例年8月の最終週は比較的落ち着くことが多いが、今年の8月はボラティリティーが高いマーケットとなっている。先週の金曜日は米中貿易戦争でさらなる報復合戦が始まるという懸念の高まり、S&Pもダウ平均も急落となった。

米中貿易戦争の激化によって、さらに景気後退入りへの可能性を高めている。リスクオフにより、買いが入らない株式相場は今後も売り圧力を受けるだろう。

今後の経済の見通しは悪くなっているものの、今週には注目される大企業の決算報告がある。以下が、今週注目の3銘柄である。

1. デル

デル (NYSE:DELL)は、8月29日(木)に5-7月期(2020年度第2四半期)決算を発表する。

市場コンセンサスでは、予想売上高233億2千万ドル、予想EPS1.49ドルとなっている。

債務削減と企業構造の簡素化を目的とした5年間の事業再編の後、昨年では、堅調にハードウェアの売上を上げていた。

しかし5-7月期の間、デルは世界経済の悪化や同社製品の需要減などによって、売上高成長率は来年にかけて弱含むことを警告している。

デル 週足 TTM
(画像=Investing.com)

その事業再編が好感され5月下旬までに年初来50%高となっていた。しかし、デルのサーバー事業の需要が軟化し第1四半期では予想売上高を下回る結果となり、株価は下落トレンドへと転換している。先週金曜日では、前日比約7%の下落となり、終値は45.81ドルとなった。

加えて、デルは中国での売上は大きな割合を占めており、貿易戦争の影響を受けやすい環境下にある。デルのCFOのトム・スウィートは、中国のクライアントは同社への受注を延期させていると述べている。

2. ベストバイ

今週の米大手家電量販店ベスト・バイ・カンパニー (NYSE:BBY)の決算報告も注目だ。同社は8月29日(木)の市場寄り付き前に5-7月期(第2四半期)決算を発表する。

ベストバイ  週足 TTM
(画像=Investing.com)

ベストバイは、拡大するサービス事業と、ドアロックやカメラなどの家電製品、ビデオゲーム、ウェアラブルデバイスなどのスマートホームデバイスの売上の恩恵を受けており、今年の株価は25%以上急上昇している。先週金曜日では66.21ドルで取引を終えている。

アップルの今年の売上は低調になる見通しや、米中の報復合戦は再度激化し電化製品のコストが上昇する可能性が浮上している中で、ベストバイの売上成長は厳しい環境に置かれている。

また、ベストバイは商品の調達先として大きく中国に頼っていることも利益や株価に対してより圧力が加わるだろう。

5-7月期の予想EPSは、前年の0.91ドルから0.99ドルに上昇する見込みである。予想売上高は97億9千万ドルとなっている。

3. テスラ

テスラ (NASDAQ:TSLA)は先月に19%の下落となる中、先週金曜日は前日比5%の下落となり終値は221.40ドルとなった。

テスラ 週足 TTM
(画像=Investing.com)

先週金曜日ではテスラのSolarCity部門が設置した太陽光パネルが原因で、2018年1月にカルフォルニアのレッドランズの倉庫で火災があったことを発表した。その3日前では、米小売り再大手のウォルマートが同様にテスラが納品した太陽光パネルが原因で出火したとして、テスラを提訴している。

これらの訴訟によって、イーロンマスクCEOの経営責任や電気自動車部門の財政悪化への批判が再熱している。第2四半期では一株当たり1.23ドルの赤字となり、これは市場予想を上回っていた。

決算は振るわないことや過去数か月の経営陣の辞任は、イーロンマスクCEOの経営能力が投資家から問われることは避けられないだろう。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル