ふたを開けてみると11月の米国市場は今年一番の上昇となり、12月はさらなる上昇の楽観が広がっている。背景には強い米国経済と米中貿易戦争終結の期待がある。

11月の終値はS&P500は前月比3.4%高で3,140、ダウは前月比3.7%高で28,051となった。先月の中で最も上昇したセクターはテクノロジーセクターで5.2%の上昇であった。これに伴いナスダックも4.5%高となり、終値は8,665となった。

引き続き米中貿易協議によるヘッドラインリスクは存在する中、今週に決算を控え大きな値動きが見込まれる3銘柄を紹介する。

セールスフォース(Salesforce.com)

セールスフォース (NYSE:CRM)は、12月3日(火)の引け後に第3四半期(8‐10月期)決算を控えている。市場予想は、グローバルからの伸びが良いと見込まれており売上高44.5億ドル、EPSは0.66ドルとなっている。

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企業の顧客管理デジタル化の流れから恩恵を受け、セールスフォースの売上高と株価は近年堅調に上昇している。20年目となるセールスフォースは、戦略的な買収を繰り返し、現在クラウドコンピューティングによる顧客管理サービスの業界で独占的なポジショニングにある。

同社は今年の業績見通しにおいて、売上高を前回予想の161億ドル-165億ドルから、167.5億-169億ドルに上方修正した。

しかし、利益においてはタブロー(NYSE:DATA) の153億ドル買収を含めて消化しきれておらず、下方修正している。

同社のビジネスインテリジェンスの拡大への動きの中で、タブローを全株式交換方式によって過去最大の買収を行った。セールスフォースの株価は、全体と比べて若干遅れをとっている。ナスダックが年初来30%高となっているなかで、セールスフォースは年初来19%の上昇となっている。先週金曜日の終値は162.89ドルとなった。

2. クローガー(Kroger)

米国最大手の食品スーパークローガー(NYSE:KR)は、12月5日(木)の寄り付き前に第3四半期(8‐10月期) 決算が予定されている。市場予想では、売上高281.5億ドル、EPSは0.49ドルとなっている。

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クローガーの株価は過去1年間で10%の下落となっている。クローガーが事業戦略に苦戦をしている中で、ウォルマート(NYSE:WMT)や他の競合他社がマーケットシェアを奪っている。先週金曜日の終値は27.34ドルとなった。

マーケットシェアを維持するために、クローガーはミールキットサービスを提供するホームシェフ(Home Chef)を買収したり、グロッサリーの同日配送サービスを展開するInstacartと業務提携を結んでいる。

9月の第2四半期決算では、ロドニー・マクマレンCEOは、2017年に発表した2020年までに4億ドルの利益を創出する計画は厳しくなっていることを述べていた。第3四半期においては、薬局事業への圧力によって収益は横ばいになる見通しとなった。

しかし、第4四半期の利益は以前の見通しより良くなると予想しており、通年の業績見通しを変更せずに維持する見通しであった。

3. ズーム(Zoom Video)

ズーム(NASDAQ:ZM)は12月5日(木)の引け後に第2四半期(8‐10月期) 決算を発表する予定である。市場予想では、売上高1億5594万ドル、EPSは0.03ドルとなっている。

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前四半期決算では、市場予想を上回る結果であった。しかし、同社の株価は投資家から割高と判断され、今年つけた最高値の107.37ドルから約30%の下落し、先週金曜日の終値は74.50ドルとなっている。

2019年に行われたIPOでズームがウーバー(NYSE:UBER)、リフト (NASDAQ:LYFT)などと異なるのは、IPOが行われた2018年4月18日の時点ですでに優れた収益性が示せていたことである。最近のIPOする企業は利益を後回しして、売上を追及するパターンが多くみられる。昨年、ズームは純利益758万ドルとなり、売上高は118%上昇し3億3050万ドルとなっていた。

米系IT調査会社インターナショナルデータコーポレーション(International Data Corp)は、ズームが事業を展開する市場セグメントは2022年までに431億ドルとなると予想している。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル