中国の商務省は、中国が実用化を計画しているデジタル人民元(CBDC)のテスト運用範囲を拡大することを発表した。14日、WALL STREET JOURNALなどが報じた。

発表によると、すでに実証実験を行っている蘇州や深センなどに加え、対象地域を北京、上海、広州、香港などの主要都市にまで拡大させると説明している。

中国
(画像=月刊暗号資産)

商務省が発表した拡大地域には約4億人の人口が存在していることから、潜在的なテストユーザーは中国人口の約30%に達することになる。

中国のCBDCプロジェクトは2014年から開始されていたが、今年4月に発表された4都市での試験運用発表から様々な報道が相次いでいる。そのことからも、実用化に向けた準備が着々と進んでいることが伺える。

中国の中央銀行である中国人民銀行はCBDCを商業銀行に発行し、一般市民が人民元と1対1で交換できる2層構造を採用しており、銀行間取引だけでなく一般企業向けのリテール型CBDCとなる仕組みを取っている。

既にマクドナルドやサブウェイ、スターバックスなど、大手チェーン店がCBDCのパイロットテストに参加しており、大手動画配信サイト「ビリビリ(哔哩哔哩)」やタクシー配車サービスの「滴滴出行(ディディ)」も参加を表明している。

China’s 21st Century Business Heraldの報道によると、主要国営商業銀行が暗号資産を使用するためのデジタルウォレット・アプリケーションの大規模な内部テストを開始したと報じている。

銀行職員がアプリを利用し、振込や決済などを内部的に試験しているようだ。

財経紙によると、大手銀行の担当者はCBDCでの送金は非常に便利だが、オフラインでの消費チャネルが限られているため、実用化にはまだ時間がかかるのではと話しているという。

また、G 20はこれまでデジタル通貨に対し慎重な姿勢を見せていたが、先月11日に事実上容認する方向で調整が入ったと報じられており、中国の急速なCBDC実用化の流れを受け対応が迫られたと見られている。

CBDCの具体的なローンチ日は発表されていないが、遅くても2022年2月に開催予定の北京冬季オピンピックでお披露目するのではと囁かれている。(提供:月刊暗号資産