国連教育・科学・文化機関(UNESCO)は去る4日(パリ時間)、新型肺炎の感染拡大を防ぐために我が国やイタリア、イランなど15か国・地域が全国規模で学校を閉鎖しており、約2億9050万人の児童・生徒が影響を受けていると発表した。

一斉休校

この中に含まれる中国勢では全土で幼稚園生からが休校の対象となっている。休校による親の一番の懸念・不安は学習の遅延だろう。筆者が関係者から聞いたところによれば、在宅での通信教育を始めた地域もあるし、夏休みの日数を短縮して授業に充てるという学校も多いという。

人口14億の中国勢では、「知識が人の運命を変えることができる」と古くから“喧伝”されてきた。中国勢では受験戦争が激しく、出身校がモノを言ういわゆる「学歴社会」だ。

中国勢では特に「出身校」が評価の中心となっている傾向がある。日本のように高度経済成長を経た環境ではない中国勢の事情があり、更に米国勢の名門校や研究機関にいる中国人の多さからみても、中国勢の教育における競争の激しさの一端がうかがえる。

中国勢の現役大学生は現在4000万人以上にのぼり世界の大学生の2割を占めると中国政府が喧伝しているが、これに基づけば来る2022年に大学卒業者が年間900万人を超えることになり、中国勢は大失業時代を迎えることになる。こうした背景があるからこそ、中国勢では休校の最中でも親がしっかりと子供の学習に遅れが出ないようしっかり支援しなければならないのである。

グローバル・インテリジェンス・ユニット
王 鵬程 記す

●出典:日経ビジネス 図表1: (https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00026/030400007/