カードローンには借り入れできる限度額が設けられているが、限度額の増額を希望する人もいるだろう。限度額の増額は、複数契約よりも管理が楽というメリットがある。今回は、カードローンの限度額を増額する方法や、審査で重要になるポイントなどを解説していく。
目次
1,借入限度額増額の申請方法
2,「複数契約」より「増額」が良い理由
3,増額する際の注意点
4,増額申請して減額されるパターン
5,増額申請には信用情報と借入状況に注意
1,カードローンの借入限度額増額の申請方法
カードローンは、個人ごとに借入限度額が定められている。借入限度額とはそもそも何か、増やすにはどうすればいいかについて見ていこう。
カードローンの借入限度額は審査によって決まる
借入限度額とは、カードローンの申込者に対して設定される上限金額のことだ。カードローンは無制限で借り入れができるものではなく、借入限度額が必ず設定される。借入限度額は、利用者の年収やカードローンの利用期間などを考慮し、審査で決定される。
カードローンの申込みで借入限度額が設定される理由は、金融機関が申込者に返済能力を上回る金額を貸し付けないようにするためだ。
カードローンの限度額は増額を申請することができるが、審査に通過しなければならない。申請すれば必ず増額が認められるわけではないが、審査に通過すればそれまでより多くの借り入れができる。
カードローンの増額申請ができるのは新規契約から概ね半年経ってから
カードローンの増額申請は、概ね半年以上の利用実績があると審査に通りやすい。新規で契約してから2~3ヵ月だと、審査で落ちることが多い。カードローンの増額申請をするなら、初回利用から半年経過するまで待ったほうがいいだろう。
カードローンの増額申請は電話かインターネットで行う
カードローンの増額申請は、一般的に電話かインターネットで行う。自分の都合の良い時間帯に申込みたいなら、基本的に24時間受付をしているインターネットがおすすめだ。
カードローン会社ごとに増額申請の手順が定められているので、利用しているカードローンの公式サイトを確認してみよう。たとえば三菱UFJ銀行バンクイックの場合は、以下のステップで増額申請が完了する。
1.会員ページにログインし、サービスメニューから「利用限度額増額申し込み」を選択する
2.登録されている住所・勤務先を確認し、必要があれば変更する
3.年収・他社借入金額を入力する
4.内容を確認して「申し込み」をクリックする
5.「完了」をクリックする
6.「書類提出はこちら」のボタンをクリックし、収入証明書類をアップロードする
2,カードローンの「複数契約」より「増額」が良い理由
カードローンの借入額を増やすためには、別のカードローンを申込むよりも、すでに使用しているカードローンを増額するのがおすすめだ。その理由として、以下の3点が挙げられる。
(1)金利を抑えられる
カードローンでは、借入限度額が多くなるほど金利が低く設定されている。したがって、カードローンの借入限度額が増えても、金利は低くすることができるのだ。
主要カードローンの借入限度額と金利を、以下の表にまとめた。
◆三菱UFJ銀行バンクイック
借入限度額 | 借入利率(年) |
400万円超 500万円以下 |
1.8~6.1% |
300万円超 400万円以下 |
6.1~7.6% |
200万円超 300万円以下 |
7.6~10.6% |
100万円超 200万円以下 |
10.6~13.6% |
10万円超 100万円以下 |
13.6~14.6% |
◆三井住友銀行カードローン
借入限度額 | 借入利率(年) |
700万円超 800万円以下 |
4.0~4.5% |
600万円超 700万円以下 |
4.5~5.0% |
500万円超 600万円以下 |
5.0~6.0% |
400万円超 500万円以下 |
6.0~7.0% |
300万円超 400万円以下 |
7.0~8.0% |
200万円超 300万円以下 |
8.0~10.0% |
100万円超 200万円以下 |
10.0~12.0% |
100万円以下 | 12.0~14.0% |
◆みずほ銀行カードローン
借入限度額 | 借入利率(年) |
800万円 | 1.5~2.0% |
600万円以上800万円未満 | 4.0~4.5% |
500万円以上600万円未満 | 4.5~5.0% |
400万円以上500万円未満 | 5.5~6.0% |
300万円以上400万円未満 | 6.5~7.0% |
200万円以上300万円未満 | 8.5~9.0% |
100万円以上200万円未満 | 11.5~12.0% |
10万円以上100万円未満 | 13.5~14.0% |
10万円以上100万円未満 | 13.5% |
主要カードローン会社の借入限度額と金利を見ると、借入限度額が100万円以下の場合、金利は12.0~14.6%だ。最大限度額まで借り入れた場合の金利は、それぞれ1.5~6.1%と1桁台に設定されており、借入限度額が多くなるほど金利が低く設定されていることがわかる。
(2)新規申込みよりも審査期間が短い
カードローンの新規申込みの審査よりも、増額の審査のほうが早く完了する。基本的な情報は、初回のカードローン申請時に審査が完了しているからだ。
たとえば、住所や生年月日が本人確認書類と一致しているかなどは、新規申込みの際にチェックが終わっている。したがって住所変更などがない限り、改めて確認する必要はない。
増額の場合は、新たにカードを発行する必要がないことも手続きが早く完了する理由の一つだ。増額をしてもこれまで利用してきたカードはそのまま使えるので、カードローン会社が新たにカードを発行・郵送する手間が省ける。
(3)借入金の管理が楽
複数のカードローンを利用すると、借入金の管理に手間がかかる。利用者がカードローンの返済について把握しておく必要がある項目は、以下の6点だろう。
・借入限度額
・現時点での借入総額
・利率
・毎月の返済金額
・毎月の返済日
・返済できる場所
カードローンを複数契約すると、返済もそれぞれ行わなければならない。返済日・返済場所が違うと手間がかかり、返済日や金額を間違えてしまう可能性もある。
一方増額の場合は、複数のカードローンの内容を把握する必要はなく、毎月の返済の手間が増えることもない。
3,カードローンの増額する際の注意点
カードローンの増額を検討する際は、以下のポイントに注意したい。
ポイント1,カードローンでは増額申請が必ず必要
カードローンは、申請しない限り借入限度額が変更されることはないため、希望する場合は申込む必要がある。
一方、たとえばクレジットカードでは、自動的に利用限度額が引き上げられることがある。
この仕組みは一般的に「途上与信」と呼ばれ、クレジットカード会社が定期的に利用状況を確認し、評価が高いと限度額を引き上げるのだ。
ポイント2,審査では信用情報の確認と在籍確認が行われる
カードローン増額の審査では、主に信用情報と在籍の確認が行われる。
信用情報は、カードローンの利用実績で確認される。毎月決められた金額を期日どおりに返済していれば、審査に通過しやすい。一方で返済に遅れがあると、審査に落ちる可能性が高くなるので注意したい。
在籍確認に関しては、カードローン会社が勤務先に電話をかける方法で実施されることがある。申告した勤務先や連絡先が正しいかどうかなどを確認するためだ。本人が電話に出れば、確認はすぐに終了する。会議や外出などで席を外していて他の人が電話に出た場合でも、本人が在籍している事実さえわかれば問題ない。
4,カードローンの増額を申請して減額される2つのパターン
カードローンの増額を希望したはずなのに、なぜか減額されてしまうケースがある。主な2つの理由を見ていこう。
(1)総量規制をオーバーしている
総量規制とは、年収の3分の1を超える貸付を原則禁止とする規制のことだ。増額申請によって総量規制の金額を超える場合、利用枠に収まるよう限度額を下げられてしまうことがある。たとえば年収600万円の人なら、総量規制のもとで借り入れできる上限額は200万円までだ。
ただし総量規制の対象は、消費者金融やクレジットカード会社といった貸金業者の貸付だ。銀行や信用金庫などは貸金業者に該当しないので、必ずしも総量規制どおりに貸付をするとは限らない。
(2)返済の遅れがあった
カードローンの返済で遅延や延滞などが発生すると、利用者の信用情報に傷が付く。カードローン会社からの信用が大幅に下がり、増額の審査に通過する可能性が低くなってしまう。
増額を申込むカードローンはもちろんのこと、他社のカードローンやクレジットカードの利用状況もチェックされる。他社でも借入をしている場合は、滞りなく返済をしておこう。
5,カードローンの増額申請の際は信用情報と借入状況に注意
カードローンの限度額は、インターネットや電話で増額申請ができる。増額申請で減額されることのないよう、自身の信用情報や借入状況を確認してから申請することが大切だ。
カードローンの増額申請には、複数のカードローンを契約する場合よりも金利が低く抑えられ、審査も短期間で済むといったメリットがある。ただし利用額が増えれば、当然ながら返済額も増える。カードローンの増額申請をする前に、返済計画をしっかり立てておこう。
執筆・安藤真一郎(ライター・ファイナンシャルプランナー)
主に金融系ライターとして活動し、2019年に2級FP技能士資格を取得。マネージャンルで役立つ情報を、初心者にも分かりやすく解説することを心掛けています。関心分野は、キャッシュレス決済、積立投資、ポイ活、節約術など。
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