サクソバンク証券は取り扱う通貨ペア数の多さ、スキャルピング公認、高度な分析ツールTrading Viewから取引可能といった、中・上級者に好まれる特徴がある。今回はサクソバンク証券のFX口座のスペック、利用するメリットやデメリットなどについて解説していこう。

1,サクソバンク証券の特徴は?

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サクソバンク証券は2006年に設立され、デンマーク監督庁の認可を受けたオンライン銀行であるサクソバンクの子会社。サクソバンク証券自体は東京にあるため、日本の金融庁にも登録している。FXの他、CFD、外国株式、外国株式オプション、貴金属、先物の取引を行うことも可能だ。

FX会社としての特徴は

・150種類以上の豊富な通貨ペア
・スキャルピング公認
・約定力が高い
・1,000通貨単位での取引が可能
・アクティブとスタンダードという2種類のコースを用意
・スプレッドが変動性
・取引ツールが本格的

といった点が挙げられる。このような特徴から、FXの上級者の利用にも向いている。

サクソバンク証券の基本情報

サクソバンク証券の会社情報とFXサービスの取引ルールは、以下のとおり。なお、取引の欄は、初心者向けの「スタンダードコース」の内容だ。

サクソバンク証券のサービス基本情報一覧(2020年11月4日現在)

会社情報 会社名 サクソバンク証券株式会社
設立 2006年4月
資本金 4億9,000万円
自己資本規制比率 470.0%(2020年9月)
口座開設数
信託保全 100%信託財産保全
口座 口座開設手数料 無料
口座管理手数料 無料
入出金・振替 入金方法 日本円
リアルタイム入金手数料
(即時入金)
無料(会社負担)
出金日数 午前9時30分までに
出金依頼をした場合、
通常最短で翌営業日~
翌々営業日
出金手数料 無料
リアルタイム入金
提携金融機関数
8の金融機関
ツール・サービス PC版取引ツール SaxoTraderGO、
SaxoTraderPRO、
デモ口座、TradingView、
マルチチャート、MT4
(別途口座開設が必要)
スマートフォン版
取引ツール
SaxoTraderGO
取引 通貨ペアの種類 158通貨ペア(2020年2月時点)
最低取引単位 1,000通貨単位
取引上限 通貨ペアによって変動
レバレッジ倍率 最大25倍
取引手数料 無料
注文方法の種類 成行、指値、逆指値、
IOC 注文、イフダン、
OCO、トレイリングストップなど
スリッページ
ロスカット
アラート機能
証拠金使用率(※1)
が75%または90%に
達した時点でマージンコール
のアラート
追加証拠金
解消期限
ロスカット
発動水準
証拠金使用率(※1)
が100%に達した時点
利益と課税 申告分離課税(20.315%)
サポート体制 よくある質問・FAQ
・お問い合わせ対応時間
(平日9:00~18:00)
※取引の欄は「スタンダードコース」の内容
※1,証拠金利用率(%)=必要証拠金÷純資産×100
(※サクソバンク証券のホームページを元に筆者作成)

2,サクソバンク証券のスプレッドやスワップポイントは?

FX証券会社を選ぶ際には、スプレッドやスワップポイントは重要なポイントだ。サクソバンク証券ではどのように設定されているのか見ていこう。

サクソバンク証券のスプレッドを紹介――変動制スプレッドを採用

まずサクソバンク証券のスプレッドについて、DMM FX、GMOクリック証券FXネオのスプレッドと比較した。

・主要通貨ペア別スプレッド一覧表

  サクソバンク証券 DMM FX GMOクリック証券FXネオ
通常時 キャンペーン 通常時
(AM3:00~
AM9:00)
期間中
(AM9:00~
翌日AM3:00)
米ドル/円 変動(約0.2銭~0.5銭) 0.2銭 0.1銭 0.2銭 0.1銭
ユーロ/円 変動(約0.7銭~1.1銭) 0.5銭 0.3銭 0.5銭 0.3銭
ポンド/円 変動(約0.9銭~2.0銭) 1.0銭 0.6銭 1.0銭 0.6銭
豪ドル/円 変動(約0.8銭~1.0銭) 0.7銭 0.4銭 0.7銭 0.4銭
トルコリラ/円 変動(約3.5銭~5.0銭) 1.7銭 1.7銭
南アランド/円 変動(約0.7銭~0.8銭) 1.0銭 0.8銭 1.0銭 0.8銭
ユーロ/ドル 変動(約0.4pips~0.5pips) 0.4pips 0.3pips 0.4pips 0.3pips
豪ドル/ドル 変動(約0.4pips~0.8pips) 0.9pips 0.4pips 0.9pips 0.4pips
※サクソバンク証券は2020年11/4に調査
※DMM FXのキャンペーン適用は2020年12月19日まで
※GMOクリック証券FXネオの期間中スプレッドの適用は2020年12月22日の3:00まで
(※各社のホームページを元に筆者作成)

サクソバンク証券はスプレッドがリアルタイムで変動する方式だ。水準も他社よりやや広くなっている。

主要取扱通貨ペア別のスワップポイント

サクソバンク証券のスワップポイントについて、2020年11月6日のスワップポイントを、国内大手のDMM FXとGMOクリック証券FXネオのスワップポイントと比較した表を掲載する。

・主要通貨ペア別スワップポイント一覧表

  サクソバンク証券 DMM FX GMOクリック証券FXネオ
買い 売り 買い 売り 買い 売り
米ドル/円 -9 -29 7 -10 16 -22
ユーロ/円 -36 -8 -11 8 -28 22
ポンド/円 -28.99 -42 5 -8 4 -10
豪ドル/円 -17 -22 3 -6 4 -10
NZドル/円 -9 -29 6 -9 10 -6
スイスフラン/円 -51 -10 -15 2 -38 32
カナダドル/円 -14 -28 2 -5 6 -12
南アランド/円 7 -9 7 -10 120 -180
トルコリラ/円 28 -44 48 -54
※2020年11月6日の発生実績
※サクソバンク証券はスワップポイント一覧を一時的に利用できない状態
(※各社のホームページを元に筆者作成)

スワップポイントは売りも買いもマイナスとなっている。長期投資によるスワップポイント目当ての人はあまり向いていないようだ。

3,サクソバンク証券の6つのメリット

ここまでサクソバンク証券のFX口座の基本情報を見てきたが、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか?

メリット1,取り扱う通貨ペアの種類が多い

サクソバンク証券では、150種類以上にも及ぶ通貨ペアを利用できる。東欧や中東など、他社ではあまり見かけないマイナーな通貨も対象だ。具体的に同社で取り扱いのあるマイナー通貨に関して具体例を挙げていこう。

・中国元
・シンガポールドル
・ロシアルーブル
・デンマーククローネ
・チェココルナ
・ハンガリーフォリント
・イスラエルシュケル
・アラブディルハム

FXで成功するにはトレード戦略が重要だが、通貨ペア選びも結果を左右する。サクソバンク証券にある豊富な通貨ペアは、自分と相性の良い通貨ペアを見つけるのにも役立つだろう。

メリット2,スキャルピングを公認している

FX証券会社によってはスキャルピングを禁止していることもある。しかしサクソバンク証券ではスキャルピングを認めており、手法によって取引を制限することはない。

明確に禁止とは定めていない会社でも、取引制限をされる可能性はゼロではない。スキャルピング公認の会社であれば、安心してトレードができる。

メリット3,約定力が高い

サクソバンク証券の強みとして、約定力の高さも挙げられる。

バリュー・アップが実施した約定力に関する調査結果を見てみよう。この調査は2019年6月に、米雇用統計発表時の総合約定力調査に関して、FX企業5社を対象に調査を行ったもの。対象の通貨ペアは米ドル/日本円とユーロ/米ドルで、約定率、スリッページ発生率、リジェクト回数、ベストレート獲得回数を調査した。

その結果、サクソバンク証券は総合約定力とベストレート獲得回数でトップを獲得している。

短期投資にとって約定力は非常に重要な要素だ。スキャルピングを考えている中・上級者には心強い。

メリット4,1,000通貨単位での取引が可能

初心者は、少ない資金で取引を始められる1,000通貨単位のFX口座がおすすめだ。サクソバンク証券も1,000通貨からのトレードが可能である。

ただし流通性の低い新興国通貨・マイナー通貨は、1,000通貨以上の単位を設定していることがある。トレードする前には、取引ツールの取引条件をよく確認しておこう。

メリット5,FX経験に合わせて2つのコースが選べる

サクソバンク証券には、初級者・中級者向けのスタンダードコースと、プロ向けのアクティブトレーダーコースの2種類がある。

  スタンダードコース アクティブトレーダーコース
取引手数料 なし あり
取引上限 アクティブトレーダー
コースより少ない
スタンダード
コースより多い
スプレッド アクティブトレーダー
コースより広い
スタンダード
コースより狭い
取引通貨ペア数 53通貨ペア 158通貨ペア
(※サクソバンク証券のホームページを元に筆者作成)

アクティブトレーダーコースはさらに3つのコースに分かれ、各手数料は以下のとおりだ。

  手数料 月間標準金額※
ステージ1 0.003% 0円
ステージ2  0.002% 6万円
ステージ3 0.001% 20万円
※月ごとの手数料合計額が月間標準金額に満たない場合は、差額を支払う必要があり、その金額
(※サクソバンク証券のホームページを元に筆者作成)

取引上限はどちらのコースも通貨ごとに変動するが、アクティブトレーダーコースの方が多くの通貨を取引できる。スプレッドについても、スタンダードコースと比べて狭いのはメリットだ。

ただしスタンダードコースと違い手数料が発生するため、日ごろから取引量が多いプロ向けといえる。

メリット6,Trading Viewから取引可能

PCやスマホ、タブレットなどさまざまなデバイスから相互に利用できるTrading View。世界中で500万人以上のユーザーが利用しているこのツールは、通貨ペア同士だけでなく、米ドル/円とドルインデックスのチャートを比較できたり、他のユーザーがオリジナルで作って公開したりしているチャートを見ることも可能だ。豊富なテクニカル指標も、中・上級者にはうれしい。

サクソバンク証券で口座を持っていると、このTradeing Viewと口座アカウントをひも付けて、Trading Viewから取引できる。

4,サクソバンク証券の4つのデメリット

口座は一度開設したら、しばらく利用するもの。長く付き合っていくからこそ、開設前にはしっかりとデメリットも確認しておきたい。

デメリット1,初回入金金額が10万円以上必要になる

サクソバンク証券では、FX口座を開設した際に、初回は口座に10万円以上入金する必要がある。GMOクリック証券やSBI FXトレード、みんなのFXなど国内主要FX会社では、初回入金金額に特に規制がないことを考えると、初心者にはややハードルが高い印象だ。

デメリット2,スプレッドがやや広くリアルタイムで変動する

サクソバンク証券のスプレッドはさきほど解説したとおり、DMM FXやGMOクリック証券FXネオを比較してやや広い水準だ。また国内他社の多くと異なり、変動制スプレッドを採用している。通貨ペアのレートと同じく、スプレッドもリアルタイムで変動する仕組みである。

他社と同じような感覚で考えていると、思わぬスプレッドの急変でトレード計画が狂う恐れがある。利益を出すには、スプレッドの傾向もうまく捉え、トレードへの影響を考慮することが必要だ。

デメリット3,取引ツールが初心者にはやや難しい

サクソバンク証券に関してのネット上の評価を見ると、本格的なツールを利用できる点も高く評価されている。しかしプロ向けの本格的なツールであり、知識がないと使いこなすのが難しい。

特にFXを始めたばかりの初心者では、ハードルが高いと感じることもあるだろう。

デメリット4,アクティブトレーダーコースは手数料がかかる

サクソバンク証券では、スタンダードコースとアクティブトレーダーコースの2種類のコースがある。このうちプロ向けであるアクティブトレーダーコースは、スプレッドの他に取引手数料が発生するのがネックだ。

■5,サクソバンク証券の口コミ評判は?

ここからはサクソバンク証券で実際にFX取引をしている人の口コミ評判を見ていこう。

T.Yさん 30代男性
満足度★★★★★
スキャルピングが公認されている
サクソバンク証券を利用していて感じているメリットは、「スキャルピングが公認されている」ところです。スキャルピングが公認されている証券会社は少なく、重宝しています。サクソバンク証券のデメリットに感じたことは、「口座開設が面倒だった」ところです。口座開設フォームはとても手間がかかるようになっています。他のFX会社が簡単に口座開設できるので、面倒な感じがなおさら目立ってしまいます。

T.0さん 40代男性
満足度★★★★★
チャートが見やすい
2001年頃から同社のweb画面をみて外貨の変遷を調べています。当時から、チャートの見やすさが群を抜いており、FXを自分で始める前から大ファンでした。仕事上外貨のチャートを見ることが多かったのですが、サクソバンクのweb画面にはとても助けられました。チャートの見やすさがあるので、判断に困ることがなく、自分にとってタイムリーな取引ができる一方で、スプレッドについては他の会社と比べると少し高く、改善もあまり進んでいないような気がします。

J.Kさん 40代男性
満足度★★★★☆
通貨ペアも150通貨以上あり豊富
大口の注文でもしっかりと注文が通り、約定力がいいです。スリップページもほぼなくて、成行注文も表示価格で約定するのがいいですね。また通貨ペアも豊富で150通貨以上あり、高金利通貨を長期運用してスワップ狙いなど色々な戦略で取引できる魅力があると思います。ただ外資系のためなのか、取引ツールなどが使いにいところがあるように感じます。

K.Kさん 30代男性
満足度★★★★☆
通貨ペアが多いのが魅力
FXサービスを展開している会社の中では、かなり多い種類の通貨ペアを扱っている会社です。聞いたこともないようなレアな通貨にチャレンジすることも可能です。ただサクソバンク証券はスプレッドが広い印象があります。高いレバレッジをかけて、一瞬で資金が溶けてなくなってしまう、といったことがないように注意が必要です。

6,サクソバンク証券はどんな人におすすめ?

これまで整理してきた特徴から、サクソバンク証券の利用に向いているのは以下のような人といえる。

・マイナーな通貨ペアを取引したい人
・スキャルピング取引をしたい人
・Trading Viewを利用したい人

サクソバンク証券は150種類以上の通貨ペア、スキャルピング公認などが大きな特徴だ。本格的な取引ツールを使いこなせるような、プロの専業トレーダーにもおすすめといえる。

初心者にはやや難しいと思われるため、まず初心者に優しいFX証券会社からスタートして、次のステップアップとしてサクソバンク証券を検討するのが良いだろう。

執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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