man
(画像=(写真=Ollyy/Shutterstock.com))

「金持ち父さん、貧乏父さん」で物議を醸したベストセラー作家のロバート・キヨサキ氏(73歳)は、シンクアドバイザーとのインタビューで、従業員に対して、米大手金融機関はリスクの高い投機を行っていると緊急メッセージを発し、年金問題や株式市場を避ける理由を語った。米大手金融機関は、秘密主義で恥ずべきほど高い手数料に満ち、欺瞞的な成果を上げており、次の市場の暴落は、あなたを年金危機に陥れ破滅させるだろうと警告した。

キヨサキ氏は、証券取引委員会の元弁護士エドワード・シードル氏と共著した新著「誰が私の年金を盗んだ?そのルートを停止する方法」(Plata Publishing,2020年1月14日)について言及した。著書と同様に歯に衣着せぬ言い方で、ウォール街は「腐敗しており」、連邦準備制度理事会(FRB)を「犯罪組織」、多くのファイナンシャルプランナーを「無能」と呼んだ。

例えば年金はリターンに関して「うそをついており」、教師、消防士、警察官は、年金による投機や奪われていることに気付かないと指摘した。

キヨサキ氏自身、証券市場を避け、シャドーバンキングに投資しており、「そこにお金がある」と語った。

同氏は、「金持ち父さん、貧乏父さん」ブランドをフランチャイジーにライセンスし、不動産に投資して、富を築いた。28冊の個人ファイナンスの本を書いており、友人のトランプ大統領との共著も2冊ある。

1兆ドル以上の退職年金を調査したシードル氏とキヨサキ氏は、著書の中で、年金運用を改善するため、年金加入者に「グローバルネットワーク」を作るよう求めている。

キヨサキ氏によると、9歳の時から、親友の裕福だが教育を受けていない「金持ち父さん」から金儲けの方法について指導を受けた。一方、生物学上の「貧乏父さん」は博士号を持ち、政府の仕事を通じて、金銭的な安定を求めていたが、後に年金・財産を失った。

建設業で富を築いたキヨサキ氏の「金持ち父さん」は架空の人物という報道もある。

ハワイで育ったキヨサキ氏は、1996年にアリゾナ州スコッツデールにRich Dad Co.を設立したが、The Learning Annexが別の会社Rich Globalに対して数百万ドルの訴訟を起こしたため、2012年に会社破産を申請した。さらにセミナーのフランチャイズ加盟者の何人かは、投資詐欺を行ったとして起訴された。

シンクアドバイザーはフェニックス本社のキヨサキ氏に電話インタビューを行った。同氏は、年金は「金融の大量破壊兵器」に投資されており、「2008年から何も変わっていない」と主張した。

年金危機はサブプライムローン危機と同じ

インタビューの抜粋は以下の通り。

質問:なぜ年金危機についての本を書いたのですか?

キヨサキ氏:危機がまた来る前に、人々が行動を起こし、準備する機会を与えるためだ。次回の大暴落で、2008年の危機が何でもなかったように思えるのではないかと心配だ。学生ローンの負債は、2008年に市場を崩壊させたサブプライムローンよりも大きくなっている。

質問:「年金基金は投資パフォーマンスについて嘘をついている。年金基金の報告する結果について疑うべき」と共同著者のエドワード・シードル氏は主張しているが、説明して下さい。

キヨサキ氏:年金を盗んだのは、サブプライムローン不動産危機を起こした人々と同じだ。

質問:「企業は近年、年金の透明性を阻害し、法外な手数料、リスク、非倫理的・違法な慣行までも隠すため、史上最も秘密主義的な投資を考案してきた」とシードル氏は指摘しているが、詳しく説明してください。

キヨサキ氏:米大手金融機関は、教師・消防士の組合員をラスべガスやハワイに連れていきパーティーを開く。彼らを酔わせて、2008年に市場を崩壊させたデリバティブ商品のような投資について話す。は、ウォーレン・バフェット氏が「金融の大量破壊兵器」と呼んだものだ。バフェット氏は彼の会社であるMoody'sがこうしたデリバティブ商品を保証していることを知るべきだ。バフェット氏の手も清廉潔白ではない。しかし、彼は自分の言っていることは分かっている。(バフェット氏傘下のバークシャー・ハサウェイ社はムーディーズ社の筆頭株主で13%の株式を保有している。)

質問:組合員に与えられた投資情報に戻る。組合員の反応は?

キヨサキ氏:彼らは大手金融機関が何を言っているのか分からない。そのため、2005ー2007年のサブプライムローンと同様に、非常にリスクが高く、高価な手数料の金融商品に投資している。

質問:つまり、これは新しいシナリオではないということですか?

キヨサキ氏:何も変わっていません。米連邦準備制度理事会(FRB)は銀行を救済した犯罪組織だ。FRBは、年金基金がリターンを得られないほど政策金利をほぼゼロに引き下げた。7%のリターンを期待しているのであれば、2%がベストだ。年金は底をつきかけている。パリやチリで、人々は暴動を起こしており、全ての問題は年金だ。しかしアメリカ人は年金危機について議論していない。

質問:あなたは友人のトランプ大統領と8年間に2冊の本を共同執筆した。彼はあなたが警告する年金危機を知っていますか?

キヨサキ氏:トランプ大統領はそれ(年金危機)が来ることを知っている。

質問:しかしトランプ大統領が何かしているかは疑わしい。それはなぜですか?

キヨサキ氏:なぜならバックミンスター・フラー氏の著書「ジャイアンツの大砲」から引用したが、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、FRBの人々による、国際的な総資金がすべてを支配しているからだ。

質問:2008年の大不況が始まる半年前に、リーマン・ブラザーズ社の株価暴落を予想したと主張しているが、きっかけは何でしたか?

キヨサキ氏:私が育ったハワイでは、火山噴火の前にはいつも地震があった。だんだん近づいてくると揺れが大きくなる。いつも警告がありました。リーマン・ブラザースの時も同じだ。

質問:あなたの予想を公表しましたか?

キヨサキ氏:はい。2008年初に私はCNNで暴落が近づいていると警告しました。ウルフ・ブリッツァー氏は「リーマン・ブラザーズ社が閉鎖されるということですか?」と言い、私は「はい」と答えた。それ以来、2度と招待されませんでした。国民を恐れさせることを望まないからだ。彼らは銀行とファイナンシャルプランナーを保護しなければならない。

質問:あなたは、ファイナンシャルプランナーが顧客と年金危機を話題にしていないと書いた。それはなぜだと思いますか?

キヨサキ氏:それは個々のファイナンシャルプランナー次第だ。ファイナンシャルプランナーは大半が無能なので使わない。彼らは販売員であって、金持ちではない。ウォーレン・バフェット氏は、地下鉄に乗るアドバイザーからアドバイスを受けるために顧客がロールスロイスで行くのはウォール街だけだと指摘した。

質問:しかし、あなたが警告するような年金危機に対してファイナンシャル・アドバイザーは何ができるでしょうか?

キヨサキ氏:アドバイザー次第だ。現在、誰もが約20ドルで銀貨を買うことができる。環境保護運動の圧力を受けて、より多くの人々が電池や電気自動車に銀を使うよう要求するだろう。銀は現在、史上最高値だ。しかし50ドル程度になるはずで、20ドルは市場で最も安い投資だ。

質問:あなたは銀を保有していると思います。

キヨサキ氏:私は銀鉱を始めた起業家だ。

質問:アメリカは不況だという訳ですね。この瞬間に?

キヨサキ氏:はい。株式市場が史上最高値を記録したことに誰もが満足しているが、彼らはレポ市場(現金担保付債券貸借取引)や主な規制のないのシャドーバンキングシステムを見ていない。問題は社債市場にある。

質問:説明してください。

キヨサキ氏:株式市場が高いのは、GE、フォード、ゼネラルモーターズ、AT&T、デルのような企業が数兆ドルを借り入れて自社株を買い戻しているからだ。これらの企業の社債はAAAからBBBに格下げされ、ジャンク債の1レベル上だ。2%へ金利を引き上げれば、借金を返済できなくなり、経済全体が崩壊する。だから政策金利を下げ続けているのだ。

質問:株式市場の見通しはどうですか。

キヨサキ氏:トランプ大統領が再選されるまでは高値圏で横ばい―もし再選される場合。しかし暴落すれば、バーニー・サンダース候補が勝つだろう。

質問:市場にどのように投資するのですか。

キヨサキ氏:株式市場には投資しない。天国へは100万のドアがあるが、金融地獄へは10億のドアがある。私は401 (k) もIRAも株も持っていない。私は不動産を多く持っている。7,000の賃貸物件を持ち、毎月7,000人が小切手を送ってくる。

質問:「世界経済を崩壊させかけたのは、サブプライムローンではなく、シャドウバンクだった」と書いているのに、あなたはシャドーバンキングに投資している。

キヨサキ氏:そこに資金があるからだ。私はウォール街や株式市場を信用していない。完全に操作されている。米連邦準備制度理事会 (FRB) と同様に腐敗している。FRBは税金でウォール街を救済した。現在、シャドーバンキングシステムは揺らぎ始めており、FRBはレポ市場で救済している。

質問:「株式、債券、ミューチュアルファンド、ETFのポートフォリオを十分に分散させるために長期的に投資する」という一般的なアドバイスになぜ異議を唱えるのか?

キヨサキ氏:「そうすれば安全だ」 と思わせて、人を催眠術のような状態にする。銀行家、FRB、財務省が皆をだましている間に、彼らに誤った安心感を与える。FRBは危機を引き起こす。2008ー2009年の金融危機から利益を得たゴールドマン・サックスのような連中を救済した。一方で、一般国民は全滅した。

質問:長期的な投資は悪いアドバイスだと思いますか?

キヨサキ氏:私が子供の頃、長期投資はうまくいった。しかし、あなたが1日1回の取引を行う一方で、現在の高頻度取引ではコンピュータとの取引が行われており、コンピュータは1秒間に100万回の取引を行うことができる。一般国民が理解する前に、専門家は市場から撤退した。

Jane Wollman Rusoff
ThinkAdvisor寄稿編集者。思想的リーダーとのインタビュー専門。The New York Times、The Washington Post、USA Today、Esquireなど数多くの出版物に寄稿している。5冊の本の著者・共著者。London Express Features and Billboard's Merchandising Magazineのスタッフエディターを務めた。www.FamilyStarProductions.comの創設者。

© 2020 ALM Media Properties, LLC