スキャルピングとは、わずかな利幅を狙って1日に何度も取引を行い、利益を積み上げていく投資手法のこと。システムへの負荷が大きいため、スキャルピングを公認しているFX会社は少ない。スキャルピングを行うためには約定力が高く、すべらない口座を選ぶのがポイントだ。ここではスキャルピング公認のFX口座をピックアップし、そのメリットやデメリット、特徴を解説する。

1,FXのスキャルピングとはどのようなトレード手法か?

FXスキャルピングの特徴
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

「スキャルピング」というトレード手法は、超短期トレードに分類される。どんな特徴があるか見ていこう。

特徴1,超短時間のトレードを繰り返す

スキャルピングでは新規注文から決済までを、数秒から数分という超短時間で完結する。そして、そのような取引を1日に何回、何十回も繰り返す。

チャートで値動きを見ながら瞬時にエントリーとイグジットを判断しなければならないため、超短時間だがトレード中はチャート画面から目を離すことはできない。

特徴2,小さな利益を積み重ねて、利益を確保する

1回のスキャルピングで狙う利幅は、他のトレード手法と比較すると、数銭、数pips程度と非常に小さい。このような小さい利益を積み重ねて、まとまった利益を確保することを目的としている。

スキャルピングを行う際は、あらかじめ自分で利幅を3pips、5pipsなどに設定し、このルールを毎回徹底する。リスクを最小限に抑えるためには、ルールに則って機械的に取引をすることが大切だ。

積み上げた利益を守るためには、利幅の設定だけでなく、損切りルールを守ることも忘れてはならない。スプレッドは約定した時点で発生するので、それを見越してマイナス方向に進んだら即損切りする、あるいは狙った利幅と同じ分だけマイナスに動いたら必ず損切りするなど、決めたルールを守ってトレードするのが基本だ。

特徴3,判断材料は主にテクニカル分析

スキャルピングはトレード時間が短いため、重要経済指標の発表や経済ニュースなどが値動きに影響を及ぼすことはほとんどない。つまり、ファンダメンタルズ分析が不要なのだ。投資判断は、チャートを使って超短期の値動きを予測するテクニカル分析が中心になる。

確かに、スキャルピングにファンダメンタルズ分析の知識は不要だ。とはいえ、為替相場全体のトレンドを掴むために、世界経済の動向や政治情勢などをある程度把握しておいたほうがよいことも事実だ。

2,スキャルピングが禁止されている理由

スキャルピングが禁止されている理由
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

FX会社によっては、スキャルピングを禁止しているところもある。その理由を見ていこう。

理由1,システムがダウンする可能性があるから

スキャルピングでは大量の注文が行き交うため、サーバーに高い負荷がかかる。過度な負荷がかかればシステムそのものがダウンしてしまう可能性があり、スキャルピングを行った当人はもちろんのこと、他のトレーダーの取引も停止してしまう可能性がある。

理由2,FX会社自体に損失が発生してしまうことがあるから

基本的にFX会社はトレーダーの持つポジションと反対のポジションを保有し、為替変動のリスクを軽減する「カバー取引」を行っている。しかし、多くの人がスキャルピング取引をするとカバー取引が追いつかず、FX会社が損失を被る恐れがある。

禁止されているFX会社があるにも関わらず、なぜスキャルピングが根強く行われているのだろうか。どんなメリットがあるのか見ていこう。

3,FXのスキャルピングの3つのメリット

スキャルピングのメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

FXのスキャルピングで利益を出すためには、技術とルールの徹底が不可欠だが、スイングトレードや長期投資にはないメリットを持つトレード手法といえる。

メリット1,資金効率が良い

スキャルピングは1回の利幅が小さいが、資金効率に優れたトレード手法だ。トレードに充てる資金が少なくても、回数を重ねることで利益を上げられるからだ。

手持ち資金が10万円しかなくても、それをスキャルピングによって1日に数十回回転させれば、かなりの取引金額になる。それを毎日、1ヵ月続ければ、大きな利益を得ることもできるだろう。

メリット2,少額でトレードができるので損失を最小化できる

スキャルピングは、資金が少額でもトレードができる。少額でトレードができるということは、少しの為替変動でもロスカット水準に達してしまうということだが、逆に考えれば多額の資金でトレードした場合に比べて、ロスカットが執行されても損失額が少なくて済むということだ。

メリット3,為替変動リスクを回避しやすい

FXで売買するのは外貨なので、日本時間の深夜に海外の重大ニュースや重要経済指標が発表されることがある。ポジションを翌日に持ち越したままこのような状況になると、朝起きたら相場が急変していてロスカットが発動されていた、ということになる可能性がある。

スキャルピングは数秒から数分という超短時間でトレードが完結するため、ポジションが日をまたぐことはない。深夜の重大発表の影響を受けないので、安心して朝を迎えることができるのだ。

4,スキャルピングに最適なFX会社の3つの選び方

スキャルピング用FX口座の選び方
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スキャルピングは超短期間に売買を繰り返す特殊なトレード手法であるため、FX会社を選ぶ際にいくつかの制約がある。スキャルピングを視野に入れてFX口座を開設する際の、選び方のポイントや注意点を確認しておこう。

選び方1,スキャルピングが公認されている

FX会社のホームページを見ると、「スキャルピングOK」と明示されていることがある。スキャルピングを目的にFX会社を選ぶ場合は、このような文言のあるFX会社を選ぶ必要がある。スキャルピングを禁止している、あるいは推奨していないFX会社もあるからだ。

スキャルピングは超短時間での売買を繰り返すため、FX会社のサーバーに多大な負荷がかかる。そのためサーバーがダウンしたり、一般トレーダーの注文が約定しなかったりすることがある。

このようなスキャルピングによるトラブルを避けるために、一部のFX会社では取引ルールに、「短時間に、頻繁な注文や取引」が認められた場合には取引が制限される、もしくは口座が凍結される可能性があることを注意喚起している。DMM FXやSBI FXトレードには、このような文言が明記されている。明記されていなくてもグレーゾーンであることを考えると、スキャルピング公認の会社を選ぶのが賢明だ。

選び方2,スプレッドが狭い

FX会社に支払うコストであるスプレッドは、取引を行うたびに発生する。トレードを何度も繰り返すスキャルピングでは、「スプレッド×トレード回数」のコストが発生するので、スプレッドは狭いに越したことはない。

各社のスプレッドを確認する際には、一般的な米ドル/円だけでなく、自分がスキャルピングに使いそうな通貨ペアのスプレッドも併せて比較しておこう。

選び方3,約定力が高くてすべらない

スキャルピングは超短時間で完結するトレードなので、約定スピードが高速であることは非常に重要である。約定拒否がないことや、スリッページが発生しにくく、希望する条件どおりに約定することも、スキャルピングの成果に直結する。

スキャルピング公認のFX会社は公式サイトで、

「成行約定率100%」
「約定スピード最速0.001秒」
「スリッページなし(すべらない)」

など、約定力の高さをアピールしている。各社のスペックなどをホームページで確認する際は、このような点にも注目してほしい。約定力の高さをアピールしていてもスキャルピングを禁止しているFX会社もあるので、約款や注意事項は注意深く確認しておこう。

選び方・注意点4,スピード発注がしやすいこと

スピード勝負のスキャルピングでは、スピーディーな発注ができれば見込みどおりの利益を得られる可能性が高くなる。スピーディーな発注を実現するのは、スキャルピングに適した発注方法や、発注画面の使いやすさだ。スキャルピングを行うためのFX会社を選ぶときは、取引ツールの仕様説明などで発注画面の「注文方法」と「操作方法」を必ずチェックしよう。

注文方法に関しては、エントリー時に利確注文と損切り注文が同時にできることや、ドテン注文(保有しているポジションを決済するとともに、新たに逆のポジションを建てる注文)を利用できるかどうかもチェックしておきたい。スキャルピング禁止のFX会社では用意されていない注文方法なので、候補に挙がったFX会社についてはこれらもチェックしてほしい。

発注画面では、ワンクリックで約定、あるいはワンクリックで全決済など、より少ない操作で注文を出せるようにデザインされているかどうかを確認しておこう。

5,スキャルピング公認のおすすめFX会社4社を徹底比較

主要FX会社でスキャルピングを公認しているのは、「JFX」「LION FX(ヒロセ通商)」「FXプライムbyGMO」「サクソバンク証券」の4社だ。4社のホームページで公表されているメリットやデメリット、スペックなどを紹介しよう(2020年10月17日現在のもの)。

JFX――スキャルピングのためのFX口座、スキャルピングに最適なトレード環境を整備

高い約定力と狭いスプレッドを誇り、スキャルピングをしたい人のためにあるようなFX会社だ。

注文画面は、スキャルパーの使い勝手を追求したデザインと操作性が魅力。利確と損切りを設定できる便利な一発発注機能と、スピーディーな発注に欠かせないワンクリック発注が、1画面で実行できるので使いやすい。

JFXのサイトは、社長である小林芳彦氏のマーケット分析情報やトレード手法が満載で、小林氏のカラーが強い。そのため、自分のトレードスタイルが確立されているトレーダーは、窮屈に感じるかもしれない。しかしスキャルピングに特化したFX会社なので、スキャルピングは初めてだが、今後はスキャルピングをトレードスタイルの柱に据えたいという人には最適のFX会社といえる。

スキャルピング向きの通貨ペアのスプレッドとスワップポイント表

通貨ペア スプレッド
(原則固定※例外あり)
スワップポイント
(2020年10月15日付与分)
買い 売り
米ドル/円 0.2銭 0.2 -8.3
ユーロ/円 0.5銭 -6.0 0
英ポンド/円 1.0銭 0.1 -9
豪ドル/円 0.7銭 0.5 -6
ユーロ/米ドル 0.3pips -0.12 0.02
英ポンド/米ドル 0.6pips -0.12 0.02

JFXの基本情報

FX会社名(FX口座名) JFX(JFX)
口座開設数 非公表
口座開設手数料 無料
口座管理費 無料
入金手数料 【クイック入金手数料】
無料(提携先約380行)
【振込入金】
利用者負担
出金手数料 無料
取引手数料 無料
ロスカット手数料 無料
通貨ペアの種類 全27種類
最低取引単位 1,000通貨単位(=1Lot)
注文方法の種類 全22種類
1回の注文上限 2,000~3,000Lot(主要通貨ペア)
1日の取引数量上限 制限なし
PC版トレーディングツール MATRIX TRADER(新Java版、他)
※MT4チャート利用可
テクニカル分析の種類 全36種類
※MT4チャートの種類は無限大
スマホアプリ MATRIX TRADER ULTIMATE EVOLUTION
アラートメール 有効比率200%を割った時
ロスカット水準 有効比率100%を下回った時
その他 ・複数デバイスから同時ログイン可能
・連打注文可能

LION FX(ヒロセ通商)――スキャルピング向けの注文方法が豊富、中長期トレードにも最適

LION FXはスキャルピングだけでなく、FXトレード全般に強みを持つFX会社だ。

世界最速0.001秒という約定スピードや業界最狭水準のスプレッドに加えて、スキャルピングに便利な「pip差決済注文」「ドテン注文」「トリガー注文」などの注文方法も豊富に用意されている。

さらに、中長期トレードの判断材料になる経済情報やニュース速報などの情報量が豊富なことも大きなメリットだ。

デメリットとして把握しておきたいのは、スワップポイントがそれほど高くないこと。スキャルピングではスワップポイントは発生しないので問題ないが、スワップポイント目的の長期投資を考えている人には不向きだ。

LION FXとJFXの条件はほぼ同じなので、スキャルピングのためのFX口座を開設しようと考えている場合は迷ってしまうこともあるだろう。デイトレードやスイングトレードでも積極的にトレードしたい場合、あるいはより細かい条件をつけて注文したい場合はLION FXを選ぶとよいだろう。

スキャルピング向きの通貨ペアのスプレッドとスワップポイント表

通貨ペア スプレッド
(原則固定)
スワップポイント
(2020年10月16日付与分)
買い 売り
米ドル/円 0.2銭 ※1 0.2 -8.3
ユーロ/円 0.5銭 -6 0
英ポンド/円 1.0銭 0.1 -9
豪ドル/円 0.7銭 0.3 -5.3
ユーロ/米ドル 0.3pips ※2 -0.12 0.02
英ポンド/米ドル 0.6pips ※2 -0.12 0.02
※1.2020年10月31日までのキャンペ-ンスプレッド
※2.2020年11月7日までのキャンペ-ンスプレッド

LION FXの基本情報

FX会社名(FX口座名) ヒロセ通商(LION FX)
口座開設数 52万5,961口座(2020年9月末現在)
口座開設手数料 無料
口座管理費 無料
入金手数料 【クイック入金手数料】
無料(提携先約380行)
【振込入金】
利用者負担
出金手数料 無料
取引手数料 無料
ロスカット手数料 無料
通貨ペアの種類 全50種類
最低取引単位 1,000通貨単位(=1Lot)
注文方法の種類 全27種類
1回の注文上限 特になし
1日の取引数量上限 特になし
PC版トレーディングツール LION FX C2
テクニカル分析の種類 全36種類
スマホアプリ LION FX Android版/LION FX iPhone版
アラートメール 有効比率200%を割った時
ロスカット水準 有効比率100%を下回った時
その他 ・チャ-ト分析機能が豊富
・キャンペ-ンのグルメ商品が豪華

FXプライムbyGMO――安心のGMOグル-プでスキャルピング公認のFX口座

信頼性の高い約定力とスキャルピングに適した狭いスプレッドが魅力。インタ-ネット業界の先駆的グル-プ、GMOインタ-ネットグル-プの強力なバックボ-ンを背景に、スキャルピングが公認されているFX会社である。PCツ-ルやスマホプリの使いやすさ、高いスワップポイント、業界トップクラスの豊富な情報量と多彩なセミナ-も人気を支えているポイントだ。

一方で、各種手数料が無料のFX会社が多い中、1万通貨未満の取引(少額取引)の取引手数料とロスカット手数料、強制決済手数料が必要になるのは、FXプライムbyGMOのデメリットといえる。また、同社のスプレッドは狭いが業界最狭水準ではないことも、注意しておきたい。

これからスキャルピングを始めるにあたって、わかりやすさ・シンプルさを重視する人、あるいはスキャルピングでトレードをしながら、スワップポイントによる長期運用も視野に入れている人にはおすすめのFX会社である。

スキャルピング向きの通貨ペアのスプレッドとスワップポイント表

通貨ペア スプレッド
(原則固定※例外あり)
スワップポイント
(2020年10月16日付与分)
買い 売り
米ドル/円 【1取引あたり50万通貨以下の場合】
0.3銭 
【1取引あたり50万通貨超の場合】
0.6銭
3 -18
ユーロ/円 0.6銭 -18 3
英ポンド/円 1.1銭 5 -20
豪ドル/円 0.9銭 0 -15
ユーロ/米ドル 0.6pips -0.27 0.17
英ポンド/米ドル 1.8p -0.05 -0.05

FXプライムbyGMOの基本情報

FX会社名(FX口座名) FXプライムbyGMO(選べる外貨)
口座開設数 20万8,967口座(2020年9月末現在)
口座開設手数料 無料
口座管理費 無料
入金手数料 【ネット入金24手数料】
無料(提携金融機関11行)
【振込入金】
利用者負担
出金手数料 無料(会社負担)
取引手数料 【1万通貨以上】
無料
【1万通貨未満】
3銭
ロスカット手数料 5銭
※南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は0.5銭
通貨ペアの種類 全20種類
最低取引単位 1,000通貨単位(=1Lot)
注文方法の種類 全5種類
1回の注文上限 【スプレッド0.6銭の場合】
200万通貨
【スプレッド0.3銭の場合】
50万通貨
【1取引で複数決済の場合】
500万通貨
【1取引で全決済の場合】
1,000万通貨
1日の取引数量上限 なし
PC版トレーディングツール ・ブラウザ版取引画面
・ブラウザ版ハイスピ-ド注文
PC版チャート分析ツール プライムチャ-ト
※54種類のテクニカル指標を搭載
スマホアプリ PRIMEアプリS
アラートメール なし
ロスカット水準 証拠金維持率80%を下回った時
その他 ・口座開設者の半数以上が初心者

サクソバンク証券――スキャルピング歓迎、約定力とスプレッドの狭さに定評あり

サクソバンク証券は、米国雇用統計発表時の総合約定力において1位を獲得した約定力の高さに加え、相場が変動したときでも安定した低スプレッドが魅力だ。

サクソバンク証券の有するAPIサービスMT4(メタトレーダー4)は、「魅力的な水準のスプレッド」「抜群の安定性」「大口注文」「スキャルピング歓迎」「通貨ペアの豊富さ」「手数料無料」という強みをアピールしており、スキャルピングに適していることがわかる。

高い約定力や低スプレッドに加え、スキャルピングの大量取引にも耐えうる安定したサーバーが自慢のサクソバンク証券では、MT4の性能を存分に引き出すことができる。

自動売買や見やすいチャート、1,000通貨単位からスタートできる柔軟さも魅力的で、日本語サポートも充実している。

スキャルピング向きの通貨ペアのスプレッドとスワップポイント表

通貨ペア スプレッド
(変動制)
スワップポイント(1万通貨単位あたり)
(2020年10月16日付与分)
売り 買い
米ドル/円 非公開 -29.0 -8.0
ユーロ/円 非公開 -8.0 -34.0
英ポンド/円 非公開 -42.0 -26.0
豪ドル/円 非公開 -25.0 -14.0
ユーロ/米ドル 非公開 -6.33 -57.96
英ポンド/米ドル 非公開 -29.52 -41.1
※公式サイトを基に筆者作成

サクソバンク証券の基本情報

FX会社名(FX口座名) サクソバンク証券
口座開設数
口座開設手数料 無料
(初回入金:100万円)
口座管理費 無料
入金手数料 【通常入金】顧客負担
【クイック入金】サクソバンク負担
出金手数料 月3回までサクソバンクが負担
取引手数料 無料
ロスカット手数料 無料
通貨ペアの種類 158種類
最低取引単位 0.01ロット(1,000通貨)単位
注文方法の種類 2種類
1回の注文上限 50ロット(500万通貨単位)
1日の取引数量上限 同上
PC版トレーディングツール SaxoTraderGO
SaxoTraderPRO
スマホアプリ SaxoTraderGO
ワーニングメール
(マージンコール)
証拠金使用率が75%と90%を切ったとき
ロスカット水準 証拠金使用率100%
その他 ・サポートが手厚い
・マイナー通貨も扱っているため高スワップも狙える
※公式サイトを基に筆者作成

6,スキャルピングが禁止されているFX会社は?

上記のスキャルピング公認の会社は、FX初心者には馴染みがないかもしれない。口座開設数が多いDMM FXやGMOクリック証券などでは、スキャルピングの取り扱いはどうなっているのだろうか?どこを見ればわかるのか紹介しよう。

「スキャルピング禁止」はどこで判断できる?

具体的に「スキャルピング禁止」と明記している会社はないが、約款の禁止事項に記載されていることが多い。約款に「短時間で注文を繰り返すこと」を禁止する文言がある場合は、スキャルピング禁止と考えてよいだろう。

「スキャルピング公認」の会社は、多くの場合ホームページに大きく書かれているのでわかりやすい。 ホームページに「スキャルピング公認」と書かれていない場合でも、約款で「短時間で注文を繰り返す」ことを禁止していない場合は、スキャルピングをしようと思えばできる。ただし、口座が凍結される可能性もあるので注意しよう。

人気FX会社ではスキャルピングは公認?禁止?

ここからは、人気FX会社におけるスキャルピングの可否を整理していこう。

FX会社名 スキャルピングの可否※1
DMM FX ×
SBI FXトレード ×
外為どっとコム ×
外貨ex byGMO
GMOクリック証券 ×
LINE FX
LIGHT FX ×
※公式サイトを基に筆者作成
※1 ◯は公認、△は特に記載がないが公認ではいない、☓は禁止されている

「スキャルピング禁止」と明言しているFX会社でメジャーなのは、DMM FXとSBI FXトレードだ。この2社は、初心者にもおすすめのFX会社として挙げられることも多い。

外為どっとコムやLIGHT FXも、約款に「短時間の注文の繰り返し」を禁止事項として記載している。

GMOクリック証券はスプレッド幅が狭くサーバーも安定しているため、スキャルピングにおすすめと思われがちだが、約款には暗にスキャルピングを咎める文言が記載されているため、実際はグレーゾーンだ。

2020年にサービスがスタートしたばかりのLINE FXも、約款にスキャルピングを禁止する旨の記載がなく、口座凍結の報告もないため「スキャルピングOK」と思われがちだが、公認しているわけではないので慎重を期すべきだろう。

7,FXのスキャルピングで気をつけたい3つの注意点・デメリット

スキャルピングの注意点・デメリット
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

スキャルピングは着実に利益を積み重ねられる上に、損失額も抑えられる堅実なトレードスタイルだ。ただし、不用意に参入すると失敗する可能性が高いトレードスタイルなので、以下のデメリットをしっかり認識しておいてほしい。

注意点・デメリット1,精神的、身体的な疲労が激しい

スキャルピングは超短時間で売買の判断を下して利益を追求するため、集中力と的確な判断力が求められる。そのため、トレード中はチャートから目を離すことができず、忍耐力が必要な上に緊張感も継続するので、心身ともに疲労する。「昼休みだけ」「仕事が休みの日の1時間だけ」と時間を決めて行うのがよいだろう。

注意点・デメリット2,超短期のチャート予想は難易度が高い

超短期のチャート予想は極めて難しいため、スキャルピング初心者は予想を外して損失を出すことも少なくない。「多少の損失は必要経費」「損失は出て当たり前」と思える耐性がなければ、スキャルピングを続けることは難しいだろう。

注意点・デメリット3,欲張ると損失額が大きくなる

1回の利幅は小さくても、何度も売買を繰り返すことで利益を積み上げていくのがスキャルピングの基本だ。欲張って利幅を広げてしまうと、予想が外れた際の損失額も拡大して、あっという間に利益を食いつぶしてしまう。自分が決めた利確・損切りルールを愚直に守ることが大切だ。

8,スキャルピングは分析を重視し、冷静にチャ-トを監視する忍耐力が必要

ファンダメンタルズ分析の必要がなく、少額でもトレードができるからといって、FX初心者でも簡単に参入できると考えるのは危険だ。スキャルピングは特殊なトレードスタイルであり、冷静沈着、分析結果重視、緊張感、素早い判断力が求められる。

スキャルピングを始める前に、自分がスキャルパー向きの性格であるかどうか考えてみてほしい。該当するのであれば、チャンレジしてみるとよいだろう。

監修者・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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