上昇を続ける暗号資産(仮想通貨)市場
11月に入り暗号資産(仮想通貨)市場の勢いは加速度的に増している。
ビットコインにおいては10月1日時点で約112万円台であったが、右肩上がりに上昇を続け11月25日現在では1BTC198万円ほどにまで高騰。上昇率にして約74%もの上昇を見せており、間違いなく現在の暗号資産(仮想通貨)市場に好影響を及ぼしていると言っていいだろう。
その時価総額は3650億ドル(約38兆1,380億円)を超え、過去最高を記録した(11月25日時点:CoinMarketCap参照)。
また2022年までに17万ドル(約1,770万円)台まで上昇するとの見解を示す専門家もおり、一連の価格上昇を経て強気な予想が散見されるようになってきた。
しかしこのような予想は、市場が好調な時に往々として見られてきたものであるため、鵜呑みにしてはいけない。
ただし現時点では信じ難い内容のようにも聞こえるかもしれないが、この先も右肩上がりな推移をキープすることができるのであれば、実現不可能ではないだろう。
ビットコインの好状況に感化され、主要アルトコインも大幅上昇を見せている。
時価総額2位のイーサリアムは前月比約48%、日本でも人気の高いリップルに至っては前月比約140%もの上昇を見せるなど、破竹の勢いを見せている。
11月23日時点での暗号資産(仮想通貨)市場は多くの銘柄が前月と比べ大幅に価格を上昇させており、約3年前の「暗号資産(仮想通貨)バブル」の前兆を感じさせるような状況だ。
新型コロナウイルスによる金融に対する認識の変化
新型コロナウイルスの影響によって、世界各国において金融に対する認識に大きな変化が生まれたのは言うまでもない。
近頃は日本をはじめ、米国や欧州などでも中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の開発や検討が急速的に行われている。すでにバハマやカンボジアといった国々ではCBDCの運用が始まっている状況だ。
なかでも、世界屈指の経済大国へと成長した中国のデジタル人民元開発はまさに佳境を迎えており、その影響を危惧する各国首脳も少なくない。
そのような状況下で、暗号資産(仮想通貨)業界にも変化の兆しが訪れていることを感じさせるような出来事があった。
10月初旬、Twitter社のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドゥーシー)氏が率いる米決済大手Squareが、準備資産として4709BTCを購入。さらには同月、決済企業の中でも実績と高い知名度を誇るPayPalが暗号資産(仮想通貨)業界に参入を発表し、大きな話題を呼んだ。
いずれも暗号資産(仮想通貨)市場に好感を与え、現在までの価格上昇に大きく貢献したと言っていいだろう。もっと言ってしまえば、この2社による発表が価格上昇に向けたトリガーを引いたと見てもいい。
また、暗号資産(仮想通貨)もとい、ビットコインに否定的な投資家たちの認識にも変化が生まれつつある。
著名投資家のRay Dalio(レイ・ダリオ)氏はこれまで、「金よりビットコインを選ぶということはない」とビットコインに対して懐疑的な姿勢を見せてきた。
しかし、ここ最近の価格上昇と大手企業の参入が相次いでいることもあってか、先日には「私はビットコインについて何かを見落としているかもしれない」と述べるなど、自身の考えを改める可能性を示唆している。
さらにはビットコインに対して否定的な見解を示してきた大手銀行のJP Morganも、「デジタルゴールドになる可能性があり、価値も今から3倍にまで上昇する可能性がある」とコメント。BloombergやForbesといった大手メディアもビットコインや暗号資産(仮想通貨)に対して肯定的な報道を行うなど、暗号資産(仮想通貨)市場を取り巻く環境に変化が見られるようになってきた。
これらの大きな要因となっているのは、前述した新型コロナウイルスによる金融への意識変化が大きく関係していそうだ。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインも当初、「中央集権に支配されない、自由なグルーバル通貨」を目指して発行された。そのビジョンは今も変わらないことだろう。
実際、南米など通貨不安を抱える国々ではビットコインを介した決済が行われることもしばしば見受けられる。それはビットコインを「通貨」として認めたことの裏付けにもなる。
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえると、決済のデジタル化によって直接紙幣を触る必要がなく、デジタル上で金銭のやり取りが完結することを目指すというのは自然な流れと言えるだろう。
NEXTビットコインとなるのか? Filecoin(ファイルコイン)
最近、ビットコインと同じようにマイニングを行うことが可能なFilecoin(ファイルコイン)が注目されている。
その理由は、価格変動の大きいビットコインと違いFilecoin(ファイルコイン)の価格は1FILあたり2,000円台後半から3,000円台前半を推移しており、価格変動によるマイニングへの影響が少なく安定した報酬を得る仕組みが構築されているからである。
まとめ
相場が好調といっても、大幅な変動を見せるのが暗号資産(仮想通貨)だ。
そのため、常に警戒感を持って取引を行う必要がある。
また過去の暗号資産(仮想通貨)バブルの時を振り返ると、こういった好状況を見て悪質な詐欺行為等を行う人間が現れる可能性もあるため今一度、情報の取捨選択をきっちり行うように心がけることが大切だ。
しっかりと見定めた上で、今後の投資先として暗号資産(仮想通貨)をポートフォリオに含めるのは大いにありなのではないだろうか。(提供:月刊暗号資産)