「医療保険」は病気やケガによる手術・入院の費用をカバーする保険ですが、最近は女性特有のリスクを手厚く保障する「医療保険」が「女性保険」として注目されています。一般的な「医療保険」や「がん保険」との違い、特徴・メリットなどを分りやすく説明します。
女性特有の病気や妊娠・出産トラブルを保障する女性向けの「医療保険」
「医療保険」や「がん保険」の中には、女性特有の病気や妊娠・出産時のリスクを手厚く保障をしてくれる保険があります。「女性保険」という名称が付いているものをはじめ、女性ならではの病気や妊娠・出産トラブル時に「女性疾病特約」という保障が上乗せされるものです。
女性特有の病気は「医療保険」や「がん保険」でもほぼ保障されるため、必ずしも「女性保険」が必須とはいえない面もあります。ただ、一般の医療保険などでは十分保障しきれない部分を手厚くサポートしてくれるので、加入しておけば安心といえるでしょう。
人生で女性に特化した健康リスクはこんなにも多い
女性特有とされる病気には子宮がんや卵巣がんといったがんをはじめ、子宮筋腫や卵巣のう腫などがあります。いずれも手術や入院が必要なものがほとんどで、「女性保険」に入っていれば費用負担の軽減につながります。
国立がん研究センターが今年4月に公表した「がんの統計 '18」 によれば、2018年に女性でがんに罹った人の総数は43万8,700人でした。また、女性の年代別発症率を見ると、直近の2014年に集計された同資料では40歳代で乳がんが約50%、子宮がんと卵巣がんの合計が約20%を占めるなど7割が女性特有のがんとなっています。アラフォー世代で女性特有のがんのリスクが高いことはほぼ間違いありません。
さらに、女性には妊娠・出産に伴うさまざまなリスクもあります。子宮外妊娠や流産・早産、帝王切開など異常な妊娠や分娩は医療保険では保障対象となりにくいのですが、「女性保険」や「女性疾病特約」に加入していれば手術や入院の給付金が支給されます。
「掛け捨て型」と「貯蓄型」、どちらの女性向け「医療保険」がお得?
「女性保険」には、支払った保険料が戻らない掛け捨て型と、保険の解約時や一定の契約期間ごとに「払戻金」が戻ってくる貯蓄型があります。
掛け捨て型は「万が一の備え」に特化した商品のため、「払戻金」は戻りませんが保険料が安く済みます。手厚い保障は必要なものの、月々の保険料はなるべく低く抑えたい人に向いているといえるでしょう。
一方の貯蓄型は、途中解約した場合でも払い込み金額に応じた払戻金が戻り、元気で生きていると「健康お祝い金」「生存給付金」などのボーナスを決まった期間ごとに受け取ることができます。ただ、あくまでも「万が一の備え」が目的のため、戻るのは総額保険料と比べるとかなり少なくなります。備えと貯蓄が並行してできるため、お金にやや余裕がある人や貯金が苦手な人には向いているかもしれません。
人によって考え方や状況が違うため「掛け捨て型」と「貯蓄型」のどちらがお得とはいえませんが、月々の保険料や払い戻されるボーナスの期間・金額について考慮したうえで決めることが大切です。
また、病気に関する保障だけでなく「死亡保障」が付いたタイプの「女性保険」もあり、保険料はその分上積みされます。保険金額は概ね数十万円~数百万円程度に抑えられていますが、家庭の収入の担い手であるとか、別の生命保険に加入しているかなどにより判断してください。
女性におすすめしたい「医療保険」4選
保険料が安価な「掛け捨て型」
オリックス生命の「新キュア・レディ」は、加入時のままの保険料で一生同じ保障を受けることができる終身保険です。解約払戻金や死亡保障を付けずに保険期間や保険料払い込み期間を終身とすることで、通常は年齢に応じて増えていく保険料を抑えました。保険料は40歳で月額2,000円程度と低価格です。
女性特有の病気に加え甲状腺疾患やすべてのがんによる入院であれば、日額5,000円コースの場合で主契約の入院給付金5,000円にさらに5,000円が上乗せされ、日帰り入院から保障されます。つわりや子宮外妊娠、妊娠高血圧、妊娠糖尿病などでの入院も対象です。公的医療保険制度の給付対象とならない先進療養治療を受けた時も、先進医療費用の保障や一時金支払いがあるため安心して治療に専念できます。
ライフネット生命の「新じぶんへの保険レディース エコノミーコース」も保険料が加入時のまま一生上がらない終身保険で、40歳での月額保険料は入院給付金が5,000円の場合で2,130円です(2018年時点の保険料)。女性特有の病気や妊娠・出産の異常で入院した場合、女性入院給付金として5,000円が通常の入院給付金5,000円に上乗せされます。日帰り入院を含めた5日以内の入院でも、一律5日分を受け取ることができることがポイントです。
コープ共済の「たすけあい女性コースL2000」は、妊娠中でも入れる数少ない保険であることが大きなメリットです。妊娠や分娩の異常による診察や治療などを受けていなければ加入が可能で、その後手術や入院が必要になれば日帰り手術にも共済金が支払われます。
女性がかかりやすい病気や妊娠・出産に関する異常の場合、女性入院給付金3,000円が5,000円の入院給付金に上乗せされます。 保険料は40歳で月額2,000円に抑えられ、終身ではないものの65歳まで保障されているのがお得といえます。さらに、月に100円上乗せするだけで先進医療特約を付帯できます。
ボーナスがもらえる「貯蓄型」
SOMPOひまわり生命保険の女性保険「フェミニーヌ」は40歳で加入した場合の月額保険料が8,653円で、保険期間・保険料払込期間は15年です。乳がんや子宮がん、子宮筋腫などで入院した場合、女性入院給付金を上乗せした入院給付金は1万5,000円とかなり高額です。子宮外妊娠や切迫流産など妊娠・出産関係の入院も同じ金額となります。
貯蓄型のため、入院の有無や回数にかかわらず生存給付金として3年ごとに15万円、15年間で合計75万円を受け取れることが魅力です。300万円の死亡保険金も付いていて、高度障害状態になった場合は特約高度障害保険金が給付されるのに加え保険料免除のまま入院保障が継続されます。
デメリットも含め年齢やライフプランに合わせて選ぶことが重要
女性向けの医療保険は保険会社によって「女性特有の病気」の定義が異なるため、あらかじめ保障範囲をしっかりと比較しましょう。妊娠・出産の保障についても、一般的な「女性保険」は妊娠月数が進むと加入できない場合もあるので注意してください。
年齢によって保険料が変わりライフプランも個人で異なるため、自分の現状や将来の計画に合わせて加入時期や商品を選ぶことが何よりも大切です。迷った時はファイナンシャル・プランナーなど保険選びのプロに相談してみるとよいでしょう。
文・渡辺友絵(ライター・編集者)/fuelle
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