「NISA(ニーサ)」は株式や投資信託などの金融商品に投資をして得た利益が非課税になる制度です。2024年から新制度に移ることが発表されました。NISAは正しく理解して活用すれば資産運用を行う際、非常に有利な投資手段の一つとなります。2024年から新制度へ移行するNISAは具体的にどのように変わるのでしょうか。今回は現状のNISAおよび2024年からのNISA新制度の内容について確認していきます。

そもそも「NISA」とは?

NISA
(画像=PIXTA)

2020年2月現在は、株や投資信託などに投資して得た売却益や配当金に20.315%(復興所得税を含む)の税金が発生します。ただしNISAを利用すれば毎年一定金額の範囲内で株・投資信託から得られる利益を非課税にすることが可能です。NISAには大きく分けると「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、1人につき1口座開設できます。

・一般NISA
非課税になる枠は、「一般NISA」で年間120万円(非課税期間は5年)です。年間120万円の範囲内で購入した金融商品の配当金や売却益が5年間非課税になります。投資可能期間は2014~2023年です。一般NISAを最大限活用すると120万円×5年で600万円の非課税枠を利用することができます。

・つみたてNISA
つみたてNISAの場合、非課税枠は40万円(非課税期間20年)です。一般NISAとは異なり投資できる対象商品が金融庁で定められています。2019年10月1日時点で指定インデックス投資信託148本、指定インデックス投資信託以外の投資信託18本の合計166本から選択可能です。投資可能期間は2018~2037年となっています。

・ジュニアNISA
ジュニアNISAは未成年のためのNISAです。日本国内に在住の0~19歳までの人が口座を開設できます。(口座を開設する1月1日時点での年齢)非課税枠は年間80万円で投資可能期間は2016~2023年です。一般NISAやつみたてNISAとは異なり18歳になるまで払い出しができない点は押さえておきましょう。

NISAを利用する場合は「一般NISA」「つみたてNISA」の併用はできません。そのためどちらか一方を選択する必要があります。2014年1月にスタートしたNISAですが、有利な資産形成方法として利用者が増えています。2018年9月~2019年9月までの各NISAの口座数推移は以下の通りです。

NISAの種類 2018年9月末時点 2019年9月末時点 増加口座数
一般NISA 1,138万8,558口座 1,170万1,321口座 31万2,763口座
つみたてNISA 87万5,658口座 170万5,900口座 83万242口座
ジュニアNISA 30万494口座 34万2,842口座 4万2,348口座

しかし制度上の問題点がいくつか生じてきたため、2024年からの新NISA(仮称)で大きな変更が行われることになりました。そのため「NISAを現在利用している人」「まだNISAを利用したことのない人」のどちらでも株式や投資信託に興味があるなら新NISAについて知っておいて損はありません。

現NISAと新NISAはどこが違うか

現行のNISAと新NISAの違いについて説明しましょう。まず一般NISAについては、非課税額が120万円から122万円に引き上げられ「2階建て」に変更されます。2階建てとは、1階部分の非課税枠20万円と2階部分の非課税枠102万円に枠が分かれて、それぞれの枠で購入できる商品が異なるという制度です。「より多くの人に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す」という観点から、2階建て制度に見直されました。

1階部分では「つみたてNISA」と同様に積立・分散に適した投資信託だけを購入できます。2階部分では、従来の一般NISA同様に上場株式や投資信託を購入できますが、整理銘柄の株式や高レバレッジの投資信託などは対象外となります。

原則として2階建ての非課税枠を利用するには、1階部分で積立投資を行う必要があります。ただしNISA口座をすでに開設している人や投資経験者であれば2階部分で上場株式のみに投資することも可能です。従来は一般NISAとつみたてNISAはどちらかしか選択することができませんでしたが、新制度では現行の金額こそ異なりますがどちらも利用できるようになります。

1階部分も2階部分も非課税期間は従来通り5年です。1階の積立投資部分については、非課税期間が終了後、つみたてNISAへ移行することもできます。NISA口座で投資できる期間は、現行NISAでは「2023年まで」でした。しかし今回の制度変更により5年延長されて「2028年まで」となります。

◆一般NISAと新NISA

項目 現行一般NISA 新制度NISA(2024年~)
年間の非課税枠 120万円 2階 102万円
1階 20万円
非課税期間 5年 2階 5年
1階 5年
(終了後は「つみたてNISA」へ移行可能)
投資できる期間 2023年まで 2028年まで
投資対象商品 国内株、外国株、ETF、ETN、REIT、投資信託など ・1階部分は積立・分散に適した投資信託
・2階部分は、現行の一般NISAから、高レバレッジ投資信託などを除外したもの

つみたてNISAは2042年まで延長

つみたてNISAの投資できる期間は「2037年まで」でしたが、今回の改正で「2042年まで」に5年延長されました。それ以外の大きな変更点はありません。

ジュニアNISAは2023年末で終了

ジュニアNISAは今回の改正で延長はなく口座開設可能期間は2023年までとなります。2018年9月~2019年9月の口座数は約30万口座から約34万口座と増加しているものの、他の2つのNISAに比べると利用実績が乏しいために延長されず終了することになりました。そのため子ども用にNISA口座を開設したい人は2023年までに口座開設を行っておく必要があります。(提供:Dear Reicious Online


【オススメ記事 Dear Reicious Online】
40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性