メットライフ生命保険が全国47都道府県の男女1万4100人を対象に実施した調査によると、全体の81.5%が「老後に不安」を抱いているそうです。ちなみに、30代で「老後不安」を抱いている人は86.8%、40代は87.1%に達しています。

いまの時代、老後に備えて貯蓄を検討している人や、すでに実践している人も多いことと思います。しかし、私のFP事務所に相談に訪れる人の中には老後不安の呪縛で「目の前のリスク」を見落とすケースも珍しくありません。そこで今回は実際の相談事例を交えながら、老後不安で陥りやすい「落とし穴」について解説しましょう。

老後が不安で「年間保険料が100万円以上」

老後資金,ない
(画像=ivector / shutterstock, ZUU online)

先日、私のFP事務所に相談が寄せられました。相談者は30代のご夫婦で、8歳と5歳の子どものいる4人家族でした。さっそくWeb会議システムでオンライン相談を実施したのですが……。

「もしもし。初めまして、長尾でございます」
「ちょっと、静かにして!」
「?」
「パパとママは会議中なの!」
「……」
「もう、いい加減にしなさい!」

パソコンの画面には奥様の怒号と子どもたちが走り回る姿が映っていました。
いやいや、巣ごもり生活は本当に大変ですね。

「すいません。お待たせしました!」30分ほど経過して、ようやくスタートです。

さて、相談者のご夫婦は共働きで、ご主人は外資系の大手IT企業に勤めています。同年代の会社員に比べてかなり良い収入です。奥様も外資系企業の管理職としてバリバリ働いている様子で、収入も高いです。「将来的には一戸建ての購入も検討したい」奥様はそう言いました。

ご夫婦の悩みは保険についてでした。先日、保険代理店で外貨建ての個人年金保険を勧められたのですが「契約すべきなのか迷っている」ということです。つまり、セカンド・オピニオンとして私の意見を求めてきたのです。

現在加入している保険の内容を確認すると、外貨建て終身保険、円建て個人年金保険が中心で、がん保険もあります。この状況で保険代理店からさらに外貨建ての個人年金保険を勧められたのです。