イラン政府が外貨準備高を補充する目的で、一時的に自国で認めた暗号資産(仮想通貨)マイナーからマイニング報酬を買い上げることがわかった。国営のイラン学生通信社(ISNA)などが報じた。

報道によると、政府のエネルギー省およびイラン中央銀行(CBI)が共同で関連法を改正し、政府からライセンスを与えられたマイナーのマイニング報酬を買い上げることが可能になったという。買い上げた暗号資産は貿易資金等で支払いに利用できるようだ。

イラン
(画像=Shutterstock)

背景としては米国による経済制裁が見え隠れする。

長年に渡り経済制裁がなされており、今月8日にはイランの金融機関18行が追加制裁を受けている。こういった制裁が度重なり、2年間でイランの外貨準備高は33%以上減少していることもあるため、その回避策としてビットコインに注目しているようだ。

また今回の動きは、輸入品の代金を支払うことを目的としたものである可能性が高い。

昨年12月の外交問題評議会でBrian Hookイラン特別代表は、「現在Rouhani政権は、機械、工業製品、消費財などの輸入品を調達するために必要な外貨を確保するのに苦労している」とコメントしている。そのような発言からも、外貨準備金高の補充は急務であったと言えるだろう。

なお、政府は現在のところマイニング業者に対して暗号資産の買い取りレートを発表していない。

イランは昨年7月に暗号資産のマイニングを正式に合法化した。しかし同時に、暗号資産取引に関しては禁止している。

合法化された際、イラン中央銀行のAbdolnaser Hemmati氏は「暗号資産マイナーはマイニングしたビットコインを国外に流出させるのではなく、国内経済への貢献のために使うべきだ」と述べており、あくまで同国の経済活性化のためとの認識を示している。

さらに、イランのHassan Rouhani大統領が今年5月に「マイニング産業を国家戦略にすべき」と指示した点も今回のような動きに繋がったと言えるだろう。

また同氏は、イスラム教国間の取引で利用可能なデジタル通貨の発行にも意欲を見せていることから、今後本格的に米ドル支配の脱却に向けた動きを加速させていく可能性もある。(提供:月刊暗号資産