親が高齢になり介護が必要になったとき、介護のための費用が必要になります。認知症や寝たきりの場合は、介護施設の利用を考える必要があるでしょう。

親にはいつまでも元気でいて欲しいですし、「まだ先のことだから。」と考えている方も多いかもしれませんね。いざというときに困らないように、親が元気なうちに話し合ってみましょう。介護施設の種類や、利用するときにかかる費用について紹介します。

介護施設にかかる費用は人によって大きな差がある

介護施設,料金
(画像=imtmphoto/Shutterstock.com)

介護にかかる費用は人によって大きく違います。生命保険文化センターの2018年の調査では、月々の平均は7万8,000円となっていますが、「かかった費用はない」という方もいれば「15万円以上」という方もいます。

介護施設に入居して生活する場合の費用も人によって大きな違いがあります。費用に差が出る要因は、介護保険サービスで利用できる介護保健施設かどうか、入居するときに一時金が必要かどうか、介護度や所得、地域区分などによる介護サービスの自己負担額の違いなどによります。

介護施設に入る場合にかかる費用の内訳

介護施設に入る場合にはどのような費用がかかるのか、内訳を見てみましょう。

・入居一時金
有料老人ホームでは入居時に受け取ってよいと認められています。想定される入居期間の家賃分にあたる金額で、一括や分割で支払います。

・施設サービス費
介護サービスを受けるための費用です。介護保険の適用により自己負担額は所得に応じて1~3割になります。

月額利用料として

・居住費
「家賃」にあたる費用です。居室のタイプや施設の種類によって異なります。

・食費
食材の費用、厨房維持管理費用、外部への業務委託費用が含まれます。

・管理費
光熱費や日用消耗品の費用などです。

・日常生活費
民間の介護施設ではおむつ代は自己負担になります。

・介護保険サービス対象外のサービス費
理美容、買い物の代行などで、全額自己負担になります。

・診療、薬代、入院などの医療費

その他

・サービス加算
施設サービス費に加えて、強化されている内容に応じて加算されます。

・上乗せ介護費 介護職員を基準より多く配置した場合などに負担します。

公的な介護施設に入る場合の費用目安

公的な介護施設の費用目安は、次のようになります。

特別養護老人ホーム
原則要介護3以上で入居できます。特別養護老人ホームの場合は、課税世帯か非課税世帯かで大きく異なります。入居一時金0円、月額費用は介護度や居室のタイプによっても異なり9~13万程度です。

ケアハウス
食事提供や日常生活のケア、生活相談、介護サービスが受けられます。入居一時金は数十万~数百万円、月額費用は7万~20万円程度です。

介護老人保健施設
病院を退院した後のリハビリの場所として利用されることが多い施設です。入居一時金は0円、月額費用は8万~13万円程度です。

介護療養型医療施設
長期の療養が必要な場合に入所する施設で、2024年3月までに介護医療院に移行されることになっています。入居一時金は0円、月額費用は8万~14万円程度です。

介護医療院
長期の療養が必要な場合に入所し、終身の利用が可能です。入居一時金は0円、月額費用は3万~14万円程度です。

公的な施設なので費用が比較的安いのが特徴です。介護の専門家によるサービスが24時間受けられますが、介護度が低い人は利用できないなど、すぐに入所できない場合もあります。

民間の介護施設に入る場合の費用目安

民間の介護施設の費用目安は次のようになります。

有料老人ホーム
介護付き、住宅型、健康型などの種類があります。入居一時金はさまざまで、0円の施設もあれば、数十万円から数千万円の施設もあります。月額利用料は9万~230万円程度です。

グループホーム
認知症の高齢者を対象としています。入居一時金は敷金で退去時に返還されます。0~数十万円と、施設によって大きく違います。月額利用料16万~18万円程度です。

サービス付高齢者向け住宅
認知症ではない、身の回りのことができるなど、ある程度健康な高齢者向けの施設です。入居一時金は敷金で、0~数十万円、月額利用料は10万~98万円程度です。

施設の選択肢が広く、夫婦で入居できる施設もありますが、公的な施設と違い、都道府県ごとに費用が異なります。介護度が上がると退去になる可能性があります。

年金額だけで介護施設費用は足りる?

年金額だけで介護施設費用はまかなえるでしょうか? 厚生労働省の調査によると、2017年度に老齢厚生年金を受給している人の平均年金月額は、男性16万5,668円、女性10万3,026円、老齢基礎年金では、男性5万8,754円、女性5万3,013円です。

先ほどの費用の目安を見ると、老齢厚生年金を受給している人は、公的な介護施設に絞れば、年金だけで入所できそうです。民間の介護施設であっても地方へ選択肢を広げると入居可能な施設が見つかるかもしれません。

老齢基礎年金のみを受給している人は数万円不足しますが、公的な介護施設は、所得に応じた負担上限額が設けられているので、子供世代が負担しなければならない費用は抑えられます。

しかし、月額利用料以外にかかる費用があり、また希望する介護施設にすぐに入所できないこともありますので、資金はゆとりを持って考えておきましょう。不足すると思う場合は準備をすぐに始めておくことをお勧めします。

費用と本人の希望を合わせて検討しよう

介護施設にはそれぞれの特徴があり、入居を検討するときは、費用と合わせて本人の希望を十分に検討する必要があります。事前に介護施設について情報を得たり、費用のことなどを家族で話しあったりしておくとよいですね。

文・藤原洋子(ファイナンシャル・プランナー)/fuelle

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