米大手銀行のJPモルガンはブロックチェーン技術を活用し、数十億ドル規模に上る米国債の「レポ取引(買い戻しを条件とした債券取引)」を1日で決済することに成功したと発表した。10日、同行がプレスリリースで発表した。

JPモルガン
(画像=月刊暗号資産)

プレスリリースによると、この取引はJPモルガンのブローカー・ディーラーと、同銀行事業体の間で行われた。従来、数日はかかっていたレポ取引の決済が数時間で可能になったという。この新たなデジタル市場システムには、2021年に、ゴールドマンサックスも参加することが決定している。

JPモルガンは、「ブロックチェーン技術を導入することで、業務プロセスを合理化し、レポ取引の決済を加速させる新たな機会が生まれた」とリリースで説明した。

今回、JPモルガンが発表したレポ取引のシステムは自社で開発したものだ。

デジタル化された米国債が、ブロックチェーン上でJPモルガンの独自ステーブルコイン「JPMコイン」に交換される仕組みとなっている。

米国のレポ取引は、約2兆3000億ドル(約240兆円)と言われている。現状の運用方式では限界があり、日中流動性を確保するため資金調達が行えないという課題があった。

JPモルガンはこの課題解決のため、米国債をデジタル化し、イーサリアムをベースにしたブロックチェーンのスマートコントラクトで現金と米国債を即座に返還できるようにしたという。

JPモルガンのブロックチェーン技術開発責任者であるScott Lucas氏は、「このプロダクトを顧客に提供できる段階になった」と完成段階にあることを明かし、「来年にはゴールドマン・サックスだけでなく、複数の銀行や証券会社などが加わる見通しだ」と今後の展望を語った。

またゴールドマン・サックスのデジタル資産部門の幹部Mathew McDermott氏は、「これは、エンタープライズ・ブロックチェーンが金融システムの現実問題に対処できることを鮮明に示すエキサイティングなプロジェクトであり、2021年初頭の稼働を楽しみにしています」と期待を述べた。(提供:月刊暗号資産