純資産1246億ドル(フォーブス誌2020年2月6日データ)を所有する、世界屈指の経営者兼大富豪ジョフ・ベゾス氏。同氏の桁違いな資産と、収入源、お金に対する価値感から、Amazon帝国を一代で築き上げた不屈の原動力が見えてくるかも知れない。

純資産はバッキンガム宮殿80宮分!1日どれくらい稼いでいるのか?

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(画像=Eric Broder Van Dyke/Shutterstock.com)

Amazonの時価総額が約1兆 206億ドル(2020年2月データ)であることを勘案すると、創設者兼CEOのベゾス氏が、とてつもない金額を稼いでいる事実は驚くに値しない。

ビジネス・インサイダー誌がフォーブスのデータに基づき、2019年10月~2020年1月までの純資産の増加を元に計算したころ、1分あたり約2万3600ドル(約259万円)、30分で69万ドル、1日3400万ドル。国税庁の2018年の民間給与実態調査によると、日本人の平均年収は441万円。つまり同氏は日本人の平均年収を、わずか2分弱で稼ぎ出す計算になる。

純資産は、世界で最も高級な車、ロールスロイスのスウェプテイル(13億ドル)約96台、バッキンガム宮殿(推定15.5億ドル)約80宮殿に値する 。

主な収入源は自社株の配当 Googleにも初期投資

ベゾス氏のCEOとしての年収は、過去20年間一律の8万1840ドルと、意外なほど控えめだ。しかし、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOや先日引退を表明したAlpahbetのセルゲイ・ブリン社長、ラリー・ペイジCEOなど、他のIT大富豪同様、同氏の主な収入源は自社株の配当である。

ベゾス氏はAmazon株の16%(1000億ドル相当以上)を保有しているほか、2010年以降はセキュリティ関連サービスおよび出張費用として毎年160万ドル、2003年以降は全報酬の一部として、少なくとも110万ドルを受けとっている。

また、Amazon以外の企業にも積極的に投資しており、1998年に成長段階にあったGoogleに投じた100万ドルだけでも、ビリオネア(純資産10億ドル以上の超富裕層)になっていたものと推測される。

さらに自身のファミリーオフィスであるベゾス・ファミリー・ファウンデーションを通し、資産運用を行うなど、後世への富の継承対策にも余念がない。

一代で富を築いたセルフメイド・ビリオネアの過去

超富裕層は大きく分けて、親や祖先の資産を受け継いだお金持ちと、自分一代で富を築いたセルフメイドの2種類があるが、ベゾス氏は後者に属する。

1歳の時に両親が離婚し、母親とキューバからの移民だった義理の父親に育てられた。両親の離婚は、実の父親がアルコール依存症で、仕事が長続きしなかったことが、主な原因の一つと言われている。

ベゾス氏は、敬虔なカトリック信者で、家族を支えるために働きながら大学に通っていた義理父の影響を受ける一方、コンピューターに熱烈な関心をもち、プリンストン大学でコンピューター・サイエンスと電気工学を学んだ。

卒業後は、当時設立されたばかりだった光ファイバー企業フィテル(Fitel)に就職し、国際金融用のコンピューター・ネットワークの構築を手掛けた。その後、ニューヨークの大手金融サービス企業バンカーズ・トラストで投資ファンドを管理するシステムの開発を担当、D・E・ショウではコンピューター専門家として活躍し、同社最年少のヴァイス・プレジデントに任命され、シニア・ヴァイス・プレジデントにまでのぼりつめた。

インターネットにショッピングの未来を見出した同氏は、19945年、順風満帆だったキャリアに別れを告げ、Amazonを設立。従業員10人でスタートさせたオンライン書籍販売事業は瞬く間に急成長し、ベゾス氏は世界一の大富豪の王冠を手に入れた。

住居は豪邸、愛車はホンダ 慈善活動より事業投資に熱心?

並みならぬ努力の末に成功を手にしたセルフメイドは、お金を無駄にしない倹約家が多い印象がある。ベゾス氏も、シアトルの豪邸を筆頭に、ビバリーヒルズにも別宅を所有しているが、愛車はホンダ・アコードなど、財布の紐を締めるところはきっちりと締めている。

ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏など、多くの超富裕層が慈善活動に多額の資産を寄付する中、ベゾス氏の巨額の富の使い道に関して、「(純資産額を考慮すると)ほかの超富裕層ほど、慈善活動に献身的ではない」との批判もある。

確かに、同氏は前述のGoogleから始まり、AirbnbやTwitterを含む多数の企業に個人的に投資しているほか、ワシントンポスト紙の買収や自身の宇宙関連企業Blue Originの設立など、寄付よりも事業投資に熱心な印象を受ける。

だからといって、「ベゾス氏は社会還元よりお金儲けに興味がある」と断定するのは、適切ではないかも知れない。

同氏は慈善活動について、「長期的なアプローチより、目の前の問題に感心がある」と発言。従来の慈善活動家とは異なるスタンスを示している。人々の暮らしをより便利で快適なものへと発展させる事業への投資を通し、社会的変化を促すことで、社会貢献・還元を意図している可能性も考えられる。

独創的なアイデアと先明の見、並みならぬ情熱で、巨額の富を手にいれたベゾス氏。「独創的になりたいなら、失敗を恐れてはいけない」という名言通り、今後も世間を驚かす商品やサービスで、さらに富を増大させていくものと予想される。

文・アレン 琴子(英国在住フリーランスライター)/MONEY TIMES

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