これからしばらくは米国株は下がりやすい展開が続くと思っています。アメリカでの新型コロナウイルスの感染再拡大が下落要因です。
6月末の現時点で4月のピークを超える新規感染者数を連日記録しているところをみると、2週間と持たずに再び都市閉鎖が行われる州がではじめ、経済も停滞すると考えているからです。
ワクチンの出荷は早くても10月と言われているので、7-9月のワクチンがない期間のアメリカで都市封鎖することなく乗り切るのは困難です。
希望的な観測が入っているのかもしれませんが、3月ほど安値ではないにしろ、米国株を安く買うチャンスはもう一度やってくる可能性はあると思っています。
この記事のポイント
- アメリカの新規感染者数は連日のように4月のピークを超えている。
- 「3-4月のような全米での大規模な都市封鎖にはならない」という考えから、株価の下落はまだ限定的。ただし、感染が拡大する州で次々と都市封鎖が行われるようになると見ている。
- ワクチンはまだ試験中だが、有効性があったとしても早くても10月まで出荷されない。病床数を超えないように、新規感染者を抑えるための都市封鎖が、感染拡大する州で必要になるはず。
- まだ、これから再び米国株を安値で買えるチャンスは訪れる可能性がある。
4月の新規感染者数のピークを超えたアメリカ
毎日のようにアメリカの新規感染者数は、4月のピークを超えて拡大中です。
4月のピーク時には最大で3.9万人の新規感染者が出ていたのですが、この記事を書いている最新の情報では3日連続で4万人を超える新規感染者が出ています。
さすがに一部の州では経済活動の再開のペースを遅らせたり、制限を強化する動きに出ていますが、3-4月のような厳しい外出制限を再び発動している州はまだありません。
株価はまだ本格的に下げていない
しかし、現時点の株価はそこまで下落をしていません。1日で2%を超える下落を見せる日は何日かありましたが、3月ほどの急落はまだ見られていません。
投資家や政府の声に耳を傾けると「3-4月のような全米でのロックダウンが必要な事態にはならない」と楽観視しているようです。
全米のロックダウンにはならないのは私も同意見ですが、今後感染が拡大する州だけ都市封鎖をしたとしてもかなりの数に上ると思われます。
ワクチン出荷は早くても10月以降
新型コロナウイルスの新規感染者が増加しても、有効なワクチンがすぐに手に入れば問題ないのですが、残念ながらワクチンの出荷は早くても数ヶ月かかりそうです。
WHOによれば、アストラゼネカのワクチンが最有力候補、モデレナのワクチンもそれに引けを取らないそうですが、これらのワクチンが安全で有効だとわかったとしても、出荷は10月以降になる見通しです。
アストラゼネカ(NYSE:AZN)のワクチン開発状況
- アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同で新型コロナウイルスのワクチンを開発。
- イングランドとブラジルと南アフリカで、最終となる第3相試験を実施中。
- 米政府のワクチン開発プロジェクト(オペレーション・ワープ・スピード)のサポートを受けて、10月にワクチンを提供する可能性がある。
- アストラゼネカによれば、ワクチンは20億回分生産する能力があると6月時点で発表。
モデレナ (NASDAQ:MRNA)のワクチン開発状況
- 7月から最終の30,000人規模の第3相試験を開始予定。試験に必要なワクチンは既に製造済み。
- モデレナ社は2021年の早い段階(early in 2021)でのワクチン出荷を予定している。
※記事公開時(20年6月28日時点)のワクチン開発状況です。最新情報はニューヨーク・タイムズのコロナウイルス・ワクチン・トラッカーをあわせて、確認してください。
6月末の時点でアメリカの新規感染者は4月のピークを超えている状況なのに、10月までは待てません。重症患者が入院できるベッド数にも限度があるので、新規感染者を抑えるための都市封鎖を行う州は今後次々と出てくるはずです。
米国株を安く買うチャンスは再び訪れるか
今まで見てきたように、新型コロナウイルスの感染がアメリカで拡大している上に有効なワクチンの早期出荷も困難なため、都市封鎖は行われると思っています。
全米規模にはならずに州ごとの対応になりそうなので、3-4月に見られた経済の停止や株価の急減速ほどではないにしても、今後は景気も株価も下にむかう力が働きそうです。
多くの健康被害が出ていて喜ぶべき事態ではありませんが、もう一度米国株を安く買うチャンスが、訪れるかも知れません。
難しいのは、株価が下落した場合に何を材料に上昇に反転するかです。
「新規感染者数のピーク」を過ぎて株価が回復するならゆっくり買い場は訪れますが、「FRBや米政府の景気刺激策」か「ワクチンの良好な試験経過」で株価は上昇する場合には、安値で買えるチャンスの扉は意外に早く閉じてしまうかも知れません。(提供:Investing.comより)
著者:YUTA