1月6日、大発会を迎えた東京株式市場は中東情勢の緊迫を受けて大波乱の幕開けとなった。この日は日経平均が終値で451円安の2万3204円を付けたほか、幅広い銘柄が売られる展開となった。そうした中、注目されるのはソニー <6758> が19円高と逆行高を演じたことだ。翌1月7日には一時7703円と18年半ぶりの高値まで買われ、東証1部の売買代金TOPに浮上、8日もイランによる米軍基地へのミサイル攻撃を受けて日経平均が下落する中、ソニー株は3日続伸となるなど順調な滑り出しとなった。
ソニーは日本を代表する上場企業の一つであるが、それにしてもここまで人気が高まっているのはなぜか? 詳しく見てみよう。
ソニーが発表「VISION-S」が話題に
まず、株式市場でソニー人気を後押しした要因の一つとして『CES2020』が指摘される。『CES』は毎年年初に米ラスベガスで開催する世界最大級の家電見本市で、新しいテクノロジーの発表の場として世界の株式市場で注目を集めるイベントとなっている。
今回の『CES2020』では5Gに関する発表が相次いだ。スマートフォンの新5G端末、5G対応のノートPC、5G向けの半導体のほか、5GインフラをベースとしたAI(人工知能)や自動運転、医療、スマートシティなどが公開されている。
ソニーが『CES2020』で公開したのはEV(電気自動車)・自動運転の試作車「VISION-S」である。試作車とはいえ、ソニーが自動運転車を公開したのは初めてのことだ。ソニーはカメラ用イメージセンサーで世界一のシェアを握り、次世代の自動運転等のカメラやセンサー技術にも経営資源を投入している。「VISION-S」は33個のセンサーを装備し、自動運転機能をサポートする。加えて、全座席ワイドスクリーンディスプレー、立体音響「360リアリティ・オーディオ」、常時接続コネクティビティー等の先端技術も搭載している。発売予定は明らかにされていないが、2020年度にも公道実験を目指しているという。