KDDIグループのエナリスおよびauフィナンシャルホールディングス、auペイメントは4日、国内暗号資産(仮想通貨)取引所ディーカレットと、電力および環境価値のP2P取引事業成立要因を検証する実証事業を共同で開始したと発表した。

KDDI
(画像=月刊暗号資産)

今回の実証事業では、エナリスの「ブロックチェーン上で電力取引を管理するプラットフォーム」でトラッキングされた電力取引結果に基づき、ディーカレットの「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」において環境価値トークンの発行・管理を行う。

将来的なP2P電力取引スキームにおけるトークン活用実用化に向けた課題を確認するという。

各社の役割は以下の通りだ。

エナリス

  • ブロックチェーンを活用した卒FIT電力および環境価値の調達と供給
  • auペイメントへの環境価値トークンの発行依頼
  • RE100準拠電力および環境価値取引の実績に基づき発行された環境価値トークンの流通

auフィナンシャルホールディングス

  • プロジェクト全体のコーディネート、au PAY活用

auペイメント

  • 資金移動業者の登録に基づき実証事業で利用する環境価値トークンの発行
  • 本検証の終了時には発行したトークンを償却、プロシューマーのau PAY残高譲渡

ディーカレット

  • 環境価値トークンの発行・管理を可能とするプラットフォーム提供
ディーカレット
(画像=月刊暗号資産)

エナリスは、より豊かな社会の実現につながる新しいエネルギーシステムの構築を目指し、2017年からブロックチェーンを使った実証事業に取り組んでいる企業だ。

2019年には、電力のトラッキングを可能にし、オープンに電力取引を行うブロックチェーンプラットフォームを開発した。

また、分散型エネルギーの制御と余剰電力の取引ができる仕組みの構築に取り組んでいる。

一方、ディーカレットが構築している「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」では、利用企業がそれぞれのブランドでデジタル通貨を発行可能な機能を備え、スマートコントラクトを利用した処理の実装も可能。

また、取引にまつわる一連のプロセスを効率化し、少額の金銭のやり取りもリアルタイムで実現するという。

そして、KDDI、auフィナンシャルグループでは、スマートフォンを中心としたシームレスな決済・金融体験を提供する「スマートマネー構想」の実現に向けて、フィンテックを活用した新サービスの研究を進めている。

KDDIは2019年7月にディーカレットへ出資し、今回の実証事業は「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」を目的として2020年2月に実施したディーカレットとの実証実験に続く取り組みとなる。

なお、実施期間は2020年11月20日から2021年2月末としている。(提供:月刊暗号資産