2019年10月1日、消費税が8%から10%へと増税されました。これまでの経緯を振り返ると、日本ではじめて消費税が導入されたのは1989年4月です。竹下内閣のときでした。当初の消費税は3%だったものの1997年には5%へと引き上げられ、さらに2014年には8%へと変更。その後、2015年と2017年に予定されていた増税は2度にわたり延期され、満を持して今回の消費増税へと至りました。
政府は、消費増税による景気の下振れを懸念し食品をはじめとする「軽減税率」の導入や、キャッシュレス決済による「ポイント還元制度」などを導入するなど経済や国民生活への配慮もしています。しかし暮らしと密接に関わる消費税が増税されたことに変わりはありません。こうした状況をうけて私たちは今後、どのように対処していけばいいのでしょうか。そのポイントを探っていきましょう。
消費増税の理由とは?
そもそも今回の消費増税は、少子高齢化にともなう社会保障費等の増大にあたり安定的な財源を確保することを目的としています。事実、日本の財政は大幅な赤字をくり返しており、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の改善が急務です。しかし2018年度の当初予算は過去最高の約98兆円、2019年の予算案はそれを上回る100兆円超となるなど、歳出の拡大はとどまるところをしりません。
2019年度予算案では、「国債依存度」が32.2%となり、前回よりも2.3ポイント改善するなどの成果もありました。ただ依然として借金体質であることには変わりありません。将来世代に負債を残さないためにも消費増税という痛みをともなう改革を断行することによって状況を改善させなければならないのは事実です。ただ一方で景気の下振れ効果が懸念されるなど問題も指摘されています。
消費増税への正しい対処法
このように一定の支持を得て行われた消費増税ですが、消費者からすると日々の支出が増えることは間違いありません。消費増税の是非を問うことも大切ですが、暮らしを圧迫しないよう各人に工夫が求められています。では具体的にどのような点に注意しておけばいいのでしょうか。「軽減税率」や「ポイント還元(キャッシュレスポイント)」などの制度とともにチェックしていきましょう。
軽減税率とは
実質的な消費税の“据え置き効果”をもたらすのが、消費増税とともに実施された「軽減税率制度」です。軽減税率とは、お酒・外食を除く飲料食品等の購入にかかる税率を8%のままにすることで家計への影響を緩和するものとなります。ただ対象となる商品とそうでないものの違いがわかりづらく消費の現場では理解が浸透していない点が問題視されています。
ポイント還元(キャッシュレスポイント)事業の実施
直接的な税率の軽減ではないもののポイントが付加されることで実質的な減税になるのが「ポイント還元事業(キャッシュレス消費者還元事業)」です。この制度は、クレジットカードやSuicaなどを利用した非接触型決済をはじめとするキャッシュレス決済において利用者に所定のポイントが還元されるというものです。
現状、消費税率引き上げ後の9ヵ月間(2019年10月~2020年6月)と限られていますが、キャッシュレス決済の普及拡大にも寄与するとの予測もあり利用が拡大しています。
プレミアム付商品券の発行
消費税率の引き上げによる負担が相対的に大きいと考える人に対し、「プレミアム付商品券」の販売も行われています。対象者は以下の通りです。
・住民税非課税の人
一人あたり最大2万5,000円分の商品券を2万円で購入可能
・学齢3歳未満の小さな乳幼児のいる子育て世帯の人
子ども一人につき最大2万5,000円分の商品券を2万円で購入可能
日常の消費に注意を払おう
政府は、消費税率引き上げ後の景気対策として、これらの施策に2兆280億円をあてるとしています。消費者としては、こうした制度を上手に活用していくことが、日々の生活を防衛することにつながるはずです。そしてそのためには、「どのような制度があり、どのように使えばいいのか」を把握したうえで無理のない範囲で活用していくことが大切です。それが結果的に消費増税による負担を軽減することになるでしょう。(提供:YANUSY)
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