NTTデータ、三菱商事、三菱UFJ銀行ら7社は、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」を運営する株式会社トレードワルツへの共同出資に合意した。27日、NTTデータが発表した。
NTTデータが開発した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」を利用し、貿易書類業務の完全電子化に乗り出す。これまで紙ベースの処理が根強く残っていた貿易事務の負担を半減させるのが狙いだ。
トレードワルツ社はNTTデータが各社からの出資を受けることを前提にして4月に運営会社を設立した。各社の出資は11月までに完了する。
トレードワルツ社の共同出資企業には上記3社に加えて、損害保険ジャパン、豊田通商、東京海上日動火災保険、兼松が加わる。
NTTデータは「あらゆるモノの流れに付随する貿易業務には、取引の過程で多数の手続きが発生し、手作業での書類作成や整合性の確認作業等には、多大なコストがかかっています。また、複数の関係者が取引に介在しており、より正確かつ安全に情報を受け渡す仕組み作りは、業界の垣根を越えた共通の課題となっています」と指摘した。
そして「これらの課題を解決するべく、2017年8月にNTTデータを事務局とした業界横断のコンソーシアムを発足し、商社・銀行・保険・船会社等の関係者と共に、デジタル技術を活用した貿易業務における事務処理の効率化、安全性の向上等について、議論を重ねました」と、貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」の開発を進めてきた理由を説明した。
TradeWaltz®では、文書の送信企業が必要事項を入力し、受信する企業がその情報を参照する。従来の郵送に比べて時間を削減できるほか、転記ミスを防げるのが利点だ。日本経済新聞の報道によると、三菱商事などが試験導入した結果、書類作成にかかる時間を半減できたという。
また、システム上のデータが改ざんされていないことを担保するため、ブロックチェーン技術を使うことも明らかにされた。
今後、NTTデータは密に連携し、「TradeWaltz®」の実用化、商業化に取り組んでいく予定だ。
まずは各社の貿易業務の各種プロセスの中に「TradeWaltz®」を順次導入し、必要な機能の追加やシステムの強化を行う。
将来的には、貿易文書の電子化を検討している国内外の政府機関やサービスプロバイダーと連携し、「ASEAN」をはじめとした世界の貿易業務のデジタル化にも貢献を目指す。2024年度末までに国内外400社の顧客獲得を目標としている。
NTTデータの取締役松永恒氏は「世界的なデジタル化の中でも重要な貿易の領域において、ブロックチェーン技術を用いた革新的なプラットフォームであるTradeWaltzを、業界横断各社の知見を結集して世に送り出せたことを大変うれしく思います。引き続き本事業の国内外の展開を支えつつ、これを嚆矢(こうし)にデジタル時代の新しい社会インフラの整備に尽力してまいります」と抱負を語った。(提供:月刊暗号資産)