新型コロナウイルスの発生源は諸説あってはっきりとしたことは分かっていない。そうした中でも、米中は新型コロナウイルスの発生源を巡って責任転嫁を繰り広げている。少なくとも最初に感染爆発を起こした都市は中国の武漢市であることは間違いないが、中国外務省の報道官が証拠を示さずに、新型コロナウイルスは米軍が中国(武漢市)に持ち込んだ可能性があるとツイッターに投稿したことで緊張感が高まった。

トランプ米大統領や米政府高官はコウモリでコロナに関する実験を行っている武漢市内の2カ所の研究施設のいずれかからウイルスが流出したと主張している。しかし、米政府も主張を裏付ける証拠は公表していない。米中双方の主張は平行線を辿ったままだ。

トランプ大統領の怒りの矛先はWHO(世界保健機関)にも向けられ、5月29日にはWHOからの脱退を表明している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1月8日、中国で新型のコロナウイルスが確認されていたと報じたが、WHOが緊急事態を宣言したのは1月30日だった。結果論ではあるが、この間に感染が世界的に広がり、手がつけられなくなったことは周知の事実であろう。

トランプ政権、中国メディアの監視強化へ

米中,戦争
(画像= eliahinsomnia / pixta, ZUU online)

『中国はアジアの病人』そんなタイトルのオピニオン記事がWSJに掲載されたのは2月5日のことだった。新型コロナウイルスと中国政府に関するこの記事を巡り中国政府はWSJの記者3人のプレス・パス(記者証)を取り消して国外退去とした。

中国政府に対抗するようにトランプ政権は3月上旬、米国が中国共産党の「宣伝組織」とみなした主要国営メディアに対し、在米中国籍の従業員数の大幅削減を命じている。新華社通信など5つの報道機関の米国内の記者数に上限を設けるもので、同社のほか中国国営系テレビのCGTN(中国環球電視網)、中国ラジオ、チャイナ・デイリー、人民日報系の美国海天発展が対象となった。

また、トランプ政権は米国に拠点を置く中国の報道機関を同国の在外公館と同等の扱いに指定し、各報道機関は米国内での人事や保有する資産の報告を義務付けると発表した。中国政府の宣伝活動につながる報道機関の活動内容を把握することが目的と見られる。

米国から中国企業を締め出す動きも

5月20日、米上院本会議は米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案を可決した。外国企業に「外国政府の支配下にない」ことを証明するよう求めるとともに米規制当局による会計監査状況の検査を義務付けるものだ。