米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(以下、ウーバー )の2019年7〜9月期決算は予想を上回る好決算となった。しかし、マーケットの反応は冷淡でウーバー株は依然として低迷が続いている。11月12日現在のウーバーの株価は26.70ドルとIPO(新規公開株)価格の45ドルを41%下回る水準である。ウォール街のトレーダーからは「ウーバーの決算は予想を上回ったが、赤字脱却への見通しが不透明」との声も聞かれ、手放しで強気しにくいのが実情のようだ。

今回はウーバーの最新動向をリポートしたい。

予想上回る売上も株式市場は冷ややか

ウーバー・テクノロジーズ,株価
(画像=InkDrop / shutterstock, ZUU online)

ウーバーの7~9月期の売上高は38億ドルで前年同期(29億ドル)から30%増と大幅な伸びを示し、ファクトセットがまとめたアナリスト予想(36億ドル)をも上回った。中核のライドシェア事業が19%増の29億ドル、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」は64%増の6億5000万ドルだった。貨物トラックの配車サービスも78%増の2億2000万ドルと大きく伸びた。

ただし、純損益は11億6000万ドルの赤字と前年同期(9億8600万ドルの赤字)から赤字幅を拡大した。過去最大の赤字を記録した前期(4~6月期52億ドルの赤字)からは縮小したものの、5月のIPOに関連する株式報酬費用39億ドルを計上していたことを踏まえると「売上が好調とはいえ、依然として赤字体質から抜け出せていない」(前出トレーダー)と冷ややかな声も聞かれる。

グロスブッキング、市場予想に届かず

ウーバー株は7~9月期決算発表後の5日に一時10%安に見舞われている。背景には赤字脱却への見通しが不透明なことに加え、市場が注目する月平均利用者数とグロスブッキング(運転手への支払いや手数料などを差し引く前の収入)が予想に届かなかったことも一因と指摘されている。すべてのサービスを合わせた月平均利用者数は前年同期比26%増の1億300万人となり、初めて1億人を超えたが、市場予想の1億700万人には届かなかった。また、グロスブッキングは前年同期比29%増の165億ドルと、こちらも市場予想の167億ドルを下回っている。