インベスティングドットコムの時事イラストで2019年を総括
米中両政府が通商協議の第一段階で合意に達したことを受け、米主要株価指数は史上最高値で2019年を締めくくろうとしている。また、ハト派的なFRBや堅調な米経済指標も、2019年の株式市場にとって好材料となった。実際、S&P500は年初来で約30%高となっている。
本記事では、インベスティングドットコムの時事イラストを用いて、2019年を総括する。
編集者注:以下の日付は、時事イラストが投稿された日付である。
1.2019年1月16日
世界の株式は、米政府機関閉鎖やブレグジットに動じない
2019年1月の株式市場では、米政府機関閉鎖やブレグジットが焦点となっていた。しかし、FRBのジェローム・パウエル議長によるハト派的な発言を受け、株式市場は値を上げて取引された。
2.2019年2月21日
パウエルFRB議長がV字回復を促し、トランプはハッピー
2018年末の株価暴落の後、米株式市場は強気相場となった。その一因として、FRBのハト派色が強まったことが挙げられる。
トランプ米大統領が利上げに関して繰り返しFRBを非難したため、FRBのハト派色が強まることとなった。
3.2019年3月20日
トランプ大統領、利上げに関してパウエルFRB議長を屈服させる
FRBは2019年に利上げを実施しないことを示唆した。また、トランプ大統領の希望に沿って、FRBは4.2兆ドル規模のバランスシート縮小計画の中止を表明した。
4.2019年4月30日
パウエル議長とハト派なFRBの金融政策がS&P500を市場最高値へと押し上げる
S&P500は3000ドル台を上回って、史上最高値に到達した。その背景として、FRBがハト派に転じたことが挙げられる。
5.2019年5月7日
トランプ大統領のツイート砲が再び炸裂!世界金融市場に動揺が走る
対中関税引き上げに関するトランプ大統領のツイートは、米中貿易の不透明感を増幅させ、金融市場に衝撃を与えた。
トランプ大統領は、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げ、その他の中国製品に関しても「直ぐに」関税の対象とする旨をツイートした。これを受け、米中間の緊張は急激に高まった。
6.2019年6月11日
金融緩和の中毒市場にとってパウエル議長の利下げが頼みの綱
早くとも7月に利下げが実施されるとの期待感から、S&P500は史上最高値へ肉薄した。
7.2019年7月9日
大きな利下げの可能性が消えるにつれて金融市場はパニックになっていく
米雇用統計の公開に伴い、7月のFOMCで利下げが決定されるとの期待は薄れ、市場心理は悪化した。
トランプ大統領はFRBが利下げを実施しないことに関して、繰り返し非難を続けた。
8.2019年8月6日
米中貿易戦争とタカ派なFRBによる二重の打撃が世界金融市場を襲う
米中貿易戦争が激化する中で、8月初週の米株式市場は値を下げて取引を終えた。
パウエルFRB議長は7月31日の記者会見の場で、利下げに関しては全く言及せず、タカ派色の強いスタンスが窺えた。
また、トランプ大統領は3000億ドル相当の中国製品に対して、9月1日から追加関税を課すことを発表した。
さらに、中国当局は人民元を対ドルで7元に引き上げた。これは、2008年の金融危機ぶりに元安となる水準であった。
9.2019年9月11日
ECBは金融緩和策としてQE再開を決定
欧州中央銀行(ECB)は、欧州経済の活性化に向けて、量的金融緩和政策の再開を発表した。
マリオ・ドラギECB総裁は、10ベーシスポイントを切り下げて、-0.5%へ利下げすることを発表した。
またECBは、必要に応じて11月1日から月額200億ユーロの債券買い入れを行う意向を示した。
2019年10月29日
悪いニュースが多い中、株式市場は史上最高値付近で取引されている
株式市場は、トランプ大統領の弾劾調査をよそに値動きしていた。
株式市場は弾劾調査に限らず、米中貿易戦争や世界景気の減速、中東情勢の緊迫化などの地政学的リスクを軽視していた。
2019年11月7日
サウジアラビアの国営石油会社 サウジアラムコのIPO、世界一の時価総額企業へ
サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコ(SE:2222)は、史上最大の調達額で上場し、時価総額はムハンマド皇太子が目標にしていた2兆ドルを一時上回った。
12.2019年12月18日
サンタラリーがウォールストリートにやってくる
米中貿易の進展やFRBによる利下げ、堅調な米経済指標を受け、S&P500は年初来で約27%高となっている。
一方、ダウ平均株価は23日、史上最高値を記録した。同指数は年初来で約21%高となっており、現在は28300台を推移している。(提供:Investing.comより)
著者:Investing.com