米商品先物取引委員会(CFTC)は21日、暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ取引業者に対し、顧客から預託された暗号資産の保管・報告に関する勧告書を発表した。

この勧告書では、「暗号資産カストディアンは、現状新たな資産の保護を含む包括的な連邦・州の規制や監督体制の対象となっていないため、カストディアンが保有する顧客資産の保護に潜在的なリスクが生じている」と指摘している。

CTFC
(画像=月刊暗号資産)

暗号資産を管理する業者へのシステムハッキングによって資産の流出事件などが多数報告されており、顧客が自身の資産を預ける行為に一定のリスクが存在するとし、これまで暗号資産の最終所有者に数百万ドルの損失が発生していると指摘している。

そのような状況を踏まえ、今回の勧告書では登録先物業者(FCM)に対し、顧客の暗号資産の受け入れ・保有に関する考え方や、顧客資産として暗号資産を保有する際のリスク管理プログラムの策定・維持における留意点などをまとめている。

具体的にCFTCは、以下のような点を含む12項目について遵守するよう求めた。

  • FCMは、顧客資産として保有している暗号資産を、資金が分別管理されていることを示す口座名で預託機関に預託する必要がある。

  • FCMは、先物取引口座の借方や損失を、他の暗号資産口座で保有する暗号資産で価値を相殺することはできない。

またFCMが顧客の資産を預けられる場所についても、銀行、信託銀行、他のFCM、または暗号資産の先物精算を行う機関と、制限を設けた。

CFTCはデジタル資産デリバティブに関する包括的なフレームワークの構成を進めているとのことで、今回の勧告書もその一部であると説明している。

今後、顧客の暗号資産を保有しているFCMから新たな懸念が生じた場合、必要に応じて勧告書を見直し、検討していく予定だとした。(提供:月刊暗号資産