各種の不動産投資ローンには3つの金利タイプがあります。1つ目は、市場の金利動向に応じて金利と返済額が変わる「変動金利型」。2つ目は2年、3年、5年……10年といったように一定期間、金利が固定している「固定期間選択型」です。そして3つ目が当初の金利が完済まで変わらない「全期間固定金利型」となります。不動産投資では全期間固定金利型のローンは少なく、変動金利型と固定期間選択型が多いのが特徴です。本稿ではこれらの選び方と返済方法について説明します。
今後の金利の見通しを推測する
不動産投資ローンを選ぶ際、どの金利タイプを選べば効率的に返済できるかは市場動向によって変わります。変動金利型は市場の金利動向が変動する場合、それに沿って適用金利が変わりますが、返済額の見直しは5年に1度です。変動金利型の場合、金利が低めに設定されている上、当初の5年間の返済額は確定しているので、返済計画を立てやすいという面があります。
一方の固定期間選択型は、期間の短い場合は変動金利型並みの低い金利が多く、10年固定など固定期間の長いタイプはやや高めの金利設定となる傾向があります。
これらの条件から、今後の市場動向を推測して、この先も当分は低金利が続くと予想されるのであれば、「変動金利型」か、もしくは「固定期間選択型」の中でも、2年もしくは3年といったような短期間で金利の低いタイプを活用することが効率的です。逆に遠からず市場の金利が上がるという予想であれば、返済額を10年間フィックスできる10年固定を利用することが効率的であると言えるでしょう。
返済計画に頼らず、返済期間は自分で設定する
不動産投資ローンを検討する場合、金融機関のウェブサイトでは借入額や年収などに応じて資金計画をシミュレーションできますので、それを利用するとよいでしょう。しかしそれはあくまでも返済における一例に過ぎません。不動産会社や金融機関が立ててくれる返済計画は、物件を買ってもらいたいという狙いがありますから、返済可能な最長期間で計算した方法が提示されることが一般的だといえます。
不動産投資用ローンの場合、最長返済期間は30年としているところが多いようです。しかし、実際の返済の場合、30年以下ならば1年単位で選択できることがほとんどです。返済期間を短くすれば、毎月の返済額は増えますが期間が短い分、完済までの総額は少なくなります。もちろん負担額が大きくなる分、万が一空室で家賃収入を見込めない場合に生じるリスクも高くなります。このため、年収や賃料収入などとの関係をチェックした上で、余裕のある範囲を探りながら適正な返済期間を見定めたいところです。
返済期間を短くすれば、200万円以上の節約になることも
同じ金利でも返済期間が短くなるほど、一回あたりの返済額は大きくなります。下記表にある通り、金利2.0%で30年返済ならば毎月7万3,923円の返済額で済みますが、25年返済にすると8年4,770円に、20年返済にすると10万1,176円となる計算です。
これは家賃収入が6万円の物件なら、30年返済だと1万4,000円ほどの持ち出しですが、20年返済だと4万円ちょっとの持ち出しになるということでもあります。平均的な年収で考えると、その返済額が苦しいかどうかが漠然と推測できることでしょう。
返済期間が短いと、それだけ完済までの総支払額は少なくなります。仮に、完済まで金利が変わらないとすれば、30年返済だと総返済額は7万3923円×12か月×30年で約2,661万円ですが、20年返済だと10万1176円×12か月×20年で約2,428万円に減少します。年収に余裕があって早めに返済できるのであれば、返済期間を短くすれば差し引きで233万円もトクできるという結果になります。
金利 | 15年返済 | 20年返済 | 25年返済 | 30年返済 |
---|---|---|---|---|
1.0% | 11万9,698円 | 9万1,978円 | 7万5,374円 | 6万4,327円 |
2.0% | 12万8,701円 | 10万1,176円 | 8万4,770円 | 7万3,923円 |
3.0% | 13万8,176円 | 11万919円 | 9万4,842円 | 8万4,320円 |
返済期間を短縮すれば老後に備える安心感も
現在35歳の人であれば、30年返済だと完済できるは64歳です。しかし20年での返済計画を立てた場合、完済となるのは54歳です。55歳からローン返済がなくなり、不動産投資用物件から得られる賃料収入を老後の備えに回すことができるようになります。不動産投資は長期的な視点で臨むというのも、一つの投資方法です。老後について考えた場合、返済期間を短縮するという方法も戦略に取り入れてみてはいかがでしょうか。(提供:Incomepress )
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