40代が定年退職を迎えるまでに効率的にお金を貯める方法とは?子供の教育や自分の老後に必要な資金が現実的に見えてくる40代。これまでお金を貯めてこなかった人でも「さすがにもう貯め始めなければ」と焦っているのではないだろうか。40代の貯蓄事情とともにお金を貯める方法とそのためのステップをFPが解説する。

お金を貯める目的トップ3……40代の1位は「子供の教育資金」

お金を貯める方法,お金の貯め方
(画像=lovelyday12/Shutterstock.com)

40代がお金を貯める目的の上位は、子供の教育資金(69.8%)、病気や不時の災害への備え(51.3%)、老後の生活資金(49.1%)となっている(※金融広報中央委員会の2018年「家計の金融行動に関する世論調査」より)。

一方で40代世帯の貯蓄の現状は厳しい。40代の2人以上世帯の平均貯蓄額は1,012万円。負債額の平均は1,105万円(うち住宅・土地に関連した負債額は1,031万円)であり、負債が貯蓄を上回る(※総務省統計局の2018年「家計調査」により)。平均値ではあるが、負債を差し引いた実質的な貯蓄がゼロあるいはマイナスという40代世帯は少なくない。

お金を貯める方法を実践する前にやっておきたい3つのこと

計画的に効率よくお金を貯めていくためには、現状の把握と適切なゴール設定が重要だ。

家計の収支と資産の状況を把握する

家計の収支と保有する資産の状況が把握できていなければ、お金を貯めるための有効な対策をとるのは難しい。

家計に入ってくる以上にお金を使っている状況では、いつまで経ってもお金は貯まらない。家計の状況を把握すれば、どこにお金を使いすぎているのかが見つけやすくなり、具体的な対策をとれる。資産全体の状況を把握できれば、運用(投資)に回せるお金が明確になり、資産を活用して効率よくお金を増やしていける。

お金を目的と必要な時期によって3つに分ける

効率的にお金を貯めるには、使う目的と時期を手掛かりに資金を大きく3つに分けて考えてみよう。お金を貯める目的やお金が必要になる時期によってさらに細かく分けても良い。

⑴短期資金(使うお金)……生活資金や緊急資金。毎月の収入では不足する臨時的な支出、急な病気やけが、失業などに備える貯蓄。半年から1年分の生活費を目安に、銀行での預貯金などですぐに現金化できる形で保有しておくのが望ましい。

⑵中期資金(貯めるお金)……教育資金や住宅購入資金など。数年以内に使うことが決まっている資金。安全性の高い商品で運用しながら貯めていくのが望ましい。

⑶長期資金(増やすお金)……老後資金など当面使う予定のない資金。長期運用にはリスク軽減効果があるので、積極的にリスクをとった運用が可能。増やしながら貯めていくのが望ましい。

貯蓄・運用の目的と期間からゴール(目標額)を設定する

教育資金や老後資金、緊急資金など貯蓄の目的が明確になったら、それぞれの資金がいくら必要になるのか、目標額を設定する。

たとえば現在40歳の人が老後資金として65歳までに1,800万円貯めようとする場合、全く運用を行わないケースでは、今後25年で毎月6万円ずつ貯蓄に回す必要がある。仮に積立運用により年3%で複利運用ができれば、毎月の積立額は約4万円だ。このように目標額を設定し、その運用方法を決めれば、必要な貯蓄額(積立額)が明確になり、行動に移しやすくなる。

将来の必要な金額や運用利回りを正確に予想することは難しい。そのため目標額は多少大まかで構わない。目標設定後に状況が変化したり、目標額が明確になったりすれば、その時点で適宜修正していこう。

40代からお金を貯める6つの方法 

具体的にどうすればお金が貯まるのか。自分や家族のために本気でお金を貯めたい年齢なのに、貯金が難しいという40代が実践すべき6つの方法を紹介しよう。

お金を貯める方法1……生活コストを見直す

現在の生活コストを見直し無駄な支出があれば改善しよう。生活コストを見直す際は、固定費から手をつけるのがおすすめだ。

固定費は家賃や保険料、通信費(スマホ代)など、家計に占める割合が大きい。一度見直せば効果が持続し無理なく節約できる。一方で食費を無理に切り詰めるような節約は、短期的には効果があったとしても長続きしない。

お金を貯める方法2……借金・ローンの返済や借入条件の見直しにより利息負担を減らす

お金を借りるにはお金(利息)がかかる。高金利で借りている借金はできるだけ早く完済を目指したい。完済が難しい場合でも、より金利の低いローンに借り換えることで利息負担を軽減できる場合もある。借り換えには審査があり手数料もかかるが、それを上回るメリットがあれば積極的に検討したい。

ただし今は超低金利の時代。住宅ローンは金利ゼロ%台も珍しくない。このような低金利のローンを利用している人は、手元資金を繰り上げ返済に充てるよりも、運用に回したほうが有利なケースもある。すべての借金が悪ではない。低金利の借金であれば有効に活用すべきだ。

お金を貯める方法3……先取り貯蓄を行う

先取り貯蓄とは、毎月の収入から貯蓄や運用に回すお金を先に差し引き、残ったお金で生活費をやりくりする方法。確実にお金を貯めるには、この方法が有効だ。

生活費をやりくりして残ったお金を貯蓄に回すのでは、ついついお金を使いすぎてしまい、貯蓄に回すお金がなくなってしまうことがあるためだ。当然だが、先取り貯蓄をしていても、生活費が足りないからといって緊急時以外に貯蓄を切り崩すのはNGだ。

お金を貯める方法4……目的別に口座を分けて管理する

貯蓄の目的ごとに口座を分けると、目標金額まであといくらか一目で把握でき、貯蓄の励みにもなる。緊急資金、教育資金、老後資金のほか、「自分や家族へのご褒美用口座」に家族旅行などの資金を貯めるのも、貯蓄の楽しみになるだろう。同一名義の口座内で、目的別に複数の口座を設定・管理できる銀行もある。

お金を貯める方法5……投資(資産運用)で不労所得を得る

効率よくお金を貯めるには、資産運用でお金に働いてもらおう。投資にはリスクが伴うため、お金を貯める目的や運用期間にあわせた運用商品の選択が重要になる。

安全性を重視しながら安定したリターンを狙うのであれば、定期預金や個人向け国債などが選択肢となる。一般的に普通預金よりも定期預金のほうが金利は高いとされている。しかし定期預金を上回る金利の普通預金を扱うネット専業銀行や、店舗型銀行のネット支店もある。一般的な考えにとらわれず、様々な選択肢を比較してみることも大切だ。

より高いリターンを狙うのであれば、株式や投資信託などのリスク商品による運用も必要になる。適正な商品を適切なタイミングで売買して継続的に利益をあげることは、投資のプロでも簡単ではない。しかしインデックスファンド(投資対象とする株価指数に連動した運用成果を目指すファンド投資信託)などに毎月一定額ずつ長期的な積立投資を行えば、プロに引けをとらない運用成果も十分期待できる。つみたてNISAやiDeCo(イデコ)など税制面での優遇制度もうまく活用したい。

お金を貯める方法6……副業で複数の収入源を持つ

収入が増えればお金が貯まるペースを大幅にアップできる。本業の収入を上げるための努力はもちろん、副業などにより収入源を複数持つことも有効だ。倒産やリストラ、残業削減などによる収入減少リスクの軽減にもなる。

インターネットを活用したライティングやプログラミング、動画編集など、場所や時間の制約を受けずにできる副業も多い。クラウドワークスやランサーズなど、仕事を依頼したい企業と個人をつなぐプラットフォームサービスもあり、自分にあった仕事を探せる環境も整っている。

これまでの経験を活かした事業アイデアなどがあれば、起業という選択肢もある。初期投資を抑えた小規模起業や個人事業であれば、大きなリスクをとりにくい40代でも挑戦しやすいといえる。

普段利用していない不動産(空き家や空き部屋、駐車スペースなど)や自動車などがあるなら、貸し出して収入を得ることも考えられるだろう。

簡単に目標金額を設定しお金を積み立てるアプリやツールを利用するのも手

このようにお金を貯めるためには設定した目標に向けお金を貯める方法を実践していけばいいわけだが、自分ではなかなか続けられないという人もいるだろう。そんな人は意識しなくても自動的に貯蓄や積立投資ができるアプリやツールを利用するのも良い。

今はアプリやツールを使い、買い物をするたび、あらかじめ設定した割合の金額が自動で積み立てられたり、おつり分に相当する金額が自動で積立投資できたりする便利なサービスがある。

現状を把握し無駄な出費を抑えること。長期的なスタンスで資産を適切に管理・運用していくこと。収入を増やし入金力を上げること。これらを心がけることでお金が貯まらない人からお金が貯まる人になるはずだ。

文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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