日産は、現在厳しい状況に陥っている。2020年2月13日に発表した四半期決算で、260億円の赤字を計上した。決算発表の翌日2月14日には株価が513円70銭となり、時価総額でスバルに抜かれた。日産は、このまま凋落の道を歩むことになるのだろうか。

10~12月期、最終損益は260億円の赤字 時価総額は一時5位に

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(画像=JuliusKielaitis/Shutterstock.com)

まず決算資料における2019年4~12月の連結業績を見ていこう。

・売上高 7兆5,072億8,600万円(前年同期比12.5%減)
・営業利益 543億4,300万円(同82.7%減)
・経常利益 1,414億3,200万円(同70.0%減)
・純利益 392億7,200万円(同87.6%減)

2019年10~12月期の最終損益は、260億円の赤字となった。日産が10~12月期に赤字を計上するのはリーマン・ショック以来、実に11年ぶりのことだ。前年同期の最終損益が704億円の黒字だったことを考えると、いかに減少幅が大きいかがわかる。

2019年4月~2020年3月の通期見通しも下方修正。決算発表の翌日には業績悪化や厳しい見通しを受け、日産の株価は前日比で一時10%ほど下げた。国内自動車メーカーの時価総額で4位だった日産は、スバルに抜かれて5位に転落した。

不振の原因は北米・欧州での販売減 

業績悪化の要因は何か。

新たにCEO(最高経営責任者)に就任した内田誠氏は決算発表の冒頭で「北米と欧州の販売減が響いた」と説明。北米が前年同期比10.2%のマイナス、欧州が同16.2%のマイナスとなり、グローバル販売台数は前年同期比の402万3,000台から369万7,000台まで落ち込んだ。市場占有率も5.9%から5.7%に下落した。

これらを踏まえて、内田CEOはアメリカ事業のリカバリー策について力強く説明した。平均売価の維持や販売インセンティブのほか、ディーラー在庫の削減などに関する取り組みを徹底的に推進。すでに改善が見られるようになってきているという。

また、事業および投資効率の適正化も業績改善の鍵を握っていると言及。エリアによって商品ラインナップを合理化し、選択と集中を徹底的に進めていく考えだ。また、運転支援技術などの新技術も事業構造変革の柱とすると述べている。

ゴーン・ショック、そして新型コロナの影響も大きい

しかし、今後も日産は厳しい状況が続くことが予想される。その要因として挙げられるのは、「ゴーン・ショック」と「新型コロナウイルスの拡大」だ。

ゴーン氏の金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)による逮捕、中東レバノンへの無断出国など、一連の騒動は日産のブランドイメージを大きく低下させた。ゴーン被告の裁判は開廷の見通しすら立っておらず、この騒動が収束する気配はまったくない。

新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響も、日産の厳しい状況に追い打ちをかけている。中国工場での生産の大部分を停止する事態となったことに加え、国別の販売台数でトップの中国で需要が落ち込めば、売上への影響は甚大だ。

新CEOの舵取りに株式投資家が注目

「足元の業績は想定以上に悪化している」内田CEOは決算発表の場で、今の状況をこのように語った。追加リストラ策にも言及しており、業績が悪化しているアメリカや欧州で大幅な人員削減が行われる可能性もある。一部報道によれば、4,300人超をリストラする計画があるという。

日産は、今年5月に新たな中期経営計画を発表する見通し。そこで、復活への青写真をどのように描いているのかが明らかになる。複数の問題が同時多発的に起こっている中、新CEOの舵取りに多くの株式投資家が注目している。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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