戦力としてのスキルが期待され、同業他社やほかの金融関係企業への転職が多い。

法人営業、コンサルティングファーム、メーカー営業

扱う商品に違和感を覚えている人や、キャリアチェンジ志向が強い人は営業経験が活かせる法人営業やコンサルティングファーム、メーカーなど他業界の営業職への転職を希望する人が多い。

同業他社の事務・企画など

ノルマからの解放や安定を求める人は、これまでの経験を活かしやすい同業他社の事務や企画、ミドルオフィスやバックオフィスといった他業界・他業種への転職希望者が多い。

証券会社からの転職で注意する点

証券会社から転職する際には以下のような点に注意しておきたい。

収入が減少するリスクが高い

給与水準の高い証券会社からの転職では転職後に収入が減少するリスクが高い。特に転職時の年齢が高いほど、収入が減少する可能性は高くなる。住宅ローンの返済など家計への影響もよく考えて判断しなければならない。

年齢が上がるほど即戦力、マネジメント能力が求められる

若いうちは未経験でもポテンシャルを見込んで採用してもらいやすい。しかし年齢が上がるにつれて個人のスキルやマネジメント能力、即戦力としての働きが求められるようになる。未経験の職種へキャリアチェンジを図ろうとする場合、選択肢が限られたり収入が減少したりすることも覚悟しておかなければならない。

証券会社から転職するなら自分の将来につながるかをよく考えて判断を

転職するときには、その目的は何か、自分の将来にどのようにつながるものかといったことを、よく考えなければならない。人生100年時代を迎え、仕事を選ぶ上で長く続けられるか、スキルが身につくかも重要な要素である。今の仕事では将来を描けないためにキャリアチェンジを図るのであれば、早いほうが有利だ。しかし安易な転職はキャリアを狂わせてしまうこともある。証券会社内でも職種によって仕事内容は大きく異なり、違う部署への異動を機に活躍するケースもある。現在の仕事に不満を持っているなら異動を希望してみるのもひとつの手だ。

文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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