マーケットは、新型コロナウイルスがアウトブレイクした際の世界の経済活動への影響に注目している。
ブルームバーグのレポートでは、オーストラリア国立大学の経済学教授によると、もし新型コロナウイルスがアウトブレイクした場合、2003年にSARSが大流行したときの400億ドルの経済的打撃よりも、3-4倍高くなる可能性を示している。
先週の金曜日のマーケットはこれらの潜在的な経済ダメージによる売り圧力を受け、ダウ平均株価は2.1%下落し、昨年8月以来の下げ幅だった。ナスダックとS&P 500も同様に1.5%の大幅安となっている。
新型ウイルスは引き続きマーケットの懸念事項であり続けることは間違いないが、今週は重要な企業による決算が控えている。以下が、決算報告で大きな値動きが予想される注目の3銘柄である。
1. アルファベット(Alphabet)
グーグルの親会社であるアルファベット(NASDAQ:GOOGL)は、2月3日(月)の引け後に、2019年第4四半期決算を発表する。市場予想では、売上高469.1億ドル、EPS12.51ドルとなっている。
アルファベット株は2019年、ハイテク株の中でも遅れをとっていた。政府による規制強化や、オンライン広告の競争激化などの懸念が、アルファベットの重しになっていた。直近1年間では約27%の上昇となっており、先週金曜日の株価の終値は1%以上の下落となり1,432.78ドルとなった。
アルファベットの好調な業績はピークを打った可能性がある。アルファベットの第3四半期の売上高は339億ドルという記録的な数字となったが、クラウド事業へ多額の投資中であるためアナリスト予想は超えられなかった。しかしながら、このクラウド事業の中では、アマゾン (NASDAQ:AMZN)やマイクロソフト (NASDAQ:MSFT)についでのマーケットシェアを誇っている。
グーグルには競合他社からの圧力の他に、米国の規制当局は反トラスト法(独占禁止法)の調査に乗り出しており、投資家を悩ます懸念事項を払拭できてはいないだろう。
2. ディズニー(Disney)
ウォルト・ディズニー (NYSE:DIS)は2月4日(火)の引け後に2020年度第1四半期決算を報告する予定である。市場予想では、208.1億ドルの売上高、1.46ドルのEPSとなっている。
アナリストは、11月に動画配信業界に参入となったDisney Plusへの多大な投資によって今回の決算のボトムラインは大きく損なわれる可能性があることを予想している。
ディズニー株は2019年を通して上昇したが、今年に入って上昇勢いは失われつつある。先週金曜日の終値は0.4%安で、138.31ドルとなっている。
今週火曜日の決算報告では、上海ディズニーランドが新型コロナウイルスの影響により休園していることや、Disney+の加入者の状況が2大注目ポイントだろう。
3. メルク(Merck & Company)
大手製薬メルク(NYSE:MRK)は、2月5日(水)に2019年第4四半期の決算報告を行う。市場予想では、119.5億ドルの売上高、1.15ドルのEPSとなっている。
メルクはがん免疫薬「キートルーダ」の売上が好調である。昨年10月の第3四半期決算では業績はアナリスト予想を上回り、メルクは通年の売上高と利益の見通しを上方修正(連続3回目)した。
好決算のモメンタムにともなって、配当利回りは2.82%で、現在自社株買い中であり、投資家にとって長期投資のヘルスケア銘柄としてとても良い銘柄となっている。先週の金曜日の終値は1%安の85.44ドルである。直近5年では40%以上の上昇となっている。
好決算のモメンタムにともなって、配当利回りは2.82%で、現在自社株買い中であり、投資家にとって長期投資のヘルスケア銘柄としてとても良い銘柄となっている。先週の金曜日の終値は1%安の85.44ドルである。直近5年では40%以上の上昇となっている。
競合他社では肺がん治療薬の臨床試験でいい結果を報告している中で、メルクがこのがん治療薬の分野での優位性を維持するためにどのような計画を立てているかが今後の焦点となってくるだろう。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス・アンワル