職業柄、海外の金融機関(ヘッジファンドやプライベートバンク等)のオフィスへの視察・訪問に、よく出かけておりました。
そのお陰で、海外の金融機関の富裕層向け金融サービスの最新の戦略や動向等を見聞きする機会には恵まれてきました。

海外の富裕層向け金融サービスの動向についてご理解いただくことは、金融アドバイザー側の皆様はもちろんのこと、お客様側の方々にとっても今後より良い金融機関や担当者を見分ける力を養って頂くことにも繋がるなど有益な情報になるのではと思いますので、何度か私の体験をレポートさせて頂きたいと思います。

さて今回ですが、以前UBSのスイス本社を始め、スイス系の各プライベートバンクなどの本店などを訪問する機会に恵まれたことがありました。その際にご教授頂いた各社の具体的な戦術や、クライアントアプローチなどについてお伝えしたいと思います。

◉スイスのプライベートバンク

スイスは、ヨーロッパの十字路と呼ばれ交易が盛んに行われていたため、為替業が古くから発達していました。またスイスは国連をはじめとした国際機関の本部やオフィスを多数誘致しており、さらに各国の王族、貴族、富豪の資金を保全・保管しています。

そのような背景から、スイス金融機関に対する信頼は厚く、特に富裕層向け金融サービスを行うスイスのプライベート・バンク(Private Bank)が近年再び注目を集めています。

プライベートバンクの元々の意味は「経営に無限責任を負うプライベートバンカー(Private Banker)が所有し、経営する銀行」となります。その形態から、プライベートバンクは自己勘定取引を行わず、結果経営の安定性が優れているといわれており、富裕層からの信任を集めています。(リーマンショック時にも比較的傷が小さかったことも信頼に繋がっています。)
またプライベートバンクはいたずらに規模の拡大を追わない所が多く、スタッフ数も数十人から数百人ぐらいまでの小規模な経営規模が一般的です。

ちなみに、余談ですが、これは広く誤解されているのですが、スイスの大手商業銀行として著名なUBSやクレディ・スイスは、厳密に言えばプライベートバンクではありません。正確には「プライベート・バンキング・サービスも提供しているスイスの大手商業銀行」となります。

【参考:預け入れ資産1億円以上を対象としたプライベートバンク関連の記事】

日本版プライベートバンク成功へ向けて〜現代富裕層の悩みと金融機関の4つの課題〜
プライベートバンクへの期待〜その幻想と真実〜
「プライベートバンクサービス」≠「プライベートバンク」?〜富裕層サービスの真実〜
資産1億円以上限定、富裕層向け「プライベートバンク」サービスの比較