ビットコイン・マイニングプールの選び方

ビットコインのマイニングを筆頭にPoW(Proof of Work)の仕組みでマイニングする暗号資産(仮想通貨)はソロマイニング(1台や自分だけでマイニングすること)では非常に難易度が高い為、プールマイニング(みんなで協力して行うマイニング)を行うことが一般的な方法となっております。

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(画像=月刊暗号資産)

それでは次にどのマイニングプールの業者を選ぶと良いのでしょうか?

今回はビットコインのマイニングプールの選び方を考察してみたいと思います。

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マイニングプールのハッシュレートランキング

上記の表は2020年9月16日現在のマイニングプールのハッシュレート(計算量)のランキングです。

  1. BTC.com
  2. F2Pool
  3. Poolin
  4. AntPool
  5. Huobi.pool
  6. ViaBTC
  7. Binance Pool

と続きますが、上位3社が圧倒的なシェアを誇ります。

基本的にマイニングプールは上位のプールを選んだら良いでしょう。

私もBTC.com、F2Pool、Poolin の3つ全てを利用しております。

全て中国の企業でありBTC.comはマイニング機器メーカーとしても有名なBitmainが手がけているマイニングプールです。

それぞれのプールはまず何が違うかといえば、本来は手数料率だったですが昨今の競争の激化により元々違っていた手数料は上位のマイニングプールではほぼ違いがなくなってきております。

またBTC(ビットコイン)をマイニングする際はその副産物として

  • Namecoin(NMC)
  • Elastos(ELA)
  • VCash(VCASH)

等のビットコインと同じアルゴリズム(SHA-256)の暗号資産を同時に掘ることができる(マージマイニングと呼びます)のですが、もちろんそういったことにもしっかり対応しております(ただしこの副産物にはそんなに大きな価値はありません)。

3つとも使ってみて管理画面やアプリの使い勝手が自分に合うところを使用すると良いでしょう(といってもあまり大きな違いはありません)。

マイニングプールの運営者は自社で堅牢なノードとハッシュレート受入体制を整え、マイニングして得られた報酬から手数料を引いてマイナーに分配します。

もちろん参加するマイナーにとっては手数料は安ければ安いほどありがたいです。

また計算量が多ければ多いほどマイニング報酬をヒットさせる確率も上がる傾向にありますので、やはり計算量が上位のプールを選んだ方が報酬が高くなる傾向にあります。

マイニングプールもハッシュレート(計算量)が多ければ多いほどビットコインネットワーク内のイニシアチブを取れる為、より多くのマイナーから支持されるように手数料をできるだけ下げて選んでもらいやすくしております。ですのでまずは安心の上位のプールを利用しましょう

プールに参加する方法

プールの各HPでアカウント登録します。管理画面の指示に従って機器の設定をします。基本的に英語です(中国語もあります)サーバーIPアドレス、マイニングURL、アカウントのユーザー名、マイニングワーカー名、パスワード等を入力すれば機器の設定は完了です。

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F2Poolの機器設定用のURL表示画面例

最後にウォレットでコインを受け取るために支払先の暗号資産のウォレットアドレスを追加します。英語さえわかれば特に難しいことはないです。

マイニング専用機器(ASIC)の設定は数台であればあっという間に完了します。

次に重要な点として、マイニングプールが行う報酬の分配方式について知っておくと良いです。この方式によって分配されるビットコインの数量が大きく変わります。それぞれの方式の名称と計算方法を記します。

PPS (Pay Per Share)

PPSはユーザーによって提供されたシェア毎に一定額を支払う方法になります。

これはマイナー報酬を分配するマイニングプールで最も一般的な方法になります。マイニングプールは、ネットワークの計算の難易度、ネットワーク報酬、ブロック時間、プール自体の能力とは無関係に、シェア毎のコストを決定します。

この方法は安定していて、プールがブロックのマイニングに失敗しても常に支払いを受け取ることができます(後述のPPLNSと違いマイニング成功時に機器がストップしていたとしてもそれまでに計算していれば報酬がもらえます)。

ただし、このサービスはリスクが高い為、高い手数料をプール側が取ることが多いです

PPLNS (Pay Per Last Number of Shares)

PPLNSはPPSに比べると手数料が低く払い出し額が高めに設定されています。

こちらはマイニングでブロックが発見された際にプールマイニングに参加していたユーザーに報酬が支払われます。

報酬は各ユーザーの貢献度(計算量提供量)によって左右されます。

PPLNSはプールがブロックをマイニングしてブロック報酬を引き当てた時の場合にのみマイナーに報酬を与えます。逆に言うとその時に計算をしていなかったマイナーには過去に計算をしていたとしても報酬は分け与えてくれません。

プールがブロックを引き当てた場合、最後に送信されたN個のシェア数(計算量)を元に計算をします(Nはプールによって確率的に異なります)。

報酬を得るために、ユーザーが提出したシェア数(計算量)をNで割り、ブロックの報酬(プール側の手数料を引いたもの)で結果を計算します。

例えば、現在のブロック報酬が6.25BTC(取引手数料なしと仮定、実際は手数料が含まれる為もう少し多い)で、運営者の報酬が0.25BTC(4%)の場合、マイナーの利用可能な報酬は6BTCとなります。

この6BTCをその時に提供していた計算量で割って報酬を得ます。例えばプール全体の計算量が 10,000TH/s であった場合、500TH/s の計算量を提供したと仮定すると20分の1に相当する0.3BTCを受け取ることになります。

PPS+ (Pay Per Share + Pay Per Last Number of Shares)

これは2つの方法を組み合わせたものです。

報酬はPPS方式に従って支払われ、マイナーにはPPLNSシステムに基づいて取引手数料の一部が支払われます(ただし、プールがブロックを引き当てた場合のみ)。

F2Poolで採用されております

FPPS (Full Pay Per Share)

PPS+に似ていますが、違いはブロックに含まれる手数料もPPLNSではなくPPSの原則に従って支払われます。

BTC.com pool と Poolinはこちらの方式です。

上記方式の違いを踏まえた上で各プールの報酬金額を比べてみましょう。

2020年9月16日現在の各マイイニングプールの1TH/sのハッシュレート毎のペイアウト金額は

  • BTC.com pool:1TH/s FPPS 0.00000785 BTC
  • Poolin.com:1TH/s FPPS 0.00000784 BTC、1TH/s PPS 0.00000725 BTC
  • F2pool(手数料2.5% PPS+):1TH/s PPS+ 0.00000763 BTC

(参考)
Binance Pool(手数料 2.50% FPPS):1TH/s FPPS 0.00000782 BTC

となっており、執筆現在ではBTC.com poolが少しだけ高く、F2Poolが低いですが明日は逆転しているかもしれません。基本的にはあまり差はなく拮抗しており、この数字は日々入れ替わっております。

また正直なところ、全く同条件でマシンを動作させて比べてみないと本当にこの報酬が正しく支払われているか正確には分からない為、正確な比較がとても困難ではあります。マシン毎のほんの少しの計算量のゆらぎで報酬が変化する為です。

私が数年使用してきて、概ねこの3つのマイニングプールで明らかな違いは現在見受けられません。大きなトラブルもなく運用ができております。

それぞれの管理画面やアプリを使用してみて自分にあったところを2つ使用すればまずは十分でしょう。

さらに、どのプールも10PH/s= 10,000 Th/s という計算量を1つのアカウントユーザで超えてくるのであれば、VIPアカウントというものを発行していただけます。これは大口客への配慮で手数料を若干割引していただけるアカウントになります。こうやって各プールは大口のマイナーを自社のプールに引き入れようと日々営業活動しているのです。

もし今後ある程度の規模でマイニングを行いたい場合は10PH/s= 10,000 Th/s ぐらいの計算量の台数分、マイニングマシンの購入を検討されてはいかがでしょうか。

これはBitmain Antminer S19Pro(110TH/s)のマシン約91台分の計算量に相当します。そうするとマイニングプール の手数料も多少下げられるので利益率が上がります。

やはりビットコインのマイニングは人気が高く競争が激しい為、利益率を高めるにはある程度の規模で始められた方が有利なのは間違いないです。

筆者は今後Binance Poolも試してみるつもりです。理由は現在も最終的に電気代を支払う為にBinance等の取引所に掘り出したビットコインを移動してUSドル建ての暗号資産に両替して電気代等を支払うからです。

計算量の送料がまだまだ少ないのが気にはなるものの、報酬額が安定して大きく変わらないのであればこういった取引所のPoolも掘り出した通貨の移動が減るので利便性は高いと思います。

最後にまとめますと、ビットコインのマイニングプールの選定においては

  • 計算量(ハッシュレート)上位のマイニングプールを選ぶ(現時点ではBTC.com F2Pool Poolin)
  • 1つに拘らず複数利用して比べてみる
  • 可能であれば1つのマイニングプールで10PH/s(10,000TH/S)以上のアカウントを作りVIPアカウント口座を開く

上記3点が大事と考えております。特に2番に関してはコインの盗難やシステムトラブル等のリスク回避の観点からも複数利用が望ましいと思います。

毎日少しずつビットコインが貯まる「楽しさ」「嬉しさ」は是非体感してもらいたいです。ビットコインマイニング専用機器を購入し、マイニングプールを是非利用してみていただければ幸いです。(提供:月刊暗号資産

Profile
文◉木村 武弘(きむら たけひろ)
福井県出身。慶應義塾大学環境情報学部卒業。
在学中に株式会社ケイビーエムジェイ(現株式会社アピリッツ)を設立し、取締役副社長に就任。大学の教授陣や楽天創業メンバー等の支援を受ける。大学卒業後、2002年に代表取締役社長に就任。
「世界中の人々に愛されるインターネットサービスを創り続ける」を経営理念に掲げ、レコメンデーションエンジンやSNSエンジンをはじめ、様々なシステム・サービスの開発に着手。2009年に新規事業開拓のため、スマートフォンアプリケーション開発を専門とする株式会社KBMJiを改組設立し、代表取締役に就任。2015年からブロックチェーン事業を開始。