暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所のFTXは29日、AppleやAmazonなど、世界有数の大手企業の株式をトークン化し取引することができるサービス「Fractional Stocks Offerings(フラクショナル・ストック・オファリング)」を発表した。

このサービスはドイツの金融会社CM Equityおよびスイスに拠点を置くDigital Assets AGと提携したことで実現。FTXのプラットフォーム上ではAppleやAmazonのほか、FacebookやNetflix、Teslaなど、12種類以上のトークン化された株式を取引することができる。

トークン
(画像=月刊暗号資産)

またトークン化されたことにより、実際の株式で購入する1株を分割して購入することが可能になることから、AmazonやFacebookのような1株あたりの株価が高い値嵩(ねがさ)株を少額から売買することができるようになる。取引手数料は発生するが、トークンを保持するための管理料はないという。

同サービスの登録は同日開始され、取引も間も無く開始できるようになるとのこと。FTXで取引されたトークンを現金化するにはCM Equityを介する必要があるという。

なお、米国およびその他の制限された管轄区域のユーザーは取引を行うことはできない。

今回の発表に際し、FTXの最高経営責任者(CEO)であるSamBankman-Fried氏は、「このトークンは、従来の市場を通じて株式にアクセスすることが難しい、または不便だと感じる投資家をターゲットにしている」とコメント。

さらに、「彼らのニーズに応えるべく、新たな取引機会を提供していきたい」と抱負を述べた。

通常の株式取引では定められた株式量からの取引が多く、まとまった資金を準備する必要があるケースが多い。

そういった株式投資への参入障壁を低くする意味においても、今回発表されたサービスは注目を集める可能性が高い。

また、既述の値嵩株を分割して取引することが可能なだけでなく、株式市場とは違い24時間365日市場が動いているという点は、暗号資産取引の強みを生かしたものと言えるだろう。

世界的な大企業の株価が反映されるということもあり、これまで暗号資産取引に深い関心を持っていなかったユーザーの流入も考えられる。(提供:月刊暗号資産