9月28日、NAND型フラッシュメモリーで世界2位のキオクシア(旧東芝メモリ)は10月6日に予定していたIPOを延期すると発表した。今年最大のIPOであり、大株主の東芝 <6502> は売却益を株主還元に充当する方針が伝えられていただけに市場には失望感が広がった。この影響で東芝株は9月28日に一時2550円の安値を記録、7月7日の高値3640円から30%下落した。ところが、10月19日に米半導体大手のインテルがメモリー事業を韓国半導体大手SKハイニックスに売却するとの情報が伝わると、業界再編期待で東芝株は急反発、10月20日に前日比で一時6.2%高の2994円まで買われる場面も観測されている。

今回は東芝の最新動向をお届けしよう。

キオクシアは東芝の稼ぎ頭だった

東芝,株価
(画像=ミック / pixta,, ZUU online)

東芝は日本を代表する総合電機メーカーの一つで、かつては白物家電など民生用電機でも大手だった。また、2006年には米ウェスチングハウスを買収し原子力分野で世界大手となったこともある。

しかし、2015年に東芝の粉飾決算が発覚、2017年には東日本大震災以降の原発の不振でウェスチングハウスが破綻したことも影響して経営が悪化、2017年3月期には9656億円の巨額赤字を計上し債務超過へ転落した。そして、株式市場では2017年8月に東証1部から2部に降格している。

その後、東芝は大規模なリストラを進めた。医療機器や家電、パソコン、テレビなど多数のノンコア事業を売却、第三者割当増資等で債務超過を脱却し、残ったインフラ系事業をコア事業として再出発した。

この一連のリストラで注目されるのが、東芝メモリの分社化だ。東芝メモリは世界で初めてNADN型フラッシュメモリを発明し、かつてはメモリ分野でトップレベルの技術を有する稼ぎ頭だった。東芝メモリの分社化で、筆頭株主は企業再生等を手掛けるペインキャピタルを中心とした日米韓の企業連合(56.2%を保有)となった。東芝は40.6%を保有する第2位の株主となり、東芝メモリは同社の持分法適用会社となった。ちなみに、出資した企業連合には韓国のSKハイニックス、米アップル、米パソコンのデル、日本のHOYA <7741> などが含まれている。2019年10月に東芝メモリは「キオクシア」に社名変更、東京証券取引所でIPOを目指していた。

なぜ、キオクシアはIPOを延期したのか?