国内暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyer創業者の加納裕三氏は28日、「ブロックチェーンEXPO秋」で特別講演を行い、ブロックチェーンを国家戦略にするための具体案を提示した。
この講演は「ブロックチェーン革命が導く近未来の社会革命」と題して行われたもの。
加納氏が提示したブロクチェーンを国家戦略にするための具体案は以下の3点だ。
- ブロックチェーン特区
- CBDCの試験導入
- 行政システムのブロックチェーン化
特にブロックチェーン特区の設置に関しては、「地方自治体から特区を選定」「サンドボックス制度の活用」「インキュベーション施設の開設」等を行う必要があるとした。
さらにCBDCの試験導入に関しては、概念実証においては「スマートコントラクトを活用して1年経過後に紙幣との交換を約束できるようにしてもいいのではないか」との考えを示した。
また加納氏は、住友商事と共同で不動産賃貸契約の電子化プロジェクト「スマート契約」の開始も発表。両社は昨年7月に業務提携を結んでおり、独自ブロックチェーン「miyabi」を活用した不動産賃貸契約プラットフォームの共同開発を行なっていた。
スマート契約には25社が参加し、プレ商用サービスを開始したとのことだ。
これは利用者がアプリに入力した名前や情報をブロックチェーンで管理することにより、複数の企業がデータを共有し契約書等にかかる管理コストを大幅に削減することが可能だという。
利用者は物件の内見予約から契約までをワンストップで行うことができるため、非常に手続きが簡易になる。
加納氏は本人確認を取り巻く問題にも触れ、現状のシステムには非常に無駄が多いと指摘。関連して、銀行などが本人確認してお墨付きを与える「ブロックチェーンID」の導入も提案した。
加納氏はbitFlyer USAなどのCEOを務める傍ら、一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事を務めている。
同協会は「ブロックチェーンを国家戦略に。」をスローガンに掲げ、ブロックチェーンの事例研究や政策提言などを行なっている。(提供:月刊暗号資産)