シンカー:新型コロナウィルスの蔓延は、グローバルに需要の停滞だけではなく、サプライチェーンの棄損につながっているようだ。春先までにこの問題が終息に向かうと仮定する。その後は、雇用・所得の破壊と金融システム不安につながっていないため、、ペントアップが出る形で、需要は早く回復する可能性がある。各国の経済対策の効果も需要の下支えとなろう。一方、サプライチェーンを含めた供給の回復は、米中貿易紛争の余波も含め、グローバル生産体制のリスクの見直しと改変が進行するため、需要よりも遅い可能性がある。また、安定した供給体制に対するプレミアム上昇や、危機管理の在庫増加がみられるかもしれない。そうなると、供給対比での需要の強さが生まれ、グローバルの物価動向はデフレよりもインフレへの方向性も持つ可能性がある。新型コロナウィルスの問題が終息に向かっても、物価上昇が弱いという前の経済状況からは変化が生じるかもしれない。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

1月のコア消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比+0.8%と、12月の同+0.7%から上昇幅が拡大すると予想する。

コストの上昇などを反映して、調理食品・衣料品、などに価格引き上げの動きがみられる。

雇用・所得環境の改善を背景として家計のサービス支出は強く、サービスなどでも価格引き上げの動きがみられる。

長く下落していた家賃もようやく上昇を始めたようだ。

しかし、この1月が今後数か月のピークの伸び率となり、目先は同+0.5%程度まで伸び率が縮小する可能性がある。

1月のコアコア消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)も同+0.8%と、12月の同+0.9%から上昇幅が先行して縮小している。

新型コロナウィルスの蔓延は、グローバルに需要の停滞を招いている。

そして、原油価格の新たな下落が下押し圧力となるとみられる。

新型コロナウィルスの蔓延は、グローバルに需要の停滞だけではなく、サプライチェーンの棄損につながっているようだ。

春先までにこの問題が終息に向かうと仮定する。

その後は、雇用・所得の破壊と金融システム不安につながっていないため、、ペントアップが出る形で、需要は早く回復する可能性がある。

各国の経済対策の効果も需要の下支えとなろう。

一方、サプライチェーンを含めた供給の回復は、米中貿易紛争の余波も含め、グローバル生産体制のリスクの見直しと改変が進行するため、需要よりも遅い可能性がある。

また、安定した供給体制に対するプレミアム上昇や、危機管理の在庫増加がみられるかもしれない。

そうなると、供給対比での需要の強さが生まれ、グローバルの物価動向はデフレよりもインフレへの方向性も持つ可能性がある。

新型コロナウィルスの問題が終息に向かっても、物価上昇が弱いという前の経済状況からは変化が生じるかもしれない。

更に、価格を引き上げて販売数量に下押し圧力がかかても、価格弾力性を考慮しながら、値上げで利益を確保する動きも加速するだろう。

総賃金はしっかりとした拡大が始まっており、新たな付加価値を生み出しながらの値上げが販売数量を減少させる弾力性は過去より低下しているという自信が、企業にも徐々に生まれるとみられる。

物価下落要因は、エネルギーや通信 、教育無償化や消費税率引き上げ分を値下げでオフセットする動きなどのテクニカルなものが多く、上昇要因が需要超過とコスト増の基調の動きのものが多くなってきている。

テクニカルな要因で物価上昇圧力は見えにくくなっているが、徐々に強さを増しているのは事実だろう。

これまでの物価上昇率がテクニカルな理由で弱ければ弱いほど、今後は逆に強くなり、就業率の上昇ペースの鈍化が人手不足感を更に強くし、価格弾力性を考慮した企業の価格戦略も広がることもあり、堅調な消費需要を背景に、期待インフレ率の上昇とともないながら、年後半には1%を上回る水準に上昇率が加速していく可能性は十分にあると考える。

マーケットは物価上昇が弱いという先入観があるが、年後半の想定以上の物価上昇ペースに注意が必要になるだろう。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司