ネット証券大手のSBI証券が、今年11月からデジタル社債を発行する予定であることがわかった。8日、日経新聞が報じた。
SBI証券はブロックチェーンを活用してデジタル社債を発行し、個人顧客向けに販売するという。
今後はデジタル証券を活用した資金調達などを事業として展開する見込みだ。12月には関連規制に対応予定だとしている。
デジタル社債はすでに野村グループやみずほファイナンシャルグループが発行しているが、購入できるのは一部の投資家に限られていた。
個人顧客を含めたデジタル社債の販売は国内初となる。
従来の社債は、発行する際に保有者の名義の管理などは証券保管振替機構(ほふり)が担当していた。
一方、デジタル化することで、自社で管理できるようになり、コスト管理にかかる費用や手数料の引き下げにつながる可能性があるという。
デジタル社債では、通常の社債と比べ、小口・少額での発行ができるようになる。
同社は今後、販売開始に向け発行総額や最低投資単位などの詳細を決めていく。
SBI証券を発行主体とし、発行インフラについては、野村グループ系のブロックチェーン企業であるブーストリーのシステムを利用するという。
親会社であるSBIホールディングスの北尾吉孝社長は先月、ブロックチェーンを基盤とするデジタル証券向けの取引所を大阪・神戸地区に設立する計画を明らかにした。
同地区を中心に「スマートシティ」として次世代の国際金融センターへと発展させる構想で、デジタル証券取引所の設立にも取り組む方針だと述べている。
この構想に関しては大阪府の吉村洋文知事や菅義偉官房長官(当時)とも話が交わされており、前向きな回答を得たことが北尾氏より明かされている。
デジタル債を検討する動きは海外でも見受けられている。
今年2月には、韓国の中央銀行である韓国銀行(BOK)がブロックチェーンを用いた債券発行システムの実証実験を行っていることが判明。
また先月、国際的なメガバンクのHSBC銀行、シンガポール証券取引所(SGX)、シンガポール政府系投資会社のTemasekが共同でデジタル社債の実証実験に成功したことを発表している。(提供:月刊暗号資産)