●米国株式市場は強い雇用統計の結果で上昇
● 投資家は12月15日の追加関税がどうなるかを見極めている状態
●FRB、ECB、SNBなどが今週金融政策決定会合を開催予定
これらの材料は今週の金融市場にさらに大きな流れをもたらす可能性がある3点だ。
強い経済指標は、米中貿易協議の鈍い進展を脇に置いて株価を上昇させた。世界の株式市場は金曜日に上昇し、米国の株価指数は最高値まであと少しのところで終了している。世界的に改善しつつある製造業PMIによって、世界の株式市場は4ヶ月連続で上昇し、世界の株価上昇率は米国を上回った。需要は徐々に回復してきており、製造業の底打ちを示している。
S&P500、NYダウ平均株価、ナスダック総合指数、ラッセル2000など米国の株価指数はすべて金曜日に急騰し、直近1か月で最高のパフォーマンスをみせた。主な要因として11月の非農業部門雇用者数が26万6,000人に増加、失業率も3.5%に低下、平均時給も前年比でわずかに上昇、先月の雇用者数が上方修正など、市場予想を上回る結果を示したことが大きかった。
好調な労働市場の一方で、製造業の弱さは続いている。先週発表されたISM製造業購買担当者景気指数は先月より低下し、4か月連続で50を下回った。これは2015年から16年にかけて発生したのと同様の状態であり、投資家は経済が製造業の弱さに耐えられるかを判断する必要がある。当時は2015年12月を底にして株価は75%も上昇している。
米国、EU、スイス、ロシアの各中央銀行は、政策金利を据え置くと予想されている。英国の下院選挙では、ジョンソン首相率いる保守党が勝利すると予測され、ブレグジットへの道を開くことになるだろう。
米中貿易協議は依然として不透明だ。米国が12月15日に発効予定の中国製品に対する追加関税を撤廃する可能性はあるだろう。消費者に大きな痛みを伴わせるものだけに、政治に対して部分合意へ向かわせる圧力にはなるはずだ。
テクニカルな観点から、株価はさらなる上昇の機が熟してきている。
一旦下落していた米国の主要株価指数は長い下髭陽線(ハンマー)が出て、底打ちを見せた。 S&P 500は史上最高値をつけた11月27日の終値から0.25%以内まで上昇している。ダウ平均は0.53%、ナスダック総合指数は0.57%だ。ラッセル2000は、11月27日から0.02%、8月30日の最高値から6.6%で終了している。
週足で見ると、VIXは12.00に達し上昇している。このレベルは、2018年7月以降、強いサポートとなっている。ボラティリティは、5月と8月につけた20まで戻るか、2018年2月と12月につけた30を目指すことになる。
米10年債利回りをテクニカル的に見ると、2018年11月以降の下降トレンドライン(太線)を上抜けしようとしており、1.707~1.857で推移していた。金曜日に、そのレンジを一時的に上抜けしたが、最終的にはレンジ内で終了しており、まだこの動きが続く可能性を示している。
米国債利回りと同様に、ドル指数は雇用統計後から上昇し、8月以来の安値を切り上げて反転した。これは2018年6月中旬以降で最大の上昇となった。(提供:Investing.comより)
著者:ピンカス・コーエン