マンションの間取りでよく見る「2LDK+S」の「S」にあたるサービスルームは、本来居室として使うことを想定していないスペースですが、使い方を工夫することで生活を便利にすることができます。ここではマンションのサービスルームの活用法を見ていきましょう。
サービスルームと居室の違いとは?
サービスルームと居室の違いは何でしょうか。
常時使用する居室は、使う人の健康や衛生を保つために自然光を取り入れる必要があります。建築基準法では、居室には採光に必要な窓などの開口部を床面積の7分の1以上にすることが定められています。
また、火を使用する設備や器具が設置されている居室やキッチンは、酸欠や一酸化炭素中毒事故を防ぐため、床面積の20分の1以上の開口部を設けなければなりません。換気扇や吸気口の設置ならびに管理の必要があります。
上記の基準を満たさない部屋は居室として認められないため、不動産広告では「サービスルーム」と表記されます。建築基準法によってサービスルームにはエアコンや電話回線は設置できない決まりになっていますが、涼しい時期は寝室として利用することも可能です。
では、サービスルームには具体的にどのような使い方があるのでしょうか。いくつか事例を見ていきましょう。
採光が少ないほうが好都合な「書斎」
サービスルームの主な使い方に「書斎」があります。デスクと椅子、本棚を置けば、立派な書斎となります。デスクワークや勉強、読書、パソコンなど自分の趣味に使え、リラックスできる空間となるでしょう。
サービスルームは、実はその構造から書斎に向いています。本や雑誌は太陽光を受けると焼けてしまうため、採光が少ないサービスルームは本の保存には好都合なのです。心理的に「狭い空間のほうが仕事や勉強に集中できる」ともいわれているため、その点でも向いているといえます。インテリアに凝れば素敵な空間が生まれます。
ただし書棚の配置には耐震用の備えが必要です。また換気には十分注意し、自己責任で利用しましょう。
「シアタールーム・オーディオルーム」
サービスルームをシアタールームやオーディオルームとして活用している人もいます。音楽や映画は家族でも趣味が違うことが多いため、リビングで楽しもうとすると迷惑になることもあるでしょう。サービスルームのような独立した場所であれば、思う存分楽しむことができます。
シアタールームに設置したスクリーンで鑑賞すると映画館にいるような感覚を味わえるので、コアな映画ファンには有効な活用方法です。サービスルームの用途をシアタールームに限定するなら、カーテンを暗幕にして採光を遮断すればスクリーンの画像が鮮明になり、より映画館に近い雰囲気を醸し出せます。
「ストックルーム」として収納専用に
分譲マンションはあらかじめ設計が決まっているので、主婦にとって収納スペースは重要なチェックポイントです。収納スペースが少ない・狭い場合は、サービスルームを収納専用のストックルームにすることで利便性が増すでしょう。また、サービスルームを収納専用にすることで、他の部屋が広く使えるというメリットがあります。
例えば洋服をたくさん持っている人なら、ウォークインクローゼットに。洋服が選びやすくなり、手入れもしやすいので大変便利です。
ストックルームやウォークインクローゼットも、書斎と同じく採光が少ないほうが適しています。とはいえサービスルームは開口部が無い、または少ないため、保存・保管したものを傷めないために換気や湿度の管理には留意する必要があります。特に過剰な湿度は食品や洋服には大敵です。除湿機を入れたり、こまめに空気を入れ替えたりすることが収納したものを長く良い状態で保存するためには必要です。
動線を考えて家具などを配置しよう
例えば収納のためにサービスルームを利用する場合、手前からどんどん奥へとものを入れていくと手前のものが邪魔になり、後から奥のものを取り出すのは至難の技です。このような状態になるとサービスルームはただの「開かずの間」になってしまいます。また掃除もしづらいため、埃がたまり不衛生になり、害虫が発生したりすることも考えられます。
これらを防ぐためには、あらかじめサービスルームの利用目的を決め、それに合わせて動線を考えて家具(棚など)を適切に配置する必要があります。
例えばストックルームやウォークインクローゼットなら向かい合うように棚を配置し中央に通路を作ります。こうすることで収納物すべてが見渡せるため、欲しいものがどこにあるか分かり、すぐ取り出すことができます。
居室としては使えないサービスルームですが、使い方によっては居室と同等またはそれ以上の価値になります。
例えば、ホームステージングでサービスルームの使い方が工夫されていると借り手はイメージがわきやすいでしょう。(提供:Dear Reicious Online)
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