ウォール街では、今年のIPOによる資金調達が過去最高になると期待されていたが、ここに来てどうも雲行きが怪しくなり始めている。5月に上場した配車サービス大手のウーバーの株価低迷に続き、9月30日には米シェアオフィス大手のウィーワークがSEC(証券取引委員会)に提出した登録届出書の撤回を申し入れる「IPO中止」を発表したからだ。ウォール街のフィナンシャルアドバイザーからは「投資家も興醒めの様子」と嘆く声も聞かれる。

ただ、このような状況にありながら、2020年のIPOに向けて注目を集めている企業がある。サンフランシスコに本社を置く料理宅配サービスの「ドアダッシュ」だ。

評価額が1年で9倍、市場シェアTOPに

ドアダッシュ,株価
(画像=RickyOfTheWorld / shutterstock, ZUU online)

ドアダッシュが注目されているのは、昨年からの評価額及び市場シェアの拡大が際立っているからだ。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドも投資しているドアダッシュは2018年以降で資本調達を4回実施している。それぞれの調達での評価額を振り返ると、2018年3月が14億ドル、5ヵ月後の8月は40億ドル、2019年2月は71億ドル、そして5月は126億ドルと拡大しており、今年5月までの1年余りでちょうど9倍となっている。

ちなみに、競合他社ですでに上場を果たしているグラブハブの時価総額は48億ドル(10月9日現在)で、ドアダッシュの半分以下である。また、業界4位のポストメイツが9月に2.25億ドルの資金調達を実施した際の評価額は24億ドルで、1月時点の18.5億ドルからは上昇しているもののドアダッシュとの差は拡大の一途を辿っている。

フードデリバリー業界は2004年創業の先駆者グラブハブがリード役となって成長し、2014年には配車サービス大手のウーバー傘下のウーバー・イーツが参戦してきた。2013年創業のドアダッシュはしばらくこの2社を相手に苦戦を強いられていたが、2018年以降に市場シェアを急拡大している。ドアダッシュは2018年10月に業界2位のウーバー・イーツを市場シェアで抜き去り、今年5月にはグラブハブをも抜いて頂点に立ったのだ。

調査会社セカンドメジャーによると、8月時点の市場シェアはドアダッシュが36%、2番手のグラブハブは32%、3番手のウーバーイーツは15%、4番手のポストメイツが11%となっている。かつて新興企業が乱立していたフードデリバリー業界も、米国では事実上この4社の争いとなっている。

郊外に強いドアダッシュ、都市部はグラブハブが優勢