中国以外でのコロナウイルスの拡大は、株式市場を下押ししている。株式の売りが増える中、中国に強く影響される企業を見分ける必要がある。
米国における大手小売店や大手製造業、一部のテクノロジー企業は、中国からの輸入や中国市場に強く依存している。
米通商代表部(USTR)によると、2018年の米国全体における輸入額の5分の1は中国が占めている。また、その中で、家具や玩具、スポーツ用品、プラスチック製品が上位の輸入品目となっている。
以下はコロナウイルスによる売りが加速した場合に、大きな影響を受ける可能性が高い3銘柄である。
1.アマゾン
Eコマース大手のアマゾン・ドット・コム (NASDAQ:AMZN)は24日、約5%安となりテクノロジーセクターの中で最も大きく下落した。アマゾンにとっての最大の懸念は、コロナウイルスが沈静化せず、在庫不足になることである。
同社は無駄のない在庫管理システムを有するが故、他の小売業者に先駆けて在庫不足に陥る可能性がある。
アマゾンの元従業員及びCommerceIQ社の創設者であるGuru Hariharan氏はニューヨークタイムズに対して「サプライチェーンの効率化には、このようなデメリットも伴うのだ」と述べた。
また、新型コロナウイルスは、アマゾンマーケットプレイスを利用する販売業者に対しても悪影響をもたらす可能性が高い。これらの販売業者は中国製品に依存しており、アマゾンの売上の約60%を占める。
25日のアマゾンの終値は4%安となったものの、年初来では依然として約8%高となっている。
2.アップル
アイフォンメーカーのアップル (NASDAQ:AAPL)は、新型コロナウイルスの影響で2020年第2四半期(1-3月期)売上高予想を達成できないことを発表した。
同社にとって中国は最大の市場であり、前年度には約520億ドルの売上をもたらした。同社は先週、コロナウイルスの影響でアイフォンの生産が一時的に滞っていることを明らかにした。また、「生産は再開され始めているものの、正常化にはまだ時間がかかる」と述べた。
ブルームバーグによると、アップルは2月に低価格アイフォンの生産を開始し、早くとも3月には販売する計画であった。コロナウイルスの発生により、この計画は予定通り進むことはないだろう。
エバコアのアナリストであるAmit Daryanani氏は「我々の考えでは、一時的に売上が遅れるだけであり、2020年度全体の売上予想に変更はないだろう」と述べた。
25日の同社の終値は約5%安の298.14ドルとなっている。
3.ナイキ
スポーツウェア大手のナイキ (NYSE:NKE)は、コロナウイルスの影響を強く受ける企業の1つである。ナイキは今月初め、コロナウイルスの影響で中国内における約半分の店舗を閉鎖したことを明らかにした。また、中国国内における製品の生産にも悪影響が発生するとの見通しを示した。
同社は生産拠点を中国以外に分散させていたものの、依然として中国は主要な生産拠点である。同社のフットウェアの約23%や衣料品の約27%が、中国で生産されている。
近年、中国市場は同社にとって成長要因となっていた。中国市場における同社の売上高は2014年の26億ドルから2019年には62億ドルまで増加した。また、同期間で中国における同社のシェアは約2倍となった。
同社は1月に達成した105.62ドルの最高値から、約9%下落している。25日の終値は4.3%安の95.91ドルとなった。(提供:Investing.comより)
著者: ハリス・アンワル