12月9日、半導体製造装置大手のアドバンテスト <6857> の株価が一時7980円まで上昇し、年初来の高値を更新した。今年3月19日の安値3335円から9カ月足らずで2.4倍の上昇である。新型コロナ禍にもかかわらず世界の半導体市場が急回復を見せていることなどが追い風となっているようだ。12月1日にはWSTS(世界半導体市場統計)が2021年の半導体市場について、高速通信規格「5G」の普及や自動車産業の回復等を後ろ盾に前年比8.4%増の4694億ドル(約48兆円)に達し、史上最高になる見通しを発表している。米国でも半導体関連30銘柄で構成するSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が12月8日に一時2825ドルと過去最高値を更新しているのが現状だ。

今回は世界の半導体業界とアドバンテストの最新動向を見てみよう。

第2四半期のV字回復、通期見通しの上方修正を好感

アドバンテスト,株価
(画像=Graphs / pixta, ZUU online)

アドバンテストは、半導体テスタにおいて世界市場の50%超のシェアを誇る企業である。半導体テスタとは、半導体製造の最終工程で、半導体が正しく作動するかを調べる装置のことである。EV(電気自動車)や自動運転、AI(人工知能)、5G、データセンターといった次世代技術は、半導体の性能向上、微細化なしに発展はありえない。これまで以上に半導体テスタの重要性が増しており、業界内におけるアドバンテストの存在感が高まることが期待されている。

ちなみに、10月29日にアドバンテストが発表した2021年3月期第2四半期累計(4〜9月)決算は、売上が前年同期比4.6%増の1441億円、営業利益が同5.9%減の309億円と増収減益だった。しかし、直近第2四半期(7〜9月)については、売上が前期比16.0%増の774億円、営業利益は同29.9%増の174億円とV字回復を示していた。さらに業績の先行指標である受注高も前期比4.4%増の641億円と2四半期ぶりの増加に転じている。