モトリーフール米国本社、2020年4月11日投稿記事より

COVID-19パンデミックが進行していますが、そのような状況下でビジネスを成長させている企業も存在します。

それは、ウイルスに対する潜在的な治療法またはワクチンの開発に取り組んでいる多くのバイオテクノロジー企業です。

これらの企業の株価は、過去数か月にわたって大幅に上昇しています。

COVID-19の治療法やワクチンの多くが広く普及するまでにはまだまだ時間がかかりますが、COVID-19への取り組みに関して、業界をリードする5つのバイオテクノロジー株を紹介します。

1.リジェネロン・ファーマシューティカルズ

リジェネロン・ファーマシューティカルズ(NASDAQ:REGN)は、当初COVID-19治療薬を開発する企業とは考えられていませんでした。

しかし、リウマチ性関節炎治療薬であるケブザラがCOVID-19患者の治療に役立つ可能性があると同社が発表すると、同社の株価は急上昇しました。

ケブザラは、特定のタンパク質を阻害することにより、関節炎患者が一般的に持つ炎症の症状を抑えるように設計されています。これらのタンパク質は、身体の炎症に直接関与します。

したがって、ケブザラはCOVID-19患者に見られる炎症反応を軽減し、症状を緩和するのに役立つ可能性があります。

今月初めに、リジェネロンとそのパートナーであるサノフィは、COVID-19治療薬としてケブザラをテストする第2フェーズに進みました。

重度の症状を持つ約300人がヨーロッパと北米の国々から募集されたのです。

現在、リジェネロンが注視しているのは、他社のタンパク質阻害剤の動向です。ロシュホールディングのアクテムラは、別種類のタンパク質阻害薬であり、中国において優れた結果をもたらしました。

そして、米国食品医薬品局(FDA)も最近、アクテムラが重度のCOVID-19関連症状のある患者を助けることができるかどうかを確認するための第3次治験を承認しました。

2.ギリアド・サイエンシズ

ギリアド・サイエンシズ(NASDAQ:GILD)は、COVID-19の治療法に関する研究を発表した最初の企業の1つでした。

もともとエボラ出血熱を治療するために設計されたレンデシビルは、COVID-19患者の症状を緩和する上で有望な初期結果を示しました。

それ以来、レンデシビルは、中国での2つの後期段階の治験、アジアでの2つの後期段階の治験、および米国の保健当局が関与する1つの治験に着手しています。

しかし、12人のCOVID-19患者を調査した最近の科学論文は、レンデシビルの有効性に関して様々な見方を示しました。

ギリアドの最高経営責任者(CEO)は、今月さらに臨床結果のアップデートが行われると述べています。

投資家は、同社の発表から目を離してはいけません。

レンデシビルは、市場をリードするCOVID-19抗ウイルス治療薬の1つですが、他のいくつかの薬との競争に直面しています。

最も注目すべきなのは、抗マラリア薬のクロロキンがトランプ大統領から治療の可能性があると宣伝されていることです。

連邦政府は現在、潜在的な治療法としてクロロキンとヒドロキシクロロキンを調査しています。

FDAは、必要な患者に役立つと思われる特定の状況でこれらの薬剤を処方する許可を医師に与えました。

しかし、両方の薬剤が広範囲に使用されるには、より多くの臨床データが必要です。

3.イノビオ・ファーマシューティカルズ

イノビオ・ファーマシューティカルズ(NASDAQ:INO)は、このパンデミックの中で人気株となった多くの小規模なワクチン開発会社の1つです。

同社は、1月にCOVID-19のワクチンであるINO-4800の開発を開始したことを発表しました。

そして、ウイルスの遺伝子コードが解読されてから数時間後に最初のワクチン候補を作成することができたと述べました。

今月初め、INO-4800は正式に第1段階の臨床試験に入りました。

イノビオは、以前に他の種類のコロナウイルスへの対処に成功しています。

INO-4700は現在第2段階の治験が行われていますが、COVID-19と同様の症状を持つ別のコロナウイルスによって引き起こされる病気であるMERS(中東呼吸器症候群)を予防するために設計されたワクチン候補です。

MERSのワクチン候補作成によって培った経験により、多くの投資家は、INO-4800の開発成功に期待しています。

イノビオはまた、今年末までに100万回分のワクチンを生産すると発表しています。

しかし、それだけの量のワクチンを生産し世界中に配布できるかどうかは不透明です。

4.モデルナ

現在開発中の他のほとんどのCOVID-19ワクチンはDNAベースですが、モデルナ(NASDAQ:MRNA)は新しいタイプのワクチンを開発しています。

同社の実験的mRNAワクチン技術は、DNAベースのワクチンよりも効率的で開発が容易になる可能性があります。

この新しいテクノロジーが、モデルナを市場で最も優れたCOVID-19ワクチンの開発に導く可能性は明確にあります。

ただし問題は、mRNAベースのワクチンはまだ非常に実験的であるということです。

人間の患者がこの新しいタイプのワクチンにどのように反応するかについては、まだ誰もわかっていません。

モデルナのCOVID-19ワクチンであるmRNA-1273は2月に米国の保健当局に出荷され、3月に人体試験が開始されました。

1月にウイルスの遺伝子配列が解読された後、同社は新しいワクチンを開発し、2か月強の速さで臨床試験を開始しました。

他のmRNAベースのCOVID-19ワクチン候補は、現在臨床試験に至っていません。

したがって、モデルナの最大の競争相手はDNAベースのワクチンメーカーです。

これには、モデルナとほぼ同時に独自のワクチンの開発を開始したイノビオ・ファーマシューティカルズが含まれます。

5.ノババックス

他の多くのワクチンメーカーと同様に、ノババックス(NASDAQ:NVAX)には、革新的なインフルエンザワクチンであるナノフルを含む、多くの有望な製品を保有しています。

同社の株価は、COVID-19ワクチン開発に取り組んでいると発表して以来、ほぼ4倍になっています。

同社は過去数か月間、動物における多数の潜在的なワクチン候補をテストしてきました。

同社は、ワクチン候補のNVX-CoV2373が前臨床試験で最も可能性を発揮し、ウイルスに対する免疫系の反応を増幅するのを助けることを発見しました。

ノババックスは、5月中には人体治験を開始すると発表しました。

同社の唯一の問題は、COVID-19ワクチンの開発に関して他社に少し遅れていることです。

イノビオとモデルナはどちらも3月または4月に臨床試験を開始したため、ノババックスが追い付くのは難しいかもしれません。

COVID-19ワクチンに対する緊急性を考えると、臨床試験を完了した最初の企業は、最初の需要を取り込むことで大きな利益を上げることができます。

COVID-19から身を守ろうとする人々の数は非常に多いため、ノババックスは開発したワクチンからある程度の利益を得ることができます。

しかし、それは最初に市場に出たワクチンから得られる利益よりも少ないものとなるでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Mark Prvulovicは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、ギリアド・サイエンシズ株を保有し、推奨しています。