社会的にみれば、看護師は高収入で安定した職種です。とはいえ、「退職してから年金だけで満足な暮らしができるかな?」と不安に思う人もいるかもしれません。今回は、看護師がもらえる年金の種類を勤め先ごとに解説します。受け取れる年金額の目安や自分で将来に備える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

看護師がもらえる年金とは?確認方法も紹介

看護師が知っておきたい「年金制度」どんな種類?いくら貰える?
(画像= Ameashi/stock.adobe.com)

まず、看護師の年金の種類と、受給額の目安を解説します。年金の確認方法も紹介するので、自分の年金の種類を確認してみましょう。

看護師の年金にはどんな種類がある?

看護師が加入している年金の種類は、勤務先によって違います。多くの看護師が加入しているのは、国民年金と厚生年金の2つです。大規模な病院では、さらに企業年金が上乗せされることもあります。この場合、現役時代の天引き額は高くなりますが、将来の受給額も高くなります。

国や自治体の関連機関で働く看護師は、以前は国民年金と共済年金に加入していました。2015年に共済年金が厚生年金に一元化されたため、現在は国民年金と厚生年金に加入している人が多いでしょう。もし共済年金に加入していた期間があるなら、その分受給額が増える可能性があります。

従業員が5人未満の小規模な事業所では、厚生年金への加入義務がありません。そのため、勤務先が少人数のクリニックなら、加入しているのは国民年金だけというケースがあります。このような場合、自分で将来への備えをしておきましょう。

将来受け取れる年金額はいくら?

2020年現在、受け取れる年金額は下記の通りです。

国民年金…65,141円

厚生年金…220,724円 (厚生年金は、国民年金分も含めた、夫婦2人分の標準的な年金額)

年金の受給額は、納付期間や給与によって変動します。国民年金は、保険料を全期間納めると、誰でも満額で受給できます。未納期間があると将来の受給額も下がるため、未納にならないよう注意しましょう。

厚生年金は、現役時代の収入が高いほど天引きされる保険料も高くなり、その分受け取れる年金額も高くなります。看護師は現役時代の収入が高いため、勤め上げれば厚生年金もたくさん受け取れます。今のがんばりが老後の生活に反映されるのはうれしいですね。

自分の年金はどこで確認できる?

自分が加入している年金は、給与明細で簡単に確認できます。社会保険の項目を見ると、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料などの項目が並んでいます。「厚生年金保険料」が天引きされているなら、厚生年金に加入しています。

「企業年金掛金」や「確定給付年金」などの項目名で天引きされているなら、企業年金にも加入しているとわかります。

自分が加入している年金の種類がわかると、追加で用意すべき金額もイメージしやすくなります。老後の不安をなくすための第一歩として、まずは年金の種類を確認してみましょう。

自分で将来に備えるために――iDeCoとつみたてNISA

続いては、節税しながら将来に備える方法を2つご紹介します。賢く資産形成をしたい看護師は、ぜひ参考にしてください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、現役時代に自分で積み立てる私的年金です。自分で投資先を選んで毎月の掛金を決め、資産形成をします。

一般の生命保険では、支払った保険料の全額が控除されるわけではありません。しかしiDeCoの場合、掛金の全額が所得控除の対象となります。そのため、高い節税効果が期待できます。   iDeCoでは、投資先を自分で選べる分、商品によっては元本割れの可能性があります。また、iDeCoで拠出した掛金は、60歳まで引き出せません。そのため、投資先や掛金の金額は慎重に決めましょう。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)

つみたてNISAは、特定の投資信託を積立で購入していくと、年間40万円までが非課税になる制度です。投資信託は、投資先の選定をプロに一任できる投資商品です。つみたてNISA対象商品は、その中でも特に長期投資に適したものが厳選されていることから、初心者でも安心して投資をスタートできます。

また、つみたてNISAはiDeCoとは違い、いつでも現金化が可能です。そのため、ライフプランの変化にも柔軟に対応できるでしょう。

一方、iDeCoとは違い、投資した金額が所得控除の対象になるわけではありません。あくまで、運用益に所得税・住民税がかからないというだけなので、注意しましょう。

また、あくまで投資なので、元本割れの可能性があります。その点も踏まえたうえで、余裕資金を投資に回しましょう。

年収400万円の看護師が30歳から運用を始めたら?

これから運用を始めたらどれくらい資産が増えるのか、シミュレーションをしてみましょう。

年収400万円の看護師が30歳でiDeCoに加入した場合を考えてみます。毎月2万円を積み立てていくと、60歳までの30年間で積み立てられる元本は720万円です。運用期間の利回りを3%と仮定すると、運用益は約445万円です。

iDeCoでは、掛金が全額所得控除の対象になります。そのため、トータルで約108万円の節税効果が期待できます。

iDeCoを始めなかった場合と比較すると、iDeCoで得られるメリットは約553万円。こうして実際に計算してみると、投資効果・節税効果の大きさを実感できるでしょう。

iDeCoもつみたてNISAも、投資初心者が安心して将来に備えられるよう、政府が用意した制度です。賢く活用し、将来の不安を減らしましょう。

年金について暗い話題を耳にすることも多い昨今ですが、十分な備えがあれば心配はいりません。まずは自分の年金を知り、早めに将来に備え始めることが大切です。 (提供:Medi Life)

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