住宅は長い時間を過ごす場所です。家族全員が健康な毎日を過ごすためにも、できるだけ体にやさしく、健康な家をつくりたいと望む人は多いでしょう。しかし体にやさしい健康住宅とはどのような住宅を指すのでしょうか。健康住宅のつくり方を紹介します。

健康住宅について

健康住宅,つくり方
(写真=PIXTA)

近年、健康住宅という言葉を目にするようになりましたが、これには明確な定義がありません。一般的には、シックハウスに配慮した家のことを指す場合が多い傾向です。しかし最近ではヒートショック対策として高気密・高断熱性能を備えるなど、「そこに住む人の健康に害がない家」を含めて健康住宅ということが増えてきました。

場合によっては、地球環境に配慮した家、湿度調節機能などで家自体の健康を保てる家も健康住宅と呼ばれることもあります。

シックハウスに配慮した健康住宅

シックハウス症候群は、建材や家具から放散される化学物質、ハウスダストなどが原因で、のどの痛み、めまい、吐き気といった症状を引き起こす健康被害を指します。シックハウスは、2003年に施行された改正建築基準法によって対策が行われました。これから注文住宅を建てるのであれば、住宅会社と相談しながらシックハウス対策が十分な住宅をつくれるでしょう。

近年注目の高断熱住宅

近年では、シックハウス対策のみならず、室内の温度差によるヒートショックを防ぐ高断熱住宅にも注目が集まっています。ヒートショックとは、急激な温度の変化で血圧が大きく上下することで引き起こされる疾患のことです。浴室やトイレなど、住宅内でも温度差が激しくなる場所でヒートショックを原因として高齢者が死亡するケースが多々見られます。

高気密・高断熱住宅で室内の温度差を限りなく小さくすることで、ヒートショックによる健康への被害を防げます。

これからの健康住宅のポイントは高断熱

寒さは、時に死亡につながる健康リスクを生みます。ヒートショックを原因とする脳卒中や心筋梗塞は、その最たる例です。室内の寒さによって肺の抵抗力が弱まり、肺感染症リスクも増大することが分かっています。英国保健省の冬季室内温度指針では、昼間のリビングの最低推奨室温を21度、夜間の寝室の最低推奨室温を18度と定めています。

16度未満になると呼吸器系疾患のリスクが高まり、9~12度になると血圧が上昇して心臓血管疾患のリスクが高まってしまうためです。

断熱性能が高い住宅が普及している地域と普及していない地域の差

ヨーロッパでは、寒い地域と暖かい地域で冬季の死亡増加率に変化が見られます。フィンランドなどの寒冷地では冬季の死亡増加率が10%であるのに対し、ポルトガルやイギリスなどの温暖な地域ではその2倍となる20%前後です。これは、温暖な地域ほど断熱性能の高い住宅の普及が進んでおらず、冬季の室温が低い住宅が多いためと考えられます。

日本でもこれと同様に、北海道や東北など寒い地域ほど冬季死亡増加率が低い傾向にあります。

温暖な地域にこそ、高断熱な住宅が必要

これらのことから、たとえ温暖な地域に家を建てるのだとしても、断熱性能にこだわった住宅にしたほうがよいことが分かります。より断熱性の高い断熱材を使用かつ気密性にもこだわり、熱を逃さず結露も起こしにくい複層ガラス・高性能樹脂サッシの窓を選ぶなど工夫しましょう。

体を動かせる住宅で運動能力の向上・体力の維持を目指す

健康に生き続けるためには、運動も欠かせません。体の動かしやすさを考慮した設計・デザインにしてもらえるよう、住宅会社とよく相談しましょう。床材は滑りにくくつまずきにくいものを選ぶことがおすすめです。特に小さな子どもや高齢者のいる家庭は、転びにくい床材にこだわることで転倒事故を防止できます。

子どもの運動能力を伸ばして心身ともに健康に成長してほしいのであれば、リビングを広くとり、幼児期から自由に動ける空間づくりを意識しましょう。庭やウッドデッキをつくって、外遊びで五感を刺激するのもおすすめです。

健康住宅で健やかな暮らしを

シックハウス対策だけでなく断熱性能を重視し、さらに自由に動き回れる空間を備えた住宅を意識することで、さまざまなリスクを回避できる可能性が高まります。特に断熱性能については、暖かい地域に注文住宅を建てる場合でも、しっかりこだわったほうが賢明です。住宅会社とよく相談し、家族が健やかに暮らせる住宅をつくりましょう。(提供:MORIZOU online

【オススメ記事 MORIZOU online】
せっかく建てるなら長期優良住宅!その基準と税制優遇とは
建築条件付き土地とは?どんな家を建てられる?
平屋人気が再燃中?自宅を何階建てにするか問題
理想の住まいづくりのためのモデルハウス見学のコツ
安心して任せたい、建築会社の種類と選び方