◉スイスの各金融機関のクライアントアプローチ
下記は各社の顧客提案プロセスを一覧にしたものになります。これを一社一社詳細に見ていきたいと思います。
Source:Arvetica2008
① Berenberg
Berenbergは、最古のドイツ銀行と言われており、1590年までその期限を遡ることが可能なヨーロッパの名門です。
顧客への提案プロセスは、
- まず顧客を分析する
- そして、大きな投資戦略を決定します
- そして、更に詳細化し戦術を決定します
- ここまで決まって、投資を実行します
- その後のレポーティングなどを継続します
というようになっており、基本を重視したスタイルが伺えます。
② Clariden Leu
Clariden Leu(クラリデンロウ)は、クレディスイスグループに所属し、アジアでも香港やシンガポールにも進出しています。ただ大多数のRM(リレーションシップマネージャー)はドバイにおり、インドの富裕層市場をカバーしており、該当地域では大手の一角となっています。
メイン顧客は日本円にして預り資産25億円ほどの顧客だが、25億円を超えるとクレディ・スイスとのコ・ワークとすることがルールとなっています。
こちらの顧客への提案プロセスは、
- 顧客ニーズの把握
- 投資経験・許容度の確認
- 投資提案
- ポートフォリオマネジメント
となっています。特に「2.投資経験・許容度の確認」の部分を大事にしている印象を受けます。
③ Credit Suisse
クレディ・スイス銀行はスイスのチューリッヒに本社を置くユニバーサル・バンクです。プライベート・バンキング、インベストメント・バンキング、アセット・マネジメントの3部門から成り立っています。その他の有名金融機関が持つようなマーケット部門がないため、金融危機時も安定して収益を上げていました。
ちなみに、クレディ・スイスは早くから日本に参入した金融機関として知られています。戦後間もなくから国債引受業務など、機関投資家や事業法人向けの証券・投資銀行業務などを行ってきました。また、オルタナティブ投資などのアセット・マネジメント業務にも力を入れています。
また現在も、金融資産10億円以上の顧客を対象にしたプライベートバンクビジネスを東名阪に拠点を構えて展開しています。(2011年末にHSBCのプライベートバンク部門を吸収し一気に拡大させています。)
顧客への提案プロセスに関しては、
- 顧客ニーズ分析
- 顧客理解
- 投資経験/許容度確認
- 投資戦略の決定
- 実行
となっており、非常に「顧客を知る(Know your client)」ための時間が他社よりも長くなっています。
④ Pictet
日本でもプライベートバンクやアセットマネジメント会社として知名度の高いピクテですが、欧州でのビジネスでは、「税」、「ファイナンシャルプランニング」や「資産管理」などというキーワードを明確に発信しているように、「資産全体の最適化をどうするのか?」、また「長期的に見て、どのように資産運用を行っていくか?」重要視しています。
顧客への提案プロセスは上記にもふれましたが、
- 税や金融関連状況の分析
- ファイナンシャルプランニング
- 投資戦略の決定
- 投資提案
- アセット管理
- レポーティング
となっており、フロントで担当するRMに、プロダクトスペシャリストやポートフォリオマネージャーに加え、税理士や弁護士などで構成されたチームで、長期的に顧客を世代を超えて付き合っていっている印象です。まさに老舗のプライベートバンクといえます。