※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です
書籍概要
発売日:2020年5月5日
ジャンル:ビジネス書
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交渉は論争を引き起こすものではなく、勝ち負けを争うものでもない。正しい交渉術はビジネスにとって、より良いコミュニケーションを取るために不可欠なスキルだ。日常生活においても周りの人々と親密な関係を築くことにつながる。しかし、多くの人は交渉術を身につける前からすでに苦手意識を持っているのではないだろうか。
「積極的な姿勢が優位に立つ」または「双方が妥協すれば争いは少なくて済む」という交渉に対するイメージについて、著者であるアレクサンドラ・カーター(Alexandra Carter)は大きな誤りだと指摘している。
「交渉相手に対して高圧的になるのではなく、相手に合わせた正しい質問をすることが重要だ。また、交渉はお互いの利益のために行うことで、情報の透明性も確保できる。交渉において自分自身を弁護できる方法を伝えたかった」とも言及している。
本書ではどのようなテーマでも話題の中心を明確にし、交渉を成功させるためのシンプルな10個の質問を紹介している。それは交渉を始める1〜2日前に、自分自身に対する質問と交渉相手に向けた2つ質問を行うというもの。
「交渉中は何を言うべきかわからなくなることが多い。どのような状況になっても対処できる事前準備が足りないからだ。交渉を始める前には、まず自分自身の考えを整理して、質問事項の優先順位を付けることが大切である。また自問自答することで、自身のストレス解消にもつながるはずだ」と述べている。
アレクサンドラ・カーター自身の交渉における失敗談も書かれており、そこから学べることも多いだろう。
この本をおすすめする読者層
著者のアレクサンドラ・カーターが本書を書くきっかけになったのは、初めて給与交渉を行ったときだった。上司から言われたそのままの要求に従ってしまい、自身の評価を伝える難しさを感じたという。
同じように自分自身の意見を伝えることが苦手な人も多いだろう。交渉がすでに上手い人もいれば、そうではない人もいる。しかし、交渉は自身のキャリアアップのためには必要なスキルだ。
本書では交渉を行う前の事前準備について書かれており、交渉術をさらにスキルアップしたい方や、特に苦手意識がある人におすすめだ。
交渉は仕事だけでなく、プライベートにおいてもコミュニケーションを図るために重要なスキルである。ビジネスマンだけでなく、特に大切なパートナーがいる場合にも手に取るのもいいだろう。
著者について
著者のアレクサンドラ・カーターはコロンビア大学における法律学の教授であり、調停の専門家である。2019年にはコロンビア大学で最高教授栄誉賞を受賞。学生やビジネスマンだけでなく、80カ国以上の外交官にワークショップを開催し、交渉術を指導している。