外国為替市場では今週、ユーロとECB関係の発言に注目が集まっている。23日発表の9月ユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)は最も重要な指標の1つであった。ユーロ圏PMIは47から45.6となり約7年ぶりの低水準となった。これを受けて、ユーロは一時下落したものの、直ぐに反発している。また、独製造業PMIは41.4となり約10年ぶりの低水準となった。仏製造業、サービス業PMIも減少した。ドイツが景気後退を迎えており、独第3四半期GDPは、2期連続のマイナス成長となることが予想されている。ユーロ圏もドイツに追従して景気後退となる可能性が高い。本日のマリオ・ドラギECB総裁の発言によると、現在の一時的な景気減速は予想よりも深刻であり、長引いているとのこと。ドラギ総裁は、ECBは緩和のためにあらゆる手段を用いる準備があると述べ、追加緩和の可能性を示唆した。

ユーロ/米ドルの反発は、ドイツが今後数週間で財政刺激策を実行するとの期待感によるものである。しかし、BKアセットマネジメントのボリス・シュロスバーグ氏は、「ドイツは予算の増額に消極的である。このまま躊躇っていれば、状況は悪化するだろう。金融政策には限界が来ており、経済を活性化するためには財政刺激策を行う必要がある」と述べた。本日午後5時発表の独IFO景況指数は、軟調な結果が予想されている。ドイツの財政刺激策が発表されない限り、ユーロ/米ドルは1.09を割る可能性があるだろう。

今週は数多くのFOMCメンバーが発言する予定である。ブラード、ウィリアムズ、メアリー、ジョージ、エバンズ、カシュカリ、トーマス、カプラン氏らの発言が控えている。全員が金融政策について言及する訳ではないが、追加緩和を支持するFOMC支持者の数に注目が集まっている。9月のFOMCでは、セントルイス連銀のブラード総裁が50bpの利下げを主張した。一方、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、追加利下げに対して反対を主張した。シカゴ連銀のエバンス総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はハト派として知られている。一方、ダラス連銀のカプラン総裁やリッチモンド連銀のバーキン総裁はタカ派的である。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁や日本銀行の黒田総裁、豪準備銀行のロウ総裁もまた今週発言予定である。金融緩和が示唆される場合、これら3か国の通貨は下落する可能性がある。また、日本時間25日午前11時に予定されているニュージーランド準備銀行の政策金利発表では、8月に50bpの利下げが発表されており、追加的な利下げは予想されていない。

米ドルは日本円とスイスフランを除いた主要通貨に対して値を上げて取引されている。FOMC声明では今年中の追加利下げは予想されていないことを背景に、先週米ドルは上昇した。またジェローム・パウエルFRB議長は、今後の金融政策に対して言及を控えていた。しかし、中国代表団による米農家視察の中止を受け、米ドル/日本円は急落した。(提供:Investing.comより)

著者:キャシー リアン