電気自動車メーカー大手のテスラ (NASDAQ:TSLA)は、新型コロナウイルスによる景気減退を耐え抜くとの期待感から、値を上げて取引されている。
同社は2日、第1四半期に全世界で88400台を販売し、前四半期から21%減となったことを発表した。しかし、アナリスト予想である約78100台を上回った。
これを受け、同株は過去3取引日で約15%高となり、7日の終値は516.24ドルとなった。同株は景気後退時にアウトパフォームする成長株と言える。
S&P500が年初来で約17%安となる一方、同株は約23%高となっている。
Jefferies社は、テスラの利益とフリーキャッシュフローは「生産性の向上」に下支えされていると述べ、同株を買い推奨にしている。
しかし、第1四半期には新型コロナウイルスの影響が反映されておらず、慎重に構えるべきであると指摘するアナリストもいる。
Cowen社のアナリストであるJeffrey Osborne氏は、第1四半期におけるテスラの生産稼働率は、公表されている生産能力と比較してかなり低かったと述べた。
「第1四半期のフリーキャッシュフローは我々が恐れていたほど悪くはないが、第2四半期は悪化するだろう。しかし、我々はまだ2020年のU字回復を期待している 」とOsborne氏は述べ、同株の目標株価を1株285ドルに設定した。
需要減少
テスラは長年の期待外れの業績を経て、今年は上げ相場となっている。同社は第4四半期決算でアナリスト予想を上回り、新型クロスオーバーのモデルYの販売を加速させた。
また、同社の上海工場が完成し、2019年販売台数36万台という挑戦的な目標を達成した。このことから、テスラが目標を達成し続ければ、自動車業界の重要なプレーヤーになりえると考えられている。
しかし、新型コロナウイルスによってサプライチェーンの混乱や景気後退のリスクが高まっており、同社は深刻な脅威にさらされている。ブルームバーグが発表したIHSマークイットの予測によると、2020年における自動車の販売台数は前年比12%以上減の7880万台となっており、1月時点の予測から1000万台減となっている。
同社は、50万台という2020年の自動車販売目標については口を閉ざしている。また、昨年末に生産を開始した上海工場における、第1四半期中の自動車生産台数についても言及しなかった。
Needham社のアナリストであるRajvindra Gill氏は、欧米では自動車需要が大きく落ち込んでおり、テスラを注意深く見守るべきとの考えを示した。同氏は以下のように述べた。
「長期的には、利益率の高いモデルSとXの販売台数減や、電気自動車市場の競争激化による利益率の圧迫が予想される」
総括
テスラは非常に厳しい経営環境の中、高い生産能力と販売台数に支えられて、市場をアウトパフォームしている。
しかし、COVID-19の影響を同社が逃れることはできないだろう。第1四半期決算報告は4月29日に予定されており、注意深く見守るべきである。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス・アンワル